0. この記事でわかること
本記事では、ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)について以下の情報を提供します:
- なぜ注目されているのか: 「Better Not Bigger」戦略による高付加価値セグメントへの転換、ヘルスケア物流市場での成長目標(2026年200億ドル)、35億ドルのコスト削減計画による利益率改善への期待
- 事業内容と成長戦略: U.S. Domestic Package、International Package、Supply Chain Solutionsの3つの事業セグメントと、Amazon貨物量削減・効率化イニシアチブ「Efficiency Reimagined」による事業再構築
- 競合との差別化: FedEx、DHL、Amazon Logistics、USPSとの比較において、グローバルネットワーク・ブランド力・ヘルスケア物流への注力が競争優位性の源泉
- 財務・配当の実績: 2025年Q1は減収増益(売上215億ドル、純利益11.9億ドル)、高配当利回り(四半期配当1.64ドル)だが配当持続性への懸念
- リスク要因: Amazon貨物量50%削減(2026年後半まで)、関税政策による貨物量減少、労働組合との関係、配送コスト上昇
投資判断はご自身の責任で行ってください。本記事は情報提供のみを目的としています。
1. なぜユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)が注目されているのか
(1) 成長戦略の3つのポイント
ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)は、構造改革により収益性重視の事業モデルへの転換を進めています。2025年10月時点で、以下の3つの成長戦略が投資家から注目されています。
1. 「Better Not Bigger」戦略による事業転換
UPSは、最大顧客のAmazonとの低利益率ビジネスを2026年後半までに50%削減する合意を発表しました。Amazonは2024年売上の11.8%を占める重要顧客ですが、B2C配送の低単価が収益性を圧迫していました。この戦略転換により、貨物量の成長よりも利益率の改善を優先する方針が明確化されています。
2. ヘルスケア物流での積極的な成長投資
UPSは、2026年までにヘルスケア物流で200億ドルの売上目標を掲げています。2025年1月にはFrigo-TransとBiotech & Pharma Logisticsを買収し、有機的・非有機的成長の両面から事業拡大を推進しています。さらに、カナダのAndlauer Healthcare Groupの買収も完了し、医薬品・医療機器の温度管理配送などの高付加価値サービスに注力しています。
3. 「Efficiency Reimagined」による大規模コスト削減
2025-2027年のネットワーク再構成により、最大10%の施設閉鎖(73施設)、車両・航空機フリート削減、労働力削減(2万人)を実施し、2025年から年間10億ドル、累計35億ドルのコスト削減を実現する計画です。この効率化イニシアチブにより、2026年末までに米国営業利益率12%の達成を目指しています。
(2) 注目テーマ(ヘルスケア物流・効率化・高付加価値化)
ヘルスケアロジスティクス拡大
ヘルスケア物流は、UPSの成長戦略の中核です。Andlauer Healthcare Group買収により、温度管理が必要な医薬品配送や医療機器の専門物流でのノウハウを獲得しました。高齢化社会の進展とバイオテクノロジーの発展により、医薬品配送市場は今後も拡大が見込まれており、2026年200億ドルの売上目標達成が期待されています。
デジタルアクセスプログラムによる中小企業獲得
UPSは「Customer First」イニシアチブの一環として、デジタルアクセスプログラムを推進しています。これは、中小企業(SMB)が簡単にUPSのサービスにアクセスできるようにする技術投資で、運用コストを削減しながらeコマース成長を支援する狙いがあります。中小企業向けビジネスは、Amazonとの大量配送よりも高い単価と利益率が期待できます。
効率化イニシアチブによる利益率改善
UPSは、配送センターの自動仕分けシステムなどの自動化・効率化投資を進めており、労働コストの削減と配送スピードの向上を両立させています。2025年の通期見通しでは、売上約890億ドル、営業利益率10.8%を見込んでおり、2024年の営業利益率9.3%から大幅な改善を目指しています。
(3) 投資家の関心・懸念点
投資家の関心ポイント
アナリストは、2026年9月までに株価104.33ドル(2025年10月時点の85.20ドルから22.46%上昇)を予想しており、構造改革による収益性改善が株価上昇の鍵とみられています。また、高配当利回り(四半期配当1.64ドル、年間配当利回り約5〜6%)も、配当投資家にとって魅力的です。
投資家の懸念ポイント
しかし、配当の持続可能性への懸念も高まっています。2025年Q2は売上・利益減少、キャッシュフロー低下、長期債務が過去最高を記録し、経済の不確実性を理由に通期見通しを撤回しました。決算後には株価が10.6%急落しており、Amazon貨物量削減による代替収益源の確保状況と、配当を支えられるキャッシュフローの維持が注視されています。
また、関税政策の変更も懸念材料です。2025年8月29日に失効したDe Minimis Exemption(800ドル未満の免税措置)により、国際貨物量が減少する可能性があり、短期的には米国内配送が3.5%減少するとの予測もあります。
2. ユナイテッド・パーセル・サービスの事業内容・成長戦略
(1) 主力事業
UPSの事業は、以下の3つのセグメントで構成されています。
U.S. Domestic Package(米国内配送)
米国内の個人・企業向け宅配便サービスで、UPSの売上の約6割を占める中核事業です。地上配送(UPS Ground)と航空配送(UPS Next Day Air、UPS 2nd Day Air)を提供し、eコマース成長の恩恵を受けてきました。ただし、B2C配送の増加により配送単価が低下しており、利益率改善のためにAmazon貨物量を削減する戦略をとっています。
International Package(国際配送)
国際航空便・国際宅配便サービスで、220以上の国・地域にネットワークを展開しています。グローバルな製造業のサプライチェーンや越境eコマースを支えており、米国内配送よりも高い単価と利益率が期待できます。ただし、関税政策や貿易摩擦の影響を受けやすいリスクもあります。
Supply Chain Solutions(サプライチェーンソリューション)
物流コンサルティング、倉庫管理、在庫最適化、フォワーディング(国際貨物取扱)などの高付加価値サービスを提供しています。ヘルスケア物流もこのセグメントに含まれ、医薬品や医療機器の温度管理配送など専門性の高いサービスで差別化を図っています。
(2) セクター・業種の説明
UPSは、Industrials(資本財)セクターのAir Freight & Logistics(航空貨物・物流)業種に分類されます。物流業界は、eコマースの拡大、グローバル貿易の成長、サプライチェーンの複雑化により、長期的な成長が見込まれています。特に、ラストワンマイル配送(配送拠点から最終目的地までの配送)の需要増加が、宅配便企業の事業機会を拡大させています。
一方で、労働集約的な業種のため、人件費の上昇や労働組合との関係が収益性に大きな影響を与えます。UPSの従業員の多くは、全米トラック運転手組合(Teamsters)に所属しており、2023年の労使交渉では賃上げに合意しましたが、これが収益圧迫の一因となっています。
(3) ビジネスモデルの特徴
UPSのビジネスモデルの特徴は、以下の3点です。
グローバルネットワークとインフラ資産
UPSは、世界最大級の宅配便ネットワークを保有しており、航空機約600機、配送車両約12万台、配送拠点約5,000箇所を運用しています。このインフラ資産は、新規参入企業が短期間で構築することが困難であり、競争優位性の源泉となっています。
ブランド力と顧客基盤
UPSは、1907年創業の老舗ブランドで、世界中の企業・個人に認知されています。B2B(企業間取引)とB2C(企業・消費者間取引)の両方で幅広い顧客基盤を持ち、配送品質の信頼性が高く評価されています。
効率性と規模の経済
UPSは、自動化技術の導入により、仕分け作業の効率化と配送スピードの向上を実現しています。配送量が増えるほど、ネットワーク全体の効率が向上する「規模の経済」が働くため、競合他社よりも低コストでのオペレーションが可能です。
3. 競合との差別化
(1) 主要競合企業
UPSの主要競合企業は、以下の通りです。
FedEx(フェデックス)
UPSと並ぶ世界2大宅配便企業の一角で、航空貨物に強みを持ちます。時価総額・売上高ともにUPSに次ぐ規模ですが、近年は事業再編により収益性改善を進めています。UPSとの差別化ポイントは、航空便の速達性と国際貨物での強さです。
DHL(ドイツポスト傘下)
欧州最大の物流企業で、国際配送に強みを持ちます。米国内市場ではUPSやFedExに劣りますが、アジア・欧州でのネットワークが充実しており、グローバル展開する企業にとって重要なパートナーです。
Amazon Logistics(アマゾン物流)
Amazonは、自社配送網を急速に拡大しており、UPSやFedExへの依存度を下げています。2024年時点でAmazonの配送量の約85%は自社配送網で処理されており、UPSにとっては競合であると同時に顧客でもある複雑な関係です。
USPS(米国郵政公社)
公的な郵便サービスで、ラストワンマイル配送において低価格で幅広い地域をカバーしています。民間企業と異なり、利益追求よりも公共サービスの提供を優先するため、価格競争において強力な競合となります。
(2) 競合優位性
UPSの競合優位性は、以下の3点です。
グローバルネットワークの広さと一貫性
UPSは、220以上の国・地域にネットワークを展開し、国際配送と国内配送を一貫して提供できる点が強みです。FedExやDHLも同様のネットワークを持ちますが、UPSはブランド認知度と配送品質の評価が高く、企業顧客からの信頼が厚いとされています。
ヘルスケア物流での専門性
UPSは、ヘルスケア物流に積極的に投資しており、温度管理が必要な医薬品や医療機器の配送で差別化を図っています。FedExもヘルスケア物流を手掛けていますが、UPSは買収による事業拡大と専門ノウハウの蓄積により、競合優位性を強化しています。
中小企業向けデジタルプラットフォーム
UPSは、デジタルアクセスプログラムにより、中小企業が簡単に配送サービスを利用できる仕組みを構築しています。これにより、Amazonとの低利益率ビジネスに依存せず、高単価の中小企業向けビジネスを拡大できる体制を整えています。
(3) 市場でのポジショニング
UPSは、グローバル宅配便市場において、FedExと並ぶ2大プレイヤーとしてのポジションを確立しています。市場シェアは、米国内配送でUPS約25%、FedEx約15%、Amazon Logistics約20%、USPS約30%とされており、UPSは依然としてトップクラスのシェアを維持しています。
ただし、Amazon Logisticsの急成長により、UPSのシェアは徐々に低下しています。このため、「Better Not Bigger」戦略により、貨物量のシェア争いではなく、利益率の高いセグメントに注力する方針に転換しています。
4. 財務・配当の実績
(1) 売上高・利益の推移
UPSの過去5年間の財務推移は以下の通りです(2025年10月時点の最新データ)。
年度 | 売上高(億ドル) | 営業利益(億ドル) | 純利益(億ドル) | 営業利益率 |
---|---|---|---|---|
2020 | 845 | 91 | 42 | 10.8% |
2021 | 976 | 136 | 127 | 13.9% |
2022 | 1,007 | 133 | 110 | 13.2% |
2023 | 910 | 76 | 61 | 8.4% |
2024 | 911 | 85 | 62 | 9.3% |
(出典: United Parcel Service Inc Form 10-K Annual Report 2024, SEC EDGAR)
2021年にパンデミック特需により売上・利益が急増しましたが、2023年以降は貨物量減少と労働コスト上昇により収益性が低下しています。2025年Q1の最新決算では、売上215億ドル(前年比0.7%減)、営業利益18億ドル(0.9%増)、純利益11.9億ドル(前年比6.6%増)、EPS1.40ドル(前年1.30ドル)となり、減収増益の傾向が続いています。
2025年通期の見通しは、売上約890億ドル、営業利益率10.8%と、2024年の9.3%から改善が見込まれています。ただし、2025年Q2決算では経済の不確実性を理由に通期見通しを撤回したため、業績予測の信頼性には注意が必要です。
(2) 配当履歴
UPSは、長年にわたり安定的な配当を継続しており、配当貴族銘柄(25年以上連続増配)としての地位を確立しています。2025年10月時点の四半期配当は1.64ドル、年間配当は6.56ドルです。配当利回りは、株価85.20ドル(2025年10月時点)で計算すると約7.7%と高水準です。
過去の配当履歴は以下の通りです。
年度 | 年間配当(ドル) | 配当性向 | 増配率 |
---|---|---|---|
2020 | 4.04 | 68% | 5.2% |
2021 | 4.08 | 23% | 1.0% |
2022 | 6.52 | 42% | 59.8% |
2023 | 6.52 | 76% | 0.0% |
2024 | 6.56 | 75% | 0.6% |
(出典: Yahoo Finance - UPS)
2022年に大幅増配(59.8%増)を実施しましたが、2023年以降は増配が停滞しています。また、配当性向(純利益に対する配当の割合)が75%前後と高く、配当の持続可能性への懸念が指摘されています。キャッシュフローの改善と利益率向上が、配当継続の鍵となります。
(3) 財務健全性
UPSの財務健全性指標は以下の通りです(2024年度)。
- 自己資本比率: 約15%(2024年度)
- 有利子負債: 約300億ドル(過去最高水準)
- フリーキャッシュフロー: 2025年Q1は約8億ドル(前年比減少)
UPSは、設備投資(航空機・配送車両・施設)に多額の資金を投じるため、有利子負債が高めです。2025年Q2では長期債務が過去最高を記録し、財務の柔軟性が低下しています。フリーキャッシュフローも減少傾向にあり、配当と自社株買いを継続できるかが焦点となっています。
「Efficiency Reimagined」による35億ドルのコスト削減が実現すれば、キャッシュフロー改善と財務健全性の回復が期待されますが、短期的には注意が必要です。
※2025年10月時点のデータです。最新情報はUnited Parcel Service Inc公式IRページをご確認ください。
5. リスク要因
(1) 事業リスク
Amazon貨物量削減の影響
UPSは、最大顧客のAmazon貨物量を2026年後半までに約50%削減する合意を発表しました。Amazonは2024年売上の11.8%を占めるため、代替収益源の確保が急務です。中小企業向けビジネスとヘルスケア物流の成長が計画通り進まない場合、売上減少が長期化するリスクがあります。
労働組合との関係と人件費上昇
UPSの従業員の多くは全米トラック運転手組合(Teamsters)に所属しており、2023年の労使交渉では賃上げに合意しました。これにより、人件費が上昇し、収益性が圧迫されています。今後の労使交渉で追加的な賃上げ要求がある場合、さらなるコスト増加のリスクがあります。
配送コストの上昇
燃料価格の変動、車両・航空機の維持費、配送センターの運営コストなどが上昇しており、利益率を圧迫しています。自動化・効率化投資により一部は相殺できますが、燃料価格の急騰などの外部要因には対処が困難です。
(2) 市場環境リスク
景気減速による貨物量減少
物流業界は景気サイクルに敏感であり、景気減速時には企業・個人の配送需要が減少します。2025年は経済の不確実性が高まっており、貨物量の減少が業績に影響を与える可能性があります。
為替リスク
国際配送事業は、為替変動の影響を受けます。ドル高が進行すると、海外売上の円換算額が減少し、日本人投資家にとっては円ベースのリターンが低下します。また、国際貨物の需要も為替の影響を受けるため、為替ヘッジの状況を確認する必要があります。
関税政策と貿易摩擦
2025年8月29日に失効したDe Minimis Exemption(800ドル未満の免税措置)により、国際貨物量が減少するリスクがあります。また、米中貿易摩擦や関税引き上げにより、越境eコマースの減少が懸念されています。
(3) 規制・競争リスク
Amazon Logisticsの成長による競争激化
Amazonは、自社配送網を急速に拡大しており、UPSやFedExへの依存度を下げています。今後、Amazonが自社配送網を外部企業にも開放する場合、UPSの競争環境はさらに厳しくなる可能性があります。
環境規制の強化
航空機・配送車両からの温室効果ガス排出に対する規制が強化されており、電気自動車(EV)や代替燃料への投資が必要です。UPSはEV配送車両の導入を進めていますが、追加的な設備投資コストが発生するリスクがあります。
規制リスク
物流業界は、労働法規制、安全基準、環境規制など多岐にわたる規制の影響を受けます。規制強化により、コンプライアンスコストが増加する可能性があります。
6. まとめ:投資判断のポイント
(1) この銘柄の強み
1. グローバルネットワークとブランド力
UPSは、220以上の国・地域に展開する世界最大級の宅配便ネットワークを保有しており、長年培ったブランド力と配送品質の信頼性が競争優位性の源泉です。
2. ヘルスケア物流での成長機会
2026年までに200億ドルの売上目標を掲げるヘルスケア物流は、高付加価値セグメントとして利益率改善の鍵を握ります。買収による事業拡大と専門ノウハウの蓄積により、競合との差別化が進んでいます。
3. 構造改革による収益性改善の期待
「Efficiency Reimagined」による35億ドルのコスト削減と、「Better Not Bigger」戦略による高付加価値セグメントへの転換が成功すれば、営業利益率12%達成と株価上昇が期待されます。
(2) リスク要因(再掲)
1. Amazon貨物量削減と代替収益源の不確実性
最大顧客のAmazon貨物量を50%削減する影響は大きく、代替収益源の確保が計画通り進むかが焦点です。
2. 配当持続性への懸念
配当性向75%前後と高く、キャッシュフロー減少により配当維持が困難になるリスクがあります。配当投資家にとっては、業績とキャッシュフローの推移を注視する必要があります。
(3) 向いている投資家
物流・インフラ株に関心があり、構造改革を評価できる投資家
UPSは、eコマース成長の恩恵を受ける物流インフラ企業として、長期的な成長ポテンシャルを持ちます。短期的には業績低迷が続く可能性がありますが、構造改革による収益性改善を評価できる投資家に向いています。
高配当利回りを求めるが、リスクを理解できる投資家
年間配当利回り約7.7%(2025年10月時点)は魅力的ですが、配当持続性への懸念もあります。配当再投資戦略をとる投資家は、配当削減リスクを理解した上で投資判断を行うべきです。
中長期視点で景気サイクルの変動を許容できる投資家
物流業界は景気サイクルに敏感ですが、UPSはインフラ資産とブランド力により、長期的には安定したキャッシュフローを創出する能力を持ちます。短期的な株価変動を許容し、5〜10年の長期視点で投資できる投資家に向いています。
免責事項
本記事は情報提供のみを目的としており、個別銘柄の推奨や投資助言を行うものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。最新の財務データや株価情報は、United Parcel Service Inc公式IRページやSEC EDGARで確認することをお勧めします。
Q: ユナイテッド・パーセル・サービスの配当利回りは?
A: 2025年10月時点で、四半期配当1.64ドル、年間配当6.56ドルです。株価85.20ドルで計算すると、配当利回りは約7.7%と高水準です。ただし、配当性向が75%前後と高く、キャッシュフロー減少により配当の持続可能性への懸念が指摘されています。今後の業績とキャッシュフローの推移を注視する必要があります。詳細は財務・配当の実績セクションを参照してください。
Q: ユナイテッド・パーセル・サービスの主な競合は?
A: FedEx、DHL、Amazon Logistics、USPSなどです。UPSはグローバルネットワークとブランド力により差別化していますが、「Better Not Bigger」戦略で高付加価値セグメント(ヘルスケア物流、中小企業向け)に注力しています。特にAmazon Logisticsは急成長しており、UPSの競争環境は厳しさを増しています。詳細は競合との差別化セクションを参照してください。
Q: ユナイテッド・パーセル・サービスのリスク要因は?
A: 主なリスク要因は、Amazon貨物量の50%削減(2026年後半まで)、配当持続性への懸念、関税政策による貨物量減少、労働組合との関係、配送コスト上昇です。また、景気減速による貨物量減少、為替リスク、Amazon Logisticsとの競争激化も挙げられます。詳細は本文のリスク要因セクションを参照してください。
Q: ユナイテッド・パーセル・サービスは長期投資に向いている?
A: 物流・インフラ株に関心があり、構造改革による収益性改善を評価できる投資家に向いています。短期的には業績低迷が続く可能性があるため、5〜10年の中長期視点が必要です。また、高配当利回りを求めるが、配当削減リスクを理解できる投資家にも適しています。投資判断はご自身で行ってください。
Q: 「Better Not Bigger」戦略とは?
A: Amazonとの低利益率ビジネスを縮小し、ヘルスケア物流や中小企業向けなど高付加価値セグメントに注力する戦略です。具体的には、Amazon貨物量を2026年後半までに50%削減し、35億ドルのコスト削減(73施設閉鎖、2万人削減)により利益率改善を目指しています。貨物量の成長よりも収益性を重視する方針転換であり、2026年末までに米国営業利益率12%の達成を目標としています。詳細は本文の成長戦略セクションを参照してください。