0. この記事でわかること
本記事では、ウェルズ・ファーゴ(WFC)について以下の情報を提供します:
- なぜ注目されているのか: 2025年6月の資産上限解除により約7年ぶりに本格的な成長フェーズに突入、投資銀行事業の拡大、デジタルトランスフォーメーションが投資家の関心を集めています
- 事業内容と成長戦略: 米国第4位の商業銀行で、預金・貸出を中心とした伝統的な商業銀行ビジネスを柱とし、コア事業への集中と効率化を推進しています
- 競合との差別化: JPモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカといった大手銀行に対し、商業銀行中心の保守的な経営方針と強固な預金基盤で差別化を図っています
- 財務・配当の実績: 2025年Q3でROTCE(有形普通株主資本利益率)15%目標を達成、投資銀行手数料が四半期ベースで過去最高の8.4億ドル、配当を12.5%増配しました
- リスク要因: 過去の架空口座スキャンダル(2016年、30億ドルの罰金)による評判リスク、規制当局の継続的な監視、金利変動による収益影響が主なリスクです
※この記事は情報提供を目的としており、投資判断は自己責任で行ってください。
1. なぜウェルズ・ファーゴ(WFC)が注目されているのか
(1) 成長戦略の3つのポイント
ウェルズ・ファーゴは現在、3つの明確な成長戦略を推進しています。
第一に、2025年6月に連邦準備制度理事会(FRB)が7年間続いた1.95兆ドルの資産上限を解除しました。この資産上限は、2016年の架空口座スキャンダル(顧客の承諾なく150万件の口座を開設)に対する制裁措置として2018年に課されたもので、ウェルズ・ファーゴの成長を大きく制約していました。CEO チャーリー・シャーフは「規制制約がなくなり、変革を遂げたウェルズ・ファーゴは数年前よりはるかに魅力的な企業になった」と表明しており、資産上限解除により融資拡大、M&A、新規事業投資が可能になりました。
第二に、投資銀行部門を強化しています。2025年Q3の投資銀行手数料は前年比25%増の8.4億ドル(四半期ベースで過去最高)でした。過去数年で投資銀行部門に80-100名を採用し、今後も継続的に採用予定です。投資銀行事業の拡大により、トレーディング、M&Aアドバイザリー、引受業務などの手数料収入が増加しており、伝統的な預金・貸出ビジネスを補完する収益源として成長しています。
第三に、2019年以降、資産運用、コーポレート・トラスト、学生ローンなど12の事業を売却し、コア事業に集中しています。人員を2020年Q2の27.6万人から2025年Q3の21.1万人に約24%削減して効率化を推進しました。この事業売却と人員削減により、営業効率比率(経費÷収益)が改善し、ROTCE(有形普通株主資本利益率)の向上につながっています。
(2) 注目テーマ(資産上限解除・投資銀行拡大・デジタル変革)
投資家が特に注目しているのは以下の3つのテーマです。
資産上限解除後の成長加速:2025年6月の資産上限解除により、約7年ぶりに本格的な成長フェーズに突入しました。これにより、融資拡大(住宅ローン、商業不動産ローン、企業向け貸出)、預金獲得、M&A、新規事業投資が可能になりました。ウェルズ・ファーゴは「攻めの成長戦略」として、個人・法人預金の獲得や選別的な融資拡大を推進しており、資産上限解除が長期的な成長ドライバーとなっています。
投資銀行事業拡大:投資銀行手数料は2025年の最初の9カ月間で前年比19%増加し、トレーディング、投資銀行、投資顧問の好調な手数料収入が成長を牽引しています。2025年Q3の投資銀行手数料は四半期ベースで過去最高の8.4億ドルを記録しました。ウェルズ・ファーゴは、伝統的な商業銀行ビジネスを柱としつつ、投資銀行事業を拡大することで、収益の多様化と高収益化を図っています。
デジタルトランスフォーメーション:Microsoft AzureおよびGoogle Cloudとの提携により、従来のメインフレームからマルチクラウドへのデジタル変革を加速させています。デジタル化により、顧客体験の向上、運営効率の改善、新規サービスの提供が可能になります。ウェルズ・ファーゴは、Strategy, Digital, and Innovation (SDI)チームが戦略方向を策定しており、イノベーション・テクノロジーを重視した経営を推進しています。
(3) 投資家の関心・懸念点
投資家の関心は高く、アナリストコンセンサスは「買い」で、平均目標株価は$84.04(最高$92、最低$66)です。2025年通期のEPS予想は$6.10、2026年には$6.80に達する見込みです。
2025年Q3決算では、目標としていた15%のROTCE(有形普通株主資本利益率)を達成し、中期的には17-18%への引き上げを目指しています。また、400億ドルの新規自社株買いプログラムを発表し、配当を12.5%増配するなど、積極的な株主還元策を実施しています。2025年Q2の純利益は55億ドル(1株当たり$1.60)でした。
一方で、懸念点も存在します。2016年の架空口座スキャンダル(顧客の承諾なく150万件の口座を開設)により30億ドルの連邦罰金を支払いました。現在も社員が顧客から追加収益を絞り取るプレッシャーにさらされているとの報告があります。また、2022年のニューヨーク・タイムズ報道により、多様性目標達成のために既に埋まっている職に対して面接を実施したとされ、株価が8.6%下落しました。投資家による派生訴訟が和解に至りましたが、評判リスクと規制リスクは継続しています。
2. ウェルズ・ファーゴの事業内容・成長戦略
(1) 主力事業
ウェルズ・ファーゴは4つの主力事業を展開しています。
消費者・コミュニティバンキング事業:個人向け預金・貸出、住宅ローン、クレジットカード、自動車ローンなどを提供します。米国で約7,000の支店を運営しており、強固な預金基盤を持っています。消費者向けビジネスは、預金により低コストで資金を調達し、貸出により利ザヤを獲得するビジネスモデルです。
商業バンキング事業:中小企業・中堅企業向けに預金、貸出、キャッシュマネジメント、トレードファイナンスなどを提供します。商業銀行業務は、ウェルズ・ファーゴの伝統的な強みであり、長期的な顧客関係の構築に注力しています。
コーポレート・投資銀行事業:大企業・機関投資家向けに、M&Aアドバイザリー、資本調達(株式・債券の引受)、トレーディング、ストラクチャード・ファイナンスなどを提供します。投資銀行事業は、2025年Q3の投資銀行手数料が四半期ベースで過去最高の8.4億ドルを記録するなど、急成長しています。
ウェルスマネジメント・投資管理事業:富裕層向けにウェルスマネジメント、信託サービス、年金運用などを提供します。富裕層向けウェルスマネジメントは前年同期比20%増と好調です。
(2) セクター・業種の説明
ウェルズ・ファーゴはFinancials(金融)セクター、Banks(銀行)業種に分類されます。
銀行業は、預金受け入れと貸し出しを主業務とする伝統的な商業銀行と、M&Aアドバイザリー・資本調達・トレーディングを主業務とする投資銀行に分かれます。ウェルズ・ファーゴは、伝統的な商業銀行ビジネスを柱としつつ、投資銀行事業も拡大しています。
銀行業の収益は、主に以下の3つです。
- 純金利収入(Net Interest Income):預金金利と貸出金利の差(利ザヤ)により得られる収入。金利環境に大きく影響される。
- 手数料収入(Non-Interest Income):投資銀行手数料、トレーディング収益、ウェルスマネジメント手数料など。金利環境に左右されにくい安定収益源。
- その他収入:信託報酬、保険収入など。
ウェルズ・ファーゴは、資産上限解除により純金利収入の拡大が期待される一方、投資銀行事業の拡大により手数料収入も増加しており、収益の多様化を図っています。
(3) ビジネスモデルの特徴
ウェルズ・ファーゴのビジネスモデルには以下の3つの特徴があります。
商業銀行中心の保守的な経営方針:ウェルズ・ファーゴは、伝統的な商業銀行ビジネスを柱とする保守的な経営方針を採っています。預金により低コストで資金を調達し、貸出により利ザヤを獲得するビジネスモデルです。JPモルガン・チェースのような総合金融グループと比べると、投資銀行事業の比重は小さく、リスク管理を重視した経営を行っています。
強固な預金基盤:米国で約7,000の支店を運営しており、個人・法人から安定した預金を獲得しています。預金は、貸出のための低コスト資金源であり、銀行業の競争優位性の源泉です。ウェルズ・ファーゴの預金残高は約1.3兆ドルで、米国第4位の規模を誇ります。
コア事業への集中と効率化:2019年以降、資産運用、コーポレート・トラスト、学生ローンなど12の事業を売却し、コア事業に集中しています。人員を2020年Q2の27.6万人から2025年Q3の21.1万人に約24%削減して効率化を推進しました。この事業売却と人員削減により、営業効率比率(経費÷収益)が改善し、ROTCE(有形普通株主資本利益率)15%目標を達成しました。
3. 競合との差別化
(1) 主要競合企業
ウェルズ・ファーゴの主要競合企業は以下の3社です。
JPモルガン・チェース(JPM):米国最大の銀行で、総資産約4兆ドル。商業銀行と投資銀行の両方で圧倒的な地位を占めています。時価総額は約$600B-$650Bで、ウェルズ・ファーゴ(約$200B-$220B)の約3倍です。
バンク・オブ・アメリカ(BAC):米国第2位の銀行で、総資産約3兆ドル。ウェルズ・ファーゴと同様に、商業銀行を中心としつつ、投資銀行事業も拡大しています。時価総額は約$340B-$380Bです。
シティグループ(C):米国第3位の銀行で、総資産約2.4兆ドル。グローバル展開に強みを持ち、新興国市場での収益比率が高いのが特徴です。時価総額は約$140B-$160Bです。
(2) 競合優位性
ウェルズ・ファーゴの競合優位性は以下の3点です。
商業銀行中心の保守的な経営方針:伝統的な商業銀行ビジネスを柱とする保守的な経営方針により、リスク管理を重視した経営を行っています。JPモルガン・チェースのような総合金融グループと比べると、投資銀行事業の比重は小さく、金融危機時のリスクが限定的です。また、商業銀行事業は景気変動に比較的強く、安定した収益が見込まれます。
強固な預金基盤:米国で約7,000の支店を運営しており、個人・法人から安定した預金を獲得しています。預金残高は約1.3兆ドルで、米国第4位の規模を誇ります。預金は低コスト資金源であり、貸出により利ザヤを獲得できるため、銀行業の競争優位性の源泉です。
資産上限解除後の成長加速:2025年6月の資産上限解除により、約7年ぶりに本格的な成長フェーズに突入しました。これにより、融資拡大、M&A、新規事業投資が可能になり、競合他社に対して成長余地が大きいと見られています。ROTCEを17-18%に引き上げる目標(従来目標15%から上方修正)は、資産上限解除による成長加速を反映しています。
(3) 市場でのポジショニング
ウェルズ・ファーゴは、米国第4位の商業銀行としてポジショニングされています。総資産は約1.95兆ドルで、JPモルガン・チェース(約4兆ドル)、バンク・オブ・アメリカ(約3兆ドル)、シティグループ(約2.4兆ドル)に次ぐ規模です。
時価総額は約$200B-$220Bで、JPモルガン・チェース(約$600B-$650B)、バンク・オブ・アメリカ(約$340B-$380B)と比べると小さいですが、資産上限解除後の成長加速により、時価総額の拡大が期待されています。
商業銀行中心の保守的な経営方針により、投資銀行事業の比重は小さいですが、2025年Q3の投資銀行手数料が四半期ベースで過去最高の8.4億ドルを記録するなど、投資銀行事業も拡大しています。
4. 財務・配当の実績
(1) 売上高・利益の推移
ウェルズ・ファーゴの財務推移は以下の通りです(単位:十億ドル)。
項目 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | 2025年(予想) |
---|---|---|---|---|
総収益 | 73.8 | 82.2 | 86.5(推定) | 90.0(推定) |
純利益 | 13.2 | 19.1 | 21.5(推定) | 23.0(推定) |
EPS | $2.86 | $4.62 | $5.38(予想) | $6.10(予想) |
ROTCE | 9.5% | 13.8% | 15.0%(目標) | 17-18%(目標) |
(出典: Wells Fargo Investor Relations、10-K Annual Reports)
総収益は継続的に成長しており、2022年の$73.8Bから2025年予想$90.0Bへと年平均約7%の成長を実現しています。投資銀行手数料の増加と純金利収入の改善が成長を牽引しています。
ROTCE(有形普通株主資本利益率)は大幅に改善しており、2022年の9.5%から2025年目標15%、中期的には17-18%への引き上げを目指しています。ROTCEの改善は、事業売却・人員削減による効率化、投資銀行事業の拡大、資産上限解除による成長加速が要因です。
2025年Q3決算では、15%のROTCE目標を達成し、2025年Q2の純利益は55億ドル(1株当たり$1.60)でした。
※2025年10月時点のデータです。最新情報はウェルズ・ファーゴ公式IRページをご確認ください。
(2) 配当履歴
ウェルズ・ファーゴは、配当を継続的に増配しており、2025年Q2に配当を12.5%増配しました。年間配当は約$1.60-$1.80(四半期配当$0.40-$0.45前後)で、株価を$70-$80とすると、配当利回りは約2.5-3.0%となります。
配当性向は約30-35%(純利益基準)で、銀行株としては標準的な水準です。銀行株は、自己資本比率規制により一定の資本を維持する必要があるため、配当性向は一般企業よりやや低めです。
ウェルズ・ファーゴは、400億ドルの新規自社株買いプログラムを発表しており、配当と自社株買いの両面で積極的な株主還元を実施しています。自社株買いにより、発行済株式数が減少し、1株当たり利益(EPS)が向上するため、株主にとっては配当に加えたリターンとなります。
(3) 財務健全性
ウェルズ・ファーゴの財務健全性は良好です。以下の指標で確認できます。
自己資本比率(CET1比率):約11-12%で、規制当局が要求する最低水準(約9.5%)を上回っています。自己資本比率は、銀行の財務健全性を示す重要な指標で、高いほど安全性が高いとされています。
格付け:S&PおよびMoody'sから投資適格級の格付け(A-/A3前後)を取得しており、財務基盤は安定しています。
不良債権比率:約0.5-0.6%で、業界平均と同水準です。不良債権比率が低いことは、貸出ポートフォリオの質が高いことを示しています。
流動性:預金残高は約1.3兆ドルで、米国第4位の規模を誇ります。預金は低コスト資金源であり、貸出のための安定した資金調達が可能です。
5. リスク要因
(1) 事業リスク
ウェルズ・ファーゴの事業リスクとして、以下の3点が挙げられます。
過去の架空口座スキャンダルによる評判リスク:2016年の架空口座スキャンダル(顧客の承諾なく150万件の口座を開設)により30億ドルの連邦罰金を支払いました。このスキャンダルは、クロスセリング(既存顧客に複数の商品・サービスを販売する手法)を強調しすぎた結果、顧客が頼んでいない口座を次々に開設する不正が横行したことが原因です。現在も社員が顧客から追加収益を絞り取るプレッシャーにさらされているとの報告があり、評判リスクは継続しています。
規制当局の継続的な監視:ウェルズ・ファーゴは、過去の不正問題により規制当局の継続的な監視下にあります。2018年に課された資産上限は2025年6月に解除されましたが、規制当局は引き続き同社のコンプライアンス体制を監視しています。規制違反が再発すると、罰金や事業制限が課される可能性があります。
多様性目標に関する不正面接疑惑:2022年のニューヨーク・タイムズ報道により、多様性目標達成のために既に埋まっている職に対して面接を実施したとされ、株価が8.6%下落しました。投資家による派生訴訟が和解に至りましたが、企業文化の問題が指摘されています。
(2) 市場環境リスク
ウェルズ・ファーゴは市場環境の変化により、以下のリスクに直面しています。
金利変動による収益影響:銀行業は、純金利収入(預金金利と貸出金利の差)が主要な収益源であり、金利環境に大きく影響されます。金利が上昇すると、貸出金利も上昇し、純金利収入が増加します。一方で、金利が低下すると、純金利収入が減少するリスクがあります。また、金利上昇により住宅ローンや商業不動産ローンの需要が減少するリスクもあります。
景気後退リスク:景気が悪化すると、企業・個人の信用力が低下し、不良債権が増加するリスクがあります。また、貸出需要が減少し、純金利収入が減少する可能性があります。ウェルズ・ファーゴは、商業銀行中心の経営方針により、景気変動の影響を受けやすい構造です。
為替リスク:日本人投資家にとっては、円高が進むと配当受取額や売却益が目減りするリスクがあります。銀行株は配当利回りが高いため、為替変動の影響を受けやすくなります。
(3) 規制・競争リスク
ウェルズ・ファーゴは規制・競争面で以下のリスクに直面しています。
規制強化リスク:銀行業は、自己資本比率規制、流動性規制、ストレステストなど、厳しい規制下にあります。規制が強化されると、資本コストが増加し、収益性が悪化するリスクがあります。また、過去の不正問題により、ウェルズ・ファーゴは規制当局から厳しい監視を受けており、規制違反が再発すると、罰金や事業制限が課される可能性があります。
競合他社との競争激化:JPモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカ、シティグループといった大手銀行との競争が激化すると、預金金利の引き上げ競争や貸出金利の引き下げ競争が発生し、利ザヤが縮小するリスクがあります。また、フィンテック企業の台頭により、デジタルバンキングや決済サービスでの競争も激化しています。
バークシャー・ハサウェイの株式売却:ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイは、1989年からウェルズ・ファーゴに投資していましたが、2021年にほぼ全株を売却しました。バフェットは「経営陣の問題解決能力に疑問を持った」と説明しており、一部の投資家がウェルズ・ファーゴの経営に懸念を抱く要因となっています。
6. まとめ:投資判断のポイント
(1) この銘柄の強みを3点
ウェルズ・ファーゴの強みは以下の3点です。
第一に、資産上限解除後の成長加速です。2025年6月の資産上限解除により、約7年ぶりに本格的な成長フェーズに突入しました。これにより、融資拡大、M&A、新規事業投資が可能になり、ROTCEを17-18%に引き上げる目標(従来目標15%から上方修正)を掲げています。資産上限解除により、競合他社に対して成長余地が大きいと見られています。
第二に、強固な預金基盤です。米国で約7,000の支店を運営しており、預金残高は約1.3兆ドルで米国第4位の規模を誇ります。預金は低コスト資金源であり、貸出により利ザヤを獲得できるため、銀行業の競争優位性の源泉です。
第三に、積極的な株主還元です。2025年Q2に配当を12.5%増配し、400億ドルの新規自社株買いプログラムを発表しました。配当と自社株買いの両面で積極的な株主還元を実施しており、株主にとって魅力的な投資先となっています。
(2) リスク要因(再掲)
ウェルズ・ファーゴの主なリスク要因は以下の2点です。
過去の不正問題と規制リスク:2016年の架空口座スキャンダル(30億ドルの罰金)により評判リスクが継続しており、規制当局の継続的な監視下にあります。規制違反が再発すると、罰金や事業制限が課される可能性があります。
金利変動による収益影響:銀行業は、純金利収入(預金金利と貸出金利の差)が主要な収益源であり、金利環境に大きく影響されます。金利が低下すると、純金利収入が減少するリスクがあります。
(3) 向いている投資家のタイプを2-3種類
ウェルズ・ファーゴは以下のような投資家に向いています。
資産上限解除後の成長加速に期待する投資家:2025年6月の資産上限解除により、約7年ぶりに本格的な成長フェーズに突入しました。ROTCEを17-18%に引き上げる目標(従来目標15%から上方修正)を掲げており、成長加速に期待する投資家に適しています。
配当と自社株買いによる株主還元を重視する投資家:2025年Q2に配当を12.5%増配し、400億ドルの新規自社株買いプログラムを発表しました。配当利回り約2.5-3.0%と自社株買いにより、安定したリターンが期待できます。
商業銀行の安定性を評価する投資家:伝統的な商業銀行ビジネスを柱とする保守的な経営方針により、リスク管理を重視した経営を行っています。強固な預金基盤と安定した純金利収入により、景気変動に比較的強い銘柄です。
※投資判断は自己責任で行ってください。この記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄を推奨するものではありません。最新の財務データや市場動向は、ウェルズ・ファーゴ公式IRページやSEC EDGARで確認してください。
Q: ウェルズ・ファーゴの配当利回りは?
A: 約2.5-3.0%前後です(2025年3月時点、株価$70-$80前後を前提)。2025年Q2に配当を12.5%増配し、年間配当は約$1.60-$1.80(四半期配当$0.40-$0.45前後)です。また、400億ドルの新規自社株買いプログラムを発表しており、配当と自社株買いの両面で積極的な株主還元を実施しています。配当性向は約30-35%(純利益基準)で、銀行株としては標準的な水準です。
Q: ウェルズ・ファーゴの主な競合は?
A: JPモルガン・チェース(JPM)、バンク・オブ・アメリカ(BAC)、シティグループ(C)等の大手銀行です。競合との差別化ポイントは、商業銀行中心の保守的な経営方針と強固な預金基盤にあります。米国で約7,000の支店を運営しており、預金残高は約1.3兆ドルで米国第4位の規模を誇ります。資産上限解除により、競合他社に対して成長余地が大きいと見られています。
Q: ウェルズ・ファーゴのリスク要因は?
A: 過去の架空口座スキャンダル(2016年、30億ドルの罰金)による評判リスク、規制当局の継続的な監視、金利変動による収益影響が主なリスクです。2016年の架空口座スキャンダルにより評判リスクが継続しており、規制当局の継続的な監視下にあります。また、銀行業は純金利収入が主要な収益源であり、金利環境に大きく影響されます。詳細は本文「5. リスク要因」を参照してください。
Q: ウェルズ・ファーゴは長期投資に向いている?
A: 資産上限解除後の成長加速と改善されたROTCE(17-18%目標)に期待する投資家に向いています。2025年6月の資産上限解除により、約7年ぶりに本格的な成長フェーズに突入しました。強固な預金基盤と積極的な株主還元により、長期的な安定リターンが期待できます。ただし、過去の不正問題と規制リスクに注意が必要です。投資判断はご自身で行ってください。