0. この記事でわかること
本記事では、ブッキング・ホールディングス(BKNG)について以下の情報を提供します:
- なぜ注目されているのか: Connected Trip戦略(宿泊・交通・アクティビティの統合)による顧客ロイヤルティ向上、代替宿泊施設の急成長(前年比10-14%増、全宿泊数の37%)、マーチャントモデルへの転換(全体の59%)
- 事業内容と成長戦略: Booking.com、Priceline、Kayak等のOTAプラットフォーム運営。40以上のAIソリューション展開、年間4~4.5億ドルのコスト削減を実現
- 競合との差別化: Expedia、Airbnbを上回る室泊数規模、Genius会員プログラム(アクティブ旅行者の30%超)、AI活用によるパーソナライゼーション強化
- 財務・配当の実績: 2025年Q2売上16%増、調整後EBITDA 28%増、調整後EPS 32%増と好調。現在無配当だが自社株買いで株主還元
- リスク要因: 成長率鈍化の懸念、バリュエーション高騰(PER 5年平均比22%高)、マクロ経済・地政学リスク、ホテル直接予約の増加
日本から米国株へ投資する際の税制(NISA)や為替コストについても、後述のセクションで触れます。投資判断の参考にしてください。
1. なぜブッキング・ホールディングス(BKNG)が注目されているのか
(1) 成長戦略の3つのポイント
ブッキング・ホールディングスは、Connected Trip戦略により宿泊・交通・アクティビティの統合サービスを提供し、顧客ロイヤルティを高めています。2025年Q2でConnected Trip取引が前年比40%増となり、クロスプラットフォーム利用者は単一サービス利用者より25%多く支出しています。複数のサービスを統合することで、顧客の旅行支出シェアを拡大する戦略です。
第二に、AI活用による顧客体験の差別化とパーソナライゼーション強化が挙げられます。40以上のAIソリューションを本番環境に展開し、OpenAI、Microsoft、Amazonとの提携で業界最前線のAI統合を推進しています。独自データとAI能力を活用し、顧客一人ひとりに最適化された旅行提案を実現しています。
第三に、効率化プログラムによる年間4~4.5億ドルのコスト削減を実現し、約1.7億ドルをAI能力・Connected Trip・フィンテック拡充に再投資しています。2025年以降は売上成長が固定費成長を上回る体制を構築し、収益性の改善を図っています。
(2) 注目テーマ(Connected Trip統合、代替宿泊施設急成長、マーチャントモデル転換)
Connected Trip統合は、投資家の注目テーマです。従来の宿泊予約だけでなく、航空券、レンタカー、アクティビティなどを一つのプラットフォームで予約できるようにすることで、顧客の利便性を高め、収益源を多様化しています。
代替宿泊施設の急成長も重要なテーマです。民泊等の代替宿泊施設が前年比10-14%増と伸びており、全宿泊数の37%に到達しています。リスティング数は840万件に達し、従来のホテル予約を超える規模に成長しています。Airbnbの台頭を背景に、ブッキング・ホールディングスも代替宿泊施設の取り扱いを強化しています。
マーチャントモデルへの転換も投資家の関心を集めています。Booking.comのマーチャント総予約額が全体の59%となり、前年比9ポイント増加しました。マーチャントモデルでは、予約時に顧客から全額を受け取り、手数料を差し引いて宿泊施設に支払う方式で、キャッシュフローの改善と収益性向上が期待されます。
(3) 投資家の関心・懸念点
投資家が注目する点として、好調な業績が挙げられます。2025年Q2の室泊数は3.09億室(前年比8%増)、総予約額13%増、売上16%増と堅調です。調整後EBITDA前年比28%増、調整後EPS前年比32%増と収益性も改善しています。現金・投資残高182億ドル、フリーキャッシュフロー31億ドル(Q2)と財務健全性も良好です。
アナリストの評価も概ね良好で、目標株価は平均5,459.26ドルとなっています。2029年までに売上125.3億ドル到達が見込まれており、収益7.9%、利益14.6%、EPS 16.7%の年成長率が予想されています。
一方で、懸念点もあります。成長率鈍化の懸念があり、Q1 2025の室泊数成長率5-7%ガイダンスはQ4の13%から減速しています。第3四半期以降も慎重見通しで、短期的にはマクロ経済・地政学リスクが重荷となっています。
バリュエーション高騰も懸念材料です。PERが5年平均比22%高く、歴史的倍率30倍は割高との見方があります。純利益前年比-46.54%で収益持続性に懸念があり、Q1利益予想は2桁減となっています。マイナス自己資本(自社株買いと負債増加)も指摘されていますが、強力なキャッシュフローとソルベンシー指標が緩和要因となっています。
2. ブッキング・ホールディングスの事業内容・成長戦略
(1) 主力事業(Booking.com、Priceline、Kayak等のOTAプラットフォーム)
ブッキング・ホールディングスの主力事業は、オンライン旅行代理店(OTA)プラットフォームの運営です。主要ブランドとして、Booking.com、Priceline、Kayak、Agoda、OpenTable、RentalCarsなどを保有しています。
Booking.comは欧州を中心に世界最大級の宿泊予約プラットフォームです。ホテルだけでなく、民泊、バケーションレンタル、ホステルなど幅広い宿泊施設を取り扱っています。Genius会員プログラムにより、ロイヤルティ顧客の囲い込みを強化しており、レベル2・3会員がアクティブ旅行者の30%超を占めています。
Pricelineは米国市場に強みを持つOTAで、航空券、ホテル、レンタカーなどを取り扱っています。「Name Your Own Price」(顧客が希望価格を提示する)サービスで知られています。
Kayakはメタサーチ型の旅行検索エンジンで、複数のOTAや航空会社の価格を比較検索できます。広告収入モデルと予約手数料モデルを組み合わせています。
Agodaはアジア太平洋地域に強みを持つOTAで、中国市場への対応も進めています。ブッキング・ホールディングスはTrip.comへの出資を通じて中国市場にも展開しています。
(2) セクター・業種の説明(一般消費財・ホテル/レストラン/レジャー)
ブッキング・ホールディングスは一般消費財(Consumer Discretionary)セクターに分類され、業種はホテル/レストラン/レジャー(Hotels, Restaurants & Leisure)です。一般消費財セクターは、景気変動に敏感な特性があり、景気拡大局面では消費が増加し、景気後退局面では消費が減少します。
旅行業界は、マクロ経済、地政学リスク、為替変動、燃料価格などの影響を受けやすい特性があります。コロナ禍では旅行需要が激減し、業績が大幅に悪化しましたが、2022年以降はV字回復を遂げています。
オンライン旅行代理店(OTA)は、手数料収入モデルで固定費が低いビジネス構造を持ちます。在庫を持たず、ホテルや航空会社と顧客を仲介することで手数料を得るため、旅行需要の回復局面では業績が急拡大する傾向があります。
(3) ビジネスモデルの特徴(手数料収入中心、低固定費構造)
ブッキング・ホールディングスのビジネスモデルは、手数料収入中心で低固定費構造が特徴です。宿泊予約が成立すると、宿泊料金の一定割合(通常10-25%程度)を手数料として受け取ります。在庫を持たないため、在庫リスクがなく、固定費が低いビジネスモデルです。
収益構造は、主に手数料収入と広告収入に大別されます。手数料収入は、宿泊予約、航空券予約、レンタカー予約などの予約成立時に得られます。広告収入は、Kayak等のメタサーチサービスで、OTAや航空会社から広告料を受け取ります。
マーチャントモデルへの転換も特徴的です。従来のエージェンシーモデル(顧客が宿泊施設に直接支払い、手数料のみ受け取る)から、マーチャントモデル(顧客から全額を受け取り、手数料を差し引いて宿泊施設に支払う)への移行を進めています。Booking.comのマーチャント総予約額が全体の59%となり、キャッシュフローの改善と収益性向上が期待されます。
Connected Trip戦略も差別化要因です。宿泊・交通・アクティビティを一つのプラットフォームで予約できるようにすることで、顧客の利便性を高め、収益源を多様化しています。クロスプラットフォーム利用者は単一サービス利用者より25%多く支出しており、顧客生涯価値(LTV)の向上が図られています。
AI活用によるパーソナライゼーション強化も進んでいます。40以上のAIソリューションを展開し、顧客一人ひとりの好みや過去の予約履歴に基づいた最適な旅行提案を実現しています。OpenAI、Microsoft、Amazonとの提携により、業界最前線のAI統合を推進しています。
3. 競合との差別化
(1) 主要競合企業(Expedia、Airbnb、Trip.com)
ブッキング・ホールディングスの主要競合は、Expedia、Airbnb、Trip.comです。
Expediaはブッキング・ホールディングスと並ぶOTA大手で、Expedia.com、Hotels.com、Vrboなどのブランドを保有しています。米国市場に強みを持ち、航空券、ホテル、パッケージツアーなど幅広いサービスを提供しています。
Airbnbは民泊プラットフォームの先駆者で、個人が所有する物件を宿泊施設として提供するビジネスモデルです。従来のホテル予約とは異なる体験型宿泊を提供し、若年層やファミリー層に人気があります。代替宿泊施設市場の急成長により、ブッキング・ホールディングスとの競争が激化しています。
Trip.com(携程旅行網)は中国最大のOTAで、中国国内旅行と中国発海外旅行に強みを持ちます。ブッキング・ホールディングスはTrip.comに出資しており、戦略的パートナーシップを構築しています。
(2) 競合優位性(室泊数規模、AI活用、Genius会員プログラム)
ブッキング・ホールディングスの競合優位性は、室泊数規模の大きさです。2025年Q2の室泊数は3.09億室で、世界最大級のOTAとしてのスケールメリットを活かしています。規模が大きいほど、宿泊施設との交渉力が強く、手数料率や在庫確保で有利になります。
AI活用によるパーソナライゼーション強化も差別化要因です。40以上のAIソリューションを展開し、独自データとAI能力を活用して顧客一人ひとりに最適化された旅行提案を実現しています。OpenAI、Microsoft、Amazonとの提携により、業界最前線のAI統合を推進しており、競合に対する技術優位性を構築しています。
Genius会員プログラムも競合優位性です。レベル2・3会員がアクティブ旅行者の30%超を占め、2024年に約6億室泊を創出しています。会員向けに割引や特典を提供することで、顧客ロイヤルティを高め、リピート予約を促進しています。
(3) 市場でのポジショニング(世界最大級のOTA、欧州市場強み)
ブッキング・ホールディングスは、世界最大級のOTAとして、グローバル市場で重要なポジションを占めています。特に欧州市場では圧倒的なシェアを持ち、売上の約50%を欧州市場が占めています。
代替宿泊施設市場での存在感も高まっています。民泊等の代替宿泊施設が全宿泊数の37%に到達し、リスティング数840万件という規模は、Airbnbに匹敵する水準です。従来のホテル予約だけでなく、民泊・バケーションレンタルにも強みを持つことで、幅広い顧客ニーズに対応しています。
Connected Trip戦略により、単なる宿泊予約プラットフォームから、総合旅行プラットフォームへの転換を図っています。宿泊・交通・アクティビティを統合することで、顧客の旅行支出シェアを拡大し、競合に対する差別化を図っています。
アナリストの評価は概ね良好で、目標株価平均5,459.26ドル、2029年までに売上125.3億ドル到達が見込まれています。ただし、バリュエーション高騰と成長率鈍化の懸念もあり、短期的には慎重な見方もあります。
4. 財務・配当の実績
(1) 売上高・利益の推移(過去5年、コロナからのV字回復)
ブッキング・ホールディングスの財務データは、コロナ禍からのV字回復を反映しています。過去5年の概況は以下の通りです(詳細は最新の10-Kレポートを参照してください)。
2020年はコロナ禍により旅行需要が激減し、業績が大幅に悪化しました。国際旅行の制限により、売上が前年比50%以上減少し、赤字に転落しました。
2021年はワクチン接種の進展により旅行需要が回復し始めましたが、変異株の出現により回復ペースが鈍化しました。2022年以降は旅行需要が本格的に回復し、売上・利益ともに急拡大しました。
2025年Q2には売上16%増、調整後EBITDA 28%増、調整後EPS 32%増と好調な業績を達成しています。室泊数3.09億室(前年比8%増)、総予約額13%増と堅調に推移しています。
2025年通期見通しは、総予約額・売上が低い2桁成長、調整後EBITDA成長率が中位10%台、調整後EPS成長率が高位10%台(定額ベース)となっています。ただし、Q1 2025の室泊数成長率5-7%ガイダンスはQ4の13%から減速しており、成長率鈍化の懸念があります。
※2025年10月時点のデータです。最新情報はBooking Holdings Investor Relationsページをご確認ください。 (出典: Booking Holdings Inc. 10-K 2024, SEC EDGAR)
(2) 配当履歴(現在無配当、自社株買いで株主還元)
ブッキング・ホールディングスは現在無配当です。利益を成長投資や自社株買いに充当しており、配当ではなくキャピタルゲイン(株価上昇による利益)を狙う銘柄です。
自社株買いにより株主還元を行っており、発行済株式数を減らすことで1株あたり利益(EPS)を向上させています。自社株買いはマイナス自己資本の要因となっていますが、強力なキャッシュフローにより財務健全性は維持されています。
無配当株であるため、配当による税金の二重課税問題は発生しません。NISA口座で保有する場合、株価上昇による利益(キャピタルゲイン)が非課税となる点がメリットです。
成長株志向の投資家にとっては、配当よりも株価上昇によるリターンを期待できる銘柄として魅力的です。ただし、安定配当を期待する投資家には向かない銘柄です。
(3) 財務健全性(現金・投資残高182億ドル、フリーキャッシュフロー好調)
ブッキング・ホールディングスの財務健全性は、強力なキャッシュフロー創出力に支えられています。2025年Q2時点で現金・投資残高182億ドル、フリーキャッシュフロー31億ドル(Q2)と良好です。
手数料収入中心のビジネスモデルにより、在庫リスクがなく、固定費が低いため、キャッシュフロー創出力が高い特性があります。旅行需要の回復局面では、予約増加に伴い手数料収入が増加し、フリーキャッシュフローが急拡大します。
マイナス自己資本(自社株買いと負債増加)が指摘されていますが、強力なキャッシュフローとソルベンシー指標(支払能力指標)が緩和要因となっています。自社株買いによる株主還元を優先しているため、自己資本がマイナスになっていますが、事業の収益性とキャッシュフロー創出力は健全です。
効率化プログラムにより年間4~4.5億ドルのコスト削減を実現し、約1.7億ドルをAI能力・Connected Trip・フィンテック拡充に再投資しています。2025年以降は売上成長が固定費成長を上回る体制を構築し、収益性の改善が期待されます。
5. リスク要因
(1) 事業リスク(成長率鈍化の懸念、ホテル直接予約の増加)
ブッキング・ホールディングスの最大のリスクは、成長率鈍化の懸念です。Q1 2025の室泊数成長率5-7%ガイダンスはQ4の13%から減速しており、第3四半期以降も慎重見通しとなっています。旅行需要の回復ペースが鈍化すれば、業績成長が限定的になる可能性があります。
ホテル直接予約の増加も事業リスクです。ホテルチェーンが独自のウェブサイト・アプリを強化し、直接予約を促進する動きが広がっています。マリオット、ヒルトン、IHGなどの大手ホテルチェーンは、会員向け特典を充実させることで、OTAへの依存度を下げようとしています。直接予約が増加すれば、ブッキング・ホールディングスの手数料収入が減少します。
AI破壊的技術による業界構造変化のリスクも無視できません。生成AIにより、顧客が直接ホテルや航空会社を検索・予約できるようになれば、OTAの仲介価値が低下する可能性があります。ブッキング・ホールディングスはAI活用を推進していますが、競合も同様にAI投資を進めており、技術的優位性が維持できるかは不透明です。
(2) 市場環境リスク(マクロ経済・地政学リスク、為替変動、欧州市場依存)
マクロ経済・地政学リスクは、旅行需要に大きく影響します。景気後退、インフレ、金利上昇により消費者の旅行支出が減少すれば、予約数が減少し業績が悪化します。地政学リスク(戦争、テロ、政情不安)により国際旅行が制限されれば、業績に悪影響を与えます。
為替変動リスクも重要です。欧州市場が売上の約50%を占めるため、ユーロ安・ドル高局面では、ドル換算の売上が減少します。日本の投資家にとっては、円高・ドル安局面で円換算の株価が下落する点も考慮が必要です。
欧州市場への依存も懸念材料です。欧州経済の低迷や欧州域内の旅行需要減少により、業績が影響を受ける可能性があります。ブッキング・ホールディングスは地域分散を進めていますが、短期的には欧州市場への依存度が高い状況が続いています。
(3) 規制・競争リスク(バリュエーション高騰、Airbnb等の台頭)
バリュエーション高騰のリスクは、投資家にとって重要な懸念です。PERが5年平均比22%高く、歴史的倍率30倍は割高との見方があります。純利益前年比-46.54%で収益持続性に懸念があり、Q1利益予想は2桁減となっています。
株価が業績見通しを先取りして上昇している場合、業績が期待を下回れば株価が急落するリスクがあります。成長率鈍化の懸念が現実化すれば、バリュエーション調整により株価が下落する可能性があります。
Airbnb等の台頭も競争リスクです。民泊プラットフォームの成長により、従来のホテル予約市場が浸食されています。ブッキング・ホールディングスも代替宿泊施設の取り扱いを強化していますが、Airbnbのブランド力や顧客体験で劣る可能性があります。
規制リスクとしては、OTAへの規制強化が挙げられます。欧州では、OTAの価格表示や手数料の透明性を求める規制が強化されています。規制対応コストが増加すれば、収益性が圧迫される可能性があります。
6. まとめ:投資判断のポイント
(1) この銘柄の強み(Connected Trip戦略、AI活用、コスト削減による収益性改善)
ブッキング・ホールディングスの強みは、以下の3点に集約されます。
第一に、Connected Trip戦略による顧客ロイヤルティ向上です。宿泊・交通・アクティビティを統合することで、顧客の利便性を高め、収益源を多様化しています。クロスプラットフォーム利用者は単一サービス利用者より25%多く支出しており、顧客生涯価値(LTV)の向上が図られています。
第二に、AI活用によるパーソナライゼーション強化です。40以上のAIソリューションを展開し、独自データとAI能力を活用して顧客一人ひとりに最適化された旅行提案を実現しています。OpenAI、Microsoft、Amazonとの提携により、業界最前線のAI統合を推進しています。
第三に、コスト削減による収益性改善です。年間4~4.5億ドルのコスト削減を実現し、約1.7億ドルをAI能力・Connected Trip・フィンテック拡充に再投資しています。2025年以降は売上成長が固定費成長を上回る体制を構築し、収益性の改善が期待されます。
(2) リスク要因(成長鈍化、バリュエーション高騰、マクロ経済感応度)
リスク要因として、以下の2点を再確認してください。
第一に、成長率鈍化の懸念です。Q1 2025の室泊数成長率5-7%ガイダンスはQ4の13%から減速しており、旅行需要の回復ペースが鈍化しています。ホテル直接予約の増加やAI破壊的技術により、OTAの仲介価値が低下する可能性があります。
第二に、バリュエーション高騰とマクロ経済感応度です。PERが5年平均比22%高く、株価が業績見通しを先取りして上昇しています。景気後退、インフレ、地政学リスクにより旅行需要が減少すれば、業績が悪化し株価が急落するリスクがあります。
(3) 向いている投資家(旅行需要回復期待、成長株志向、リスク許容度高め)
ブッキング・ホールディングスは、以下のような投資家に向いています。
旅行需要の長期成長を期待する投資家: コロナ後の旅行需要回復トレンドが続くと期待し、オンライン旅行予約市場の成長に投資したい投資家に適しています。Connected Trip戦略やAI活用により、競合に対する優位性を構築しています。
成長株志向の投資家: 現在無配当ですが、株価上昇(キャピタルゲイン)を期待できる成長株として魅力的です。自社株買いにより1株あたり利益(EPS)を向上させており、株主還元に積極的です。
リスク許容度が高めの投資家: 景気変動に敏感な一般消費財セクターであり、マクロ経済・地政学リスクにより業績が変動する可能性があります。バリュエーション高騰の懸念もあり、短期的な株価変動に耐えられる投資家に向いています。
逆に、安定配当を期待する投資家や、景気変動リスクを避けたい投資家には向かない可能性があります。無配当株であるため、配当収入を期待する投資家には不向きです。
免責事項: 本記事は情報提供を目的としており、個別銘柄の推奨や投資助言を行うものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。最新の財務データや市場動向は、Booking Holdings Investor RelationsページやSEC EDGARで確認することをお勧めします。