S&P500

アイデックス・ラボラトリーズ (IDXX)

IDEXX Laboratories Inc

0. この記事でわかること

本記事では、アイデックス・ラボラトリーズ(IDXX)について以下の情報を提供します:

  • なぜ注目されているのか: ペット医療診断分野のグローバルリーダーとして、がん診断イノベーション(IDEXX Cancer Dx™で犬の6大がんをカバー予定)、POC診断技術(IDEXX inVue Dx™)、統合エコシステムによる高い顧客維持率(90%台後半)が注目されています
  • 事業内容と成長戦略: CAG(コンパニオンアニマル、売上の大半)、水質、LPD(家畜・家禽・酪農)の3セグメント。診断機器・ソフトウェア・検査サービスを統合したエコシステムで、450億ドルの世界市場機会を獲得。2025年売上7.7~9.7%成長、EPS 11.93~12.43ドル(10~15%増)を見込む
  • 競合との差別化: Zoetis等との競争において、診断機器とソフトウェア(ezyVet、Neo、VetConnect Plus、Vello)の統合による高いスイッチングコスト、顧客維持率90%台後半、プレミアム機器設置台数9%増が差別化要因
  • 財務・配当の実績: Q1 2025のEPS 2.96ドル(予想2.86ドルを上回る)、営業利益率31.1~31.6%維持、2025年に約15億ドル(時価総額の4%)の自社株買いを予定。配当実施の有無は最新決算で確認を
  • リスク要因: 動物病院への来院数変動(Zoetisが国内クリニック来院数低迷を報告)、成長率鈍化、中国関税リスク、新製品の市場受入リスク、株価下落(52週高値548.88ドルから26%下落)

投資判断は必ずご自身の責任で行ってください。本記事は情報提供を目的としており、個別銘柄の推奨ではありません。

1. なぜアイデックス・ラボラトリーズ(IDXX)が注目されているのか

(1) 成長戦略の3つのポイント

アイデックス・ラボラトリーズ(IDXX)は、動物病院向けの診断機器・ソフトウェア・検査サービスを提供する専業企業で、以下の3つの戦略で成長を目指しています:

① イノベーション主導の成長戦略

スライド不要のIDEXX inVue Dx™(Q4 2024出荷開始)や、世界初のIDEXX Cancer Dx™(2025年3月米国・カナダ展開、犬のリンパ腫早期検出)など革新的POC(院内)診断プラットフォームを展開しています。IDEXX Cancer Dx™は今後3年で犬の6大がん(全症例の50%超)に拡大予定で、ペットのライフステージ全般をカバーする診断利用拡大が成長を牽引します。Q1 2025ではIDEXX inVue Dx™を300台超設置し、ワークフロー効率化による顧客満足度向上を実現しました。

② 統合エコシステムによる高い顧客維持率

診断機器がワークフローに深く統合されると、練習管理ソフト(ezyVetNeo)、注文管理(VetConnect Plus)、顧客エンゲージメント(Vello)も採用されます。スタッフ研修と統合による高いスイッチングコストで、顧客維持率90%台後半を維持しています。この「レーザー&ブレード」モデル(機器を設置してから消耗品・サービスで継続収益を得る)が、安定した収益基盤を支えています。

③ グローバル市場への商業展開加速

450億ドルの世界コンパニオンアニマル診断市場に対し、国際展開を加速しています。プレミアム機器の設置台数は9%増、IDEXX VetLab®消耗品は12%成長と堅調です。全世界175ヵ国以上に展開し、約6,000名の社員、100名超の研究者を擁し、7万件の動物病院に製品・サービスを提供しています。長期的には年率10%超の有機的成長ポテンシャルと高ROICが期待されます。

(2) 注目テーマ(がん診断・POC診断・Vertical SaaS)

投資家が注目する3つのテーマは以下です:

  • がん診断イノベーション: IDEXX Cancer Dx™で犬の6大がんをカバー予定。ペットの高齢化とがん検診需要の拡大により、長期的な成長が期待されます
  • POC診断技術: IDEXX inVue Dx™がワークフロー効率化を実現。Q1 2025で300台超設置され、動物病院の診断プロセスをスピードアップしています
  • Vertical SaaS for Animal Health: 統合ソフトウェアスイート(ezyVet、Neo、VetConnect Plus、Vello)でエコシステムを強化。練習管理から顧客エンゲージメントまで一貫したソリューションを提供し、顧客のロックインを実現しています

(3) 投資家の関心・懸念点

投資家の関心:

  • アナリストの強気評価: 9名のアナリストの平均目標株価は724.38ドル(現在価格から12.28%上昇)で、コンセンサスは「Moderate Buy」(6買い、3ホールド)
  • 二桁EPS成長: 2025年EPS 11.93~12.43ドル(10~15%増)が見込まれ、長期的な利益成長が期待されます
  • 景気耐性の高いビジネス: 獣医療市場は景気耐性が高く、非弾力的需要(ペットが病気になれば治療する)と価格決定力を持つため、安定投資先と評価されます

投資家の懸念:

  • 動物病院への来院数変動: 競合Zoetisが国内クリニックへの来院数低迷を報告し、投資家が月次変動に神経質になっています。IDXX株は52週高値548.88ドルから26%下落しました
  • 成長率鈍化への懸念: 成長率の低下、ROIC低下、中国関税リスク、資本配分方針への懸念が存在します。2025年の米国同一店舗臨床成長率は近期のセクター・マクロ経済要因により減速を見込む
  • バリュエーション: 11名のアナリストの平均目標株価518.50ドルを下回って取引中との指摘もあり、株価水準への懸念が存在します

2. アイデックス・ラボラトリーズの事業内容・成長戦略

(1) 主力事業(CAG・水質・LPD)

アイデックス・ラボラトリーズの事業は以下の3つのセグメントで構成されています(2025年10月時点):

① CAG(Companion Animal Group)セグメント(売上の大半)

  • 院内診断機器: 血液検査、尿検査、X線、超音波などの機器を動物病院内に設置。5万7千台超の院内検査機器を販売
  • 診断ソフトウェア: 練習管理ソフト(ezyVet、Neo)、注文管理(VetConnect Plus)、顧客エンゲージメント(Vello)を統合
  • 検査サービス: 外部検査ラボで高度な検査(病理検査、遺伝子検査、がん診断等)を実施
  • 消耗品・リカーリング収益: 診断機器の消耗品(試薬、テストキット)で継続的収益を確保。CAG診断リカーリング収益は有機的に4.5%成長(Q1 2025)

※ Q1 2025でIDEXX inVue Dx™を300台超設置し、IDEXX Cancer Dx™を2025年3月に米国・カナダで展開開始しました。

② 水質セグメント

  • 飲料水、プール、海水浴場などの水質検査サービスを提供
  • 環境規制強化により需要が拡大する分野

③ LPD(家畜・家禽・酪農)セグメント

  • 家畜(牛、豚等)、家禽(鶏等)、酪農向けの診断サービス
  • 食品安全・畜産効率化のニーズに対応

(2) セクター・業種の説明(ヘルスケア機器)

アイデックス・ラボラトリーズはHealth Care(ヘルスケア)セクターHealth Care Equipment & Supplies(ヘルスケア機器・備品)業種に分類されます。

  • セクター特性: ディフェンシブセクター(景気の影響を受けにくい)で、高齢化・ペット飼育増加により長期的な成長が期待されます。人間医療とペット医療の両方が含まれますが、IDEXXはペット医療専業です
  • 業種特性: 診断機器・検査サービスは高い参入障壁(技術力、規制承認、顧客ネットワーク)を持ち、安定した収益基盤を実現します。競合にはZoetis(動物薬・ワクチン)、人間医療機器メーカー等がいます

(3) ビジネスモデルの特徴(エコシステム統合)

レーザー&ブレードモデル

IDEXXは診断機器を動物病院に設置し、その後の消耗品(試薬、テストキット)・検査サービス・ソフトウェアサブスクリプションで継続収益を得るレーザー&ブレードモデルを採用しています。診断機器がワークフローに深く統合されると、動物病院はスタッフ研修コストや業務プロセス変更コストを避けるため、他社製品への切り替えが困難になります(高いスイッチングコスト)。この結果、顧客維持率90%台後半を実現しています。

統合エコシステム

診断機器、ソフトウェア(ezyVet、Neo、VetConnect Plus、Vello)、検査サービスを統合したエコシステムを構築しています。動物病院は1つのプラットフォームで診断から顧客管理まで完結できるため、利便性が高く、IDEXXへの依存度が高まります。この統合戦略が、競合優位性の中核です。

ペットhumanization(ペットの家族化)トレンド

近年、ペットを家族の一員として扱う「ペットhumanization」トレンドが拡大しています。飼い主はペットの健康・長寿を重視し、高額な診断・治療にも支払い意欲が高まっています。人間医療と異なり、ペット医療は保険適用が限定的なため、飼い主の支払い意欲が市場成長のカギです。IDEXXはこのトレンドを背景に、プレミアム診断機器やがん診断サービスを展開しています。

3. 競合との差別化

(1) 主要競合企業(Zoetis等)

アイデックス・ラボラトリーズの主要競合企業は以下です:

動物医療分野:

  • Zoetis: 動物薬・ワクチンの世界最大手。診断分野にも進出しており、IDEXXと競合します。Zoetisは国内クリニックへの来院数低迷を報告し、IDXX株価にも影響を与えました
  • Heska: 動物診断機器の中堅企業。IDEXXに比べて規模は小さい
  • Antech Diagnostics: 動物検査ラボサービスを提供。Mars Petcare傘下

人間医療機器メーカー:

  • Roche DiagnosticsSiemens Healthineers: 人間医療の診断機器大手。ペット医療にも技術転用の可能性があり、潜在的競合です

(2) 競合優位性(90%台後半の顧客維持率)

IDEXXの競合優位性は以下の3点です:

① 診断機器とソフトウェアの統合エコシステム

ezyVet(練習管理ソフト)、Neo(クラウドベース練習管理)、VetConnect Plus(注文管理)、Vello(顧客エンゲージメント)を診断機器と統合し、動物病院のワークフロー全体を最適化します。診断機器がワークフローに深く統合されると、スタッフ研修コストや業務プロセス変更コストを避けるため、他社製品への切り替えが困難になります。この結果、顧客維持率90%台後半を実現し、安定した収益基盤を構築しています。

② イノベーション投資とR&D体制

100名超の研究者を擁し、がん診断(IDEXX Cancer Dx™)、スライド不要診断(IDEXX inVue Dx™)など革新的製品を開発しています。IDEXX Cancer Dx™は世界初の犬のリンパ腫早期検出技術で、今後3年で犬の6大がん(全症例の50%超)に拡大予定です。競合に先行した技術開発が、市場シェア拡大の原動力です。

③ グローバルネットワークと規模の経済

全世界175ヵ国以上に展開し、7万件の動物病院に製品・サービスを提供しています。5万7千台超の院内検査機器を販売しており、この設置台数基盤が消耗品・サービスの継続収益を生み出します。規模の経済により、研究開発コスト、製造コスト、マーケティングコストを分散でき、中小競合に対して優位性を持ちます。

(3) 市場でのポジショニング(450億ドル市場)

IDEXXはペット医療診断分野のグローバルリーダーとして、以下のポジショニングを確立しています:

  • 450億ドルの世界市場機会: 世界コンパニオンアニマル診断市場は450億ドルで、長期的に年率10%超の有機的成長ポテンシャルがあると見られています
  • ペット医療専業: 人間医療機器メーカーと異なり、ペット医療に特化することで、動物病院のニーズに特化した製品・サービスを開発しています
  • 景気耐性の高いビジネス: ペットが病気になれば治療するという非弾力的需要があり、景気後退時にも相対的に安定した収益を確保できます

一方で、Zoetis(動物薬・ワクチン)に比べると企業規模は小さく、診断分野以外の製品ラインナップは限定的です。また、来院数変動による収益変動リスクが存在します。

4. 財務・配当の実績

(1) 売上高・利益の推移(2025年7.7~9.7%成長)

以下はIDEXXの最近の業績推移です(2025年10月時点):

Q1 2025業績(2025年1-3月期):

  • EPS: 2.96ドル(予想2.86ドルを上回る)
  • 売上: 9.98億ドル(予想10億ドルをわずかに下回る)
  • CAG診断リカーリング収益: 有機的に4.5%成長
  • プレミアム機器設置台数: 9%増
  • IDEXX VetLab®消耗品: 12%成長

2025年通期ガイダンス:

  • 売上成長率: 7.7~9.7%(上方修正)
  • EPS: 11.93~12.43ドル(10~15%増)
  • CAG診断リカーリング収益成長率: 5.8~8.0%
  • 営業利益率: 31.1~31.6%維持

アナリスト評価:

  • コンセンサスレーティング: 「Moderate Buy」(6買い、3ホールド、9名中)
  • 平均目標株価: 724.38ドル(現在価格から12.28%上昇)

長期見通し:

  • 年率10%超の有機的成長ポテンシャル
  • 高ROIC(投下資本利益率)の維持

※ 財務データは変動する可能性があります。最新情報はIDEXX公式IRページ(https://www.idexx.com/en/about-idexx/investors/)または10-K・10-Qレポート(SEC EDGAR)でご確認ください。

(2) 配当履歴

IDEXXの配当実施の有無や利回りは最新の決算資料で確認してください。同社は配当よりも自社株買いを重視する資本政策をとっています。

2025年に約15億ドル(時価総額の4%)の自社株買いを予定しており、株主還元は主に自社株買いで実施されます。自社株買いは1株当たり利益(EPS)を押し上げ、株価上昇につながる効果があります。

米国株配当の税金(日本人投資家向け):

米国株の配当には二重課税(米国10% + 日本20.315%)が適用されますが、外国税額控除で米国分の一部を取り戻せます。また、NISA口座で保有すれば日本の税金(20.315%)が非課税になります(米国の10%源泉徴収は回避不可)。

詳細は国税庁「外国税額控除」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1240.htm)、金融庁「NISA制度の概要」(https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/index.html)をご参照ください。

(3) 財務健全性(ROIC・自社株買い)

IDEXXの財務健全性は以下の通りです:

営業利益率:

  • 31.1~31.6%(2025年ガイダンス)
  • 高い営業利益率を維持し、収益性の高いビジネスモデルを実現

ROIC(投下資本利益率):

  • 高ROICを維持する見通し(具体的な数値は最新10-Kで確認)
  • 資本効率の高い経営を実施

自社株買い:

  • 2025年に約15億ドル(時価総額の4%)の自社株買いを予定
  • 株主還元の主軸は配当ではなく自社株買い

懸念点:

  • ROIC低下への懸念が投資家の一部から指摘されています
  • 資本配分方針への懸念も存在します

※ 2025年10月時点のデータです。最新情報はIDEXX公式IRページをご確認ください。

(出典: IDEXX Q1 2025 Earnings、TipRanks Analyst Estimates)

5. リスク要因

(1) 事業リスク(来院数変動・新製品受入リスク)

IDEXXの主な事業リスクは以下です:

動物病院への来院数変動

競合Zoetisが国内クリニックへの来院数低迷を報告し、投資家が月次変動に神経質になっています。来院数が減少すると、診断検査の実施件数が減少し、CAG診断リカーリング収益(消耗品・検査サービス)が圧迫されます。IDXX株は52週高値548.88ドルから26%下落しており、来院数変動への懸念が株価に影響を与えています。

新製品の市場受入リスク

IDEXX Cancer Dx™(がん診断)やIDEXX inVue Dx™(スライド不要診断)など革新的製品が市場で受け入れられない場合、成長率が予想を下回るリスクがあります。動物病院が既存の診断機器から切り替える動機づけが不足すると、新製品の普及が遅れます。Q1 2025でIDEXX inVue Dx™を300台超設置しましたが、目標台数に到達できるかが焦点です。

成長率鈍化

2025年の米国同一店舗臨床成長率は近期のセクター・マクロ経済要因により減速を見込む、との見方があります。成長率の低下、ROIC低下への懸念が投資家の一部から指摘されています。

(2) 市場環境リスク(為替・景気)

為替リスク

米国株投資では為替リスクが常に存在します。円高局面(例: 1ドル=140円→130円)では、ドル建て株価が上昇しても円換算でのリターンが減少します。逆に円安局面(例: 1ドル=140円→150円)では為替差益が上乗せされます。為替手数料も考慮する必要があります(SBI証券は片道25銭、住信SBIネット銀行経由で4銭に削減可能)。

景気後退リスク

ペット医療は景気耐性が高いとされますが、景気後退が深刻化すると、飼い主の可処分所得が減少し、診断・治療費の支払い意欲が低下するリスクがあります。特に、高額ながん診断や予防医療は、景気後退時に先送りされる可能性があります。

ペット飼育数の変動

ペット飼育数が減少すると、動物病院への来院数が減少し、診断検査の需要が低下します。近年はペットhumanization(ペットの家族化)トレンドで飼育数が増加していますが、長期的な人口動態変化(少子高齢化、住宅事情等)により、ペット飼育数が減少するリスクがあります。

(3) 規制・競争リスク(中国関税)

中国関税リスク

米中貿易摩擦により、中国への製品輸出に関税が課されるリスクがあります。IDEXXは中国市場にも展開しており、関税コスト増加が利益率を圧迫する可能性があります。また、中国政府の規制強化により、市場アクセスが制限されるリスクも存在します。

競合の技術革新

Zoetis、Heska、人間医療機器メーカー(Roche Diagnostics、Siemens Healthineers等)が技術革新により、IDEXXの競合優位性を侵食するリスクがあります。特に、人間医療の診断技術をペット医療に転用する動きが加速すると、IDEXXの技術的優位性が低下する可能性があります。

規制承認の遅延

IDEXX Cancer Dx™などの新製品は、各国の規制当局の承認が必要です。承認が遅れると、製品展開が遅れ、成長機会を逃すリスクがあります。特に、欧州や日本などは規制審査が厳格で、承認取得に時間がかかる可能性があります。

※ リスク要因は予測に基づくものであり、実際の結果は異なる可能性があります。投資判断は必ずご自身の責任で行ってください。

6. まとめ:投資判断のポイント

(1) この銘柄の強み

アイデックス・ラボラトリーズの主な強みは以下の3点です:

① ペット医療診断分野のグローバルリーダー

450億ドルの世界コンパニオンアニマル診断市場で、診断機器・ソフトウェア・検査サービスを統合したエコシステムを構築しています。顧客維持率90%台後半、プレミアム機器設置台数9%増、IDEXX VetLab®消耗品12%成長と、安定した成長基盤を持ちます。

② イノベーション主導の成長戦略

IDEXX Cancer Dx™(犬の6大がんをカバー予定)、IDEXX inVue Dx™(スライド不要診断)など革新的製品を展開し、ペットのライフステージ全般をカバーする診断利用拡大を推進しています。100名超の研究者を擁し、競合に先行した技術開発が市場シェア拡大の原動力です。

③ 景気耐性の高いビジネスモデル

ペット医療は景気耐性が高く、非弾力的需要(ペットが病気になれば治療する)と価格決定力を持ちます。営業利益率31.1~31.6%を維持し、2025年に約15億ドル(時価総額の4%)の自社株買いを予定しており、株主還元も積極的です。

(2) リスク要因(再掲)

一方で、以下のリスク要因に注意が必要です:

① 動物病院への来院数変動

競合Zoetisが国内クリニックへの来院数低迷を報告し、IDXX株は52週高値548.88ドルから26%下落しました。来院数変動がCAG診断リカーリング収益に影響を与えるリスクがあります。

② 成長率鈍化への懸念

成長率の低下、ROIC低下、中国関税リスク、資本配分方針への懸念が投資家の一部から指摘されています。2025年の米国同一店舗臨床成長率は近期のセクター・マクロ経済要因により減速を見込む、との見方があります。

③ 新製品の市場受入リスク

IDEXX Cancer Dx™やIDEXX inVue Dx™など革新的製品が市場で受け入れられない場合、成長率が予想を下回るリスクがあります。

(3) 向いている投資家

アイデックス・ラボラトリーズは以下のような投資家に向いています:

向いている投資家:

  • ペット医療という景気耐性の高い市場で安定成長を目指す投資家: 非弾力的需要と価格決定力により、景気後退時にも相対的に安定した収益を確保できます
  • ディフェンシブ株でポートフォリオを安定させたい投資家: ヘルスケアセクターのディフェンシブ性と、ペット飼育増加による構造的成長性を両立しています
  • イノベーション主導の成長に魅力を感じる投資家: がん診断、POC診断、Vertical SaaS for Animal Healthなど、技術革新が成長を牽引しています

向いていない投資家:

  • 高配当を求める投資家: 配当実施の有無は最新決算で確認が必要ですが、株主還元は主に自社株買いで実施されており、配当利回りは限定的です
  • 短期的なキャピタルゲインを狙う投資家: 株価は52週高値548.88ドルから26%下落しており、短期的な株価変動リスクが存在します

免責事項:

本記事は情報提供を目的としており、個別銘柄の推奨ではありません。投資判断は必ずご自身の責任で行ってください。財務データ・税率・制度は変更される可能性があり、最新情報はIDEXX公式IRページ、国税庁、金融庁等の公式サイトでご確認ください。為替リスク・市場リスク・信用リスク等により、元本割れする可能性があります。

Q: アイデックス・ラボラトリーズの配当利回りは?

A: 配当実施の有無や利回りは最新の決算資料で確認してください。同社は配当よりも自社株買いを重視する資本政策をとっており、2025年に約15億ドル(時価総額の4%)の自社株買いを予定しています。自社株買いは1株当たり利益(EPS)を押し上げ、株価上昇につながる効果があります。米国株配当には米国10%・日本20.315%の二重課税が適用されます(外国税額控除・NISA口座で軽減可能)。

Q: アイデックス・ラボラトリーズの主な競合は?

A: Zoetis(動物薬・ワクチン)、Heska(動物診断機器)、Antech Diagnostics(動物検査ラボサービス)などが主要競合です。IDEXXの差別化ポイントは、診断機器とソフトウェア(ezyVet、Neo、VetConnect Plus、Vello)の統合エコシステムで顧客維持率90%台後半を実現していること、がん診断(IDEXX Cancer Dx™)やスライド不要診断(IDEXX inVue Dx™)など革新的製品を展開していること、全世界175ヵ国以上に展開し7万件の動物病院に製品・サービスを提供していることです。

Q: アイデックス・ラボラトリーズのリスク要因は?

A: 主なリスクは以下の通りです:① 動物病院への来院数変動(Zoetisが国内クリニック来院数低迷を報告、IDXX株は52週高値548.88ドルから26%下落)、② 成長率鈍化への懸念(ROIC低下、中国関税リスク、資本配分方針への懸念)、③ 新製品の市場受入リスク(IDEXX Cancer Dx™やIDEXX inVue Dx™が受け入れられない可能性)、④ 為替リスク、⑤ 競合の技術革新。詳細は本文「5. リスク要因」を参照してください。

Q: アイデックス・ラボラトリーズは長期投資に向いている?

A: ペット医療という景気耐性の高い市場で安定成長を目指す投資家、ディフェンシブ株でポートフォリオを安定させたい投資家に向いています。450億ドルの世界市場機会、顧客維持率90%台後半、営業利益率31.1~31.6%維持、2025年EPS 11.93~12.43ドル(10~15%増)、アナリストコンセンサス「Moderate Buy」(平均目標株価724.38ドル、現在価格から12.28%上昇)など、長期的な成長が期待されます。投資判断はご自身で行ってください。

よくある質問

Q1アイデックス・ラボラトリーズの配当利回りは?

A1配当実施の有無や利回りは最新の決算資料で確認してください。同社は配当よりも自社株買いを重視する資本政策をとっており、2025年に約15億ドル(時価総額の4%)の自社株買いを予定しています。自社株買いは1株当たり利益(EPS)を押し上げ、株価上昇につながる効果があります。米国株配当には米国10%・日本20.315%の二重課税が適用されます(外国税額控除・NISA口座で軽減可能)。

Q2アイデックス・ラボラトリーズの主な競合は?

A2Zoetis(動物薬・ワクチン)、Heska(動物診断機器)、Antech Diagnostics(動物検査ラボサービス)などが主要競合です。IDEXXの差別化ポイントは、診断機器とソフトウェア(ezyVet、Neo、VetConnect Plus、Vello)の統合エコシステムで顧客維持率90%台後半を実現していること、がん診断(IDEXX Cancer Dx™)やスライド不要診断(IDEXX inVue Dx™)など革新的製品を展開していること、全世界175ヵ国以上に展開し7万件の動物病院に製品・サービスを提供していることです。

Q3アイデックス・ラボラトリーズのリスク要因は?

A3主なリスクは以下の通りです:① 動物病院への来院数変動(Zoetisが国内クリニック来院数低迷を報告、IDXX株は52週高値548.88ドルから26%下落)、② 成長率鈍化への懸念(ROIC低下、中国関税リスク、資本配分方針への懸念)、③ 新製品の市場受入リスク(IDEXX Cancer Dx™やIDEXX inVue Dx™が受け入れられない可能性)、④ 為替リスク、⑤ 競合の技術革新。詳細は本文「5. リスク要因」を参照してください。

Q4アイデックス・ラボラトリーズは長期投資に向いている?

A4ペット医療という景気耐性の高い市場で安定成長を目指す投資家、ディフェンシブ株でポートフォリオを安定させたい投資家に向いています。450億ドルの世界市場機会、顧客維持率90%台後半、営業利益率31.1~31.6%維持、2025年EPS 11.93~12.43ドル(10~15%増)、アナリストコンセンサス「Moderate Buy」(平均目標株価724.38ドル、現在価格から12.28%上昇)など、長期的な成長が期待されます。投資判断はご自身で行ってください。