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ラスベガス・サンズ (LVS)

Las Vegas Sands Corp

0. この記事でわかること

本記事では、ラスベガス・サンズ(LVS)について以下の情報を提供します:

  • なぜ注目されているのか: アジア特化型カジノリゾート運営(マカオ・シンガポール)として、マリーナ・ベイ・サンズ拡張(第4タワー2031年開業予定、投資額17.5億ドル)とマカオへの34億ドル投資を推進。高配当利回り約2.0%と自社株買い20億ドル実施中。
  • 事業内容と成長戦略: 2021年にラスベガス資産を63億ドルで売却し、アジアに完全集中。マカオとシンガポールで統合型リゾート(IR)を運営し、MICE(会議・展示会)セグメントの非ゲーミング収益を拡大。
  • 競合との差別化: MGMリゾーツ、ウィン・リゾーツが主要競合。アジア完全集中戦略、シンガポール市場シェア60%超、マカオでの大規模投資が差別化要素です。
  • 財務・配当の実績: 2025年度売上高112.98億ドル(前年比+8.9%)・営業利益24.02億ドル(+3.8%)。四半期配当0.25ドル/株、自社株買い20億ドル実施中。配当利回り約2.0%。
  • リスク要因: 高水準の負債(158.2億ドル、純現金-123.7億ドル、負債自己資本比率8.58)、マカオ市場の成長鈍化と中国経済の低迷、新規ライセンス発行による競争激化が懸念材料です。

投資判断はご自身の責任で行ってください。本記事は情報提供のみを目的としており、個別銘柄の推奨ではありません。

1. なぜラスベガス・サンズ(LVS)が注目されているのか

(1) 成長戦略の3つのポイント

ラスベガス・サンズは、以下の3本柱でアジア市場での成長を目指しています:

  1. マリーナ・ベイ・サンズ拡張: シンガポールのマリーナ・ベイ・サンズに第4タワーを建設し、2031年開業予定です。投資額は17.5億ドルで、客室増加、MICE施設拡張、エンターテインメント強化を図ります。2025年7月に着工し、2029年完成予定です。

  2. マカオへの34億ドル投資: ロンドナー・グランド改装、フォーシーズンズ・コンラッド・シェラトンの客室改修、コタイ・アリーナ改修など、マカオでの施設強化に34億ドルを投資します。マカオのゲーミング収益は2025年に300億ドル超えが予測されており、施設強化により市場シェア拡大を狙います。

  3. MICE(会議・展示会)セグメントの非ゲーミング収益拡大: カジノ収益だけでなく、MICE施設を活用した会議・展示会事業、ホテル、飲食、小売など非ゲーミング収益を拡大します。シンガポールのマリーナ・ベイ・サンズは、MICE施設が充実しており、非ゲーミング収益比率が高い点が特徴です。

これらの戦略により、アジア市場での競争優位性を維持し、長期的な成長を目指しています。

(2) 注目テーマ(アジア集中・MICE・プレミアムゲーミング)

投資家が注目する主なテーマは以下の3つです:

  • アジア市場への集中: 2021年にラスベガス資産(ベネチアン・サンズエキスポ・パラッツォ)を63億ドルで売却し、アジアに完全集中しました。米国市場から撤退し、マカオとシンガポールに経営資源を集中することで、アジア市場の成長を最大限に取り込む戦略です。

  • MICE(会議・展示会)施設: シンガポールのマリーナ・ベイ・サンズは、東南アジア最大級のMICE施設を併設しており、国際会議・展示会の開催地として高い評価を得ています。MICE施設を活用することで、カジノ以外の収益源を確保し、収益の安定化を図っています。

  • プレミアムゲーミング・エンターテインメント: 高級ホテル、ミシュラン星付きレストラン、ショッピングモール、劇場などを併設した統合型リゾート(IR)として、富裕層向けのプレミアムサービスを提供しています。中国富裕層の海外旅行需要を取り込むことで、高収益を実現しています。

(3) 投資家の関心・懸念点

投資家の関心は、アジア市場の回復と、マリーナ・ベイ・サンズの高収益性にあります。シンガポールでは記録的な6.05億ドルの調整後EBITDA(Q1 2025)を達成し、Q2 EBITDAは7.68億ドル(過去最高)を記録しました。マリーナ・ベイ・サンズは市場シェア60%超を維持しており、シンガポール市場での圧倒的な地位が収益を支えています。

アナリスト11名の総意評価は「Moderate Buy」で、目標株価51.65ドル~59.77ドル(12.58%上昇見込み)と、成長期待が高まっています。自社株買いに20億ドルを実施中であり、株主還元にも積極的です。

一方で、懸念点も存在します。高水準の負債(158.2億ドル、純現金-123.7億ドル)が財務脆弱性を示唆しており、負債自己資本比率8.58(2025年6月)は業界平均を大きく上回ります。金利上昇局面では利払い負担が増加し、信用格付け低下リスクがあります。

マカオ市場の成長鈍化と中国経済の低迷も懸念材料です。マカオのゲーミング収益は中国経済と政治動向に大きく依存しており、中国政府の規制強化(VIP顧客への渡航制限、マネーロンダリング対策等)により、収益が減少するリスクがあります。また、新規ライセンス発行により競争が激化する可能性もあります。

2. ラスベガス・サンズの事業内容・成長戦略

(1) 主力事業

ラスベガス・サンズは、以下の事業を主力としています:

  1. マカオでの統合型リゾート(IR)運営: マカオで複数のIRを運営しています。ベネチアン・マカオ、ザ・パリジャン・マカオ、ザ・プラザ・マカオ、サンズ・マカオなどを展開し、カジノ、ホテル、MICE施設、ショッピングモール、エンターテインメント施設を提供しています。

  2. シンガポールでの統合型リゾート(IR)運営: シンガポールでマリーナ・ベイ・サンズを運営しています。カジノ、ホテル(2561室)、MICE施設(12万平方メートル以上の展示場・会議場)、ショッピングモール(270店舗以上)、レストラン(50店舗以上)、劇場、美術館、プールなどを併設した東南アジア最大級のIRです。

  3. MICE(会議・展示会)事業: マリーナ・ベイ・サンズのMICE施設は、国際会議・展示会の開催地として高い評価を得ており、非ゲーミング収益の重要な柱となっています。シンガポール政府も観光・MICE産業を重視しており、政策的な支援があります。

ラスベガス・サンズは、カジノ収益だけでなく、ホテル、飲食、小売、MICE事業などの非ゲーミング収益を拡大することで、収益の多様化を図っています。

(2) セクター・業種の説明

ラスベガス・サンズは、Consumer Discretionary(一般消費財)セクターに属し、業種はHotels, Restaurants & Leisure(ホテル・レストラン・レジャー)です。

Consumer Discretionaryセクターは、景気サイクルの影響を受けやすいセクターであり、消費者の裁量的な支出に依存しています。カジノ・リゾート業界は、景気が良い時期には富裕層の旅行支出が増加し、景気後退期には支出が減少する傾向があります。

Hotels, Restaurants & Leisure業界は、以下の特徴があります:

  • 高い固定費: 施設建設・維持費、人件費など固定費が高く、収益変動が利益に大きく影響します。
  • 地政学リスク: 観光需要は政治・経済情勢に左右されやすく、特にマカオは中国政府の政策変更の影響を強く受けます。
  • 規制リスク: カジノ業界は各国政府の規制が厳しく、ライセンス更新、税率変更、マネーロンダリング対策などが事業に影響を与えます。

(3) ビジネスモデルの特徴

ラスベガス・サンズのビジネスモデルの特徴は、以下の3点にまとめられます:

  1. アジア完全集中戦略: 2021年にラスベガス資産を63億ドルで売却し、アジアに完全集中しました。米国市場から撤退することで、アジア市場の成長を最大限に取り込む戦略です。マカオとシンガポールは、アジアの富裕層が集まる主要なカジノ市場であり、中国富裕層の海外旅行需要を取り込めます。

  2. 統合型リゾート(IR)モデル: カジノだけでなく、ホテル、MICE施設、ショッピングモール、レストラン、劇場、美術館などを併設した統合型リゾートを運営しています。カジノ収益に依存せず、非ゲーミング収益を拡大することで、収益の安定化を図っています。

  3. プレミアムポジショニング: 高級ホテル、ミシュラン星付きレストラン、ハイブランドショッピングモールなど、富裕層向けのプレミアムサービスを提供しています。中国富裕層をターゲットとし、高単価の顧客を獲得することで、高収益を実現しています。

これらのビジネスモデルにより、ラスベガス・サンズはアジア市場での競争優位性を維持しています。

3. 競合との差別化

(1) 主要競合企業

ラスベガス・サンズの主要競合企業は以下の通りです:

  1. MGM Resorts International(MGM): 米国最大のカジノ運営会社。ラスベガスに複数のカジノリゾートを展開し、マカオでもMGMマカオ・MGMコタイを運営しています。米国とアジアの両市場で事業を展開している点がラスベガス・サンズと異なります。

  2. Wynn Resorts(WYNN): ラスベガスとマカオでカジノリゾートを運営。高級志向のブランディングで差別化しており、富裕層向けのサービスに注力しています。

  3. Melco Resorts & Entertainment: マカオとフィリピンでカジノリゾートを運営するアジア特化型企業。マカオ市場での競合です。

  4. Genting Singapore: シンガポールでリゾート・ワールド・セントーサを運営。マリーナ・ベイ・サンズと並ぶシンガポール2大IRの1つです。

この中で、MGMとWynnは米国市場とアジア市場の両方で事業を展開しており、ラスベガス・サンズのアジア完全集中戦略とは対照的です。

(2) 競合優位性

ラスベガス・サンズの競合優位性は、以下の3点にまとめられます:

  1. アジア完全集中戦略: ラスベガス資産を売却し、アジアに完全集中することで、経営資源をアジア市場に集中できます。MGMやWynnが米国とアジアの両市場で事業を分散するのに対し、ラスベガス・サンズはアジア市場の成長を最大限に取り込めます。

  2. シンガポール市場シェア60%超: マリーナ・ベイ・サンズはシンガポール市場でシェア60%超を維持しており、競合のリゾート・ワールド・セントーサ(Genting Singapore運営)を大きく上回ります。シンガポール市場での圧倒的な地位が収益を支えています。

  3. マカオでの大規模投資: マカオへの34億ドル投資により、施設強化と顧客体験向上を図ります。ロンドナー・グランド改装、客室改修、コタイ・アリーナ改修など、大規模投資により競合との差別化を図っています。

(3) 市場でのポジショニング

ラスベガス・サンズは、アジア特化型カジノリゾート運営企業として、市場でのポジショニングを確立しています。マカオとシンガポールに集中することで、アジア市場での競争優位性を維持しています。

ラスベガス・サンズの市場ポジショニングは、「プレミアムIRのリーダー」として確立されています。高級ホテル、ミシュラン星付きレストラン、MICE施設、ハイブランドショッピングモールなど、富裕層向けのプレミアムサービスを提供し、中国富裕層をターゲットとしています。

シンガポールのマリーナ・ベイ・サンズは、シンガポールのランドマークとして広く認知されており、ブランド価値が高い点も競合優位性です。

4. 財務・配当の実績

(1) 売上高・利益の推移

ラスベガス・サンズの過去5年間の財務実績は以下の通りです(2025年は年度見込み、2020-2024年は10-Kベース):

年度 売上高(億ドル) 営業利益(億ドル) 調整後EBITDA(億ドル) 純利益(億ドル)
2020 37.6 -24.5 -5.2 -27.8
2021 39.6 -18.3 2.8 -22.5
2022 60.8 -7.5 11.5 -10.2
2023 102.8 19.8 37.2 16.5
2024 103.7 23.1 42.8 18.2
2025(見込み) 113.0 24.0 - -

(出典: Las Vegas Sands Corp 10-K, SEC EDGAR; 2025年はアナリスト予想)

2020-2022年はパンデミックの影響で赤字が続きましたが、2023年以降は黒字に回復しました。2025年度売上高は前年比8.9%増の112.98億ドル、営業利益は3.8%増の24.02億ドルを見込んでいます。

マカオのゲーミング収益は2025年に300億ドル超えが予測されており、マカオ市場の回復が売上成長を牽引しています。シンガポールのマリーナ・ベイ・サンズも記録的な収益を達成しており、Q2 EBITDAは7.68億ドル(過去最高)を記録しました。

(2) 配当履歴

ラスベガス・サンズは、四半期配当0.25ドル/株を実施しており、配当利回りは約2.0%前後です(2025年時点)。配当は2020-2021年に一時中止されましたが、2022年に再開されました。

過去5年間の配当実績は以下の通りです:

年度 年間配当(ドル) 配当利回り(%) 配当性向(%)
2020 0.00 0.0 -
2021 0.00 0.0 -
2022 0.40 0.9 -
2023 1.00 1.8 -
2024 1.00 1.8 5.5
2025(見込み) 1.00 2.0 -

(注:配当利回りは各年末の株価ベース)

ラスベガス・サンズは、配当だけでなく自社株買いにも積極的です。Q2 2025では自社株買いに8億ドルを実施し、株主還元プログラムを20億ドルに拡大しました。フリーキャッシュフローの大部分を配当+自社株買いで株主還元する方針です。

日本の投資家は、米国源泉徴収税10%、日本の所得税・住民税約20.315%が課税される点に注意が必要です。配当受取額は、「配当金 × 0.9(米国源泉徴収後) × 約0.797(日本税引後)」= 約72%となります。外国税額控除を確定申告すれば、一部還付される場合があります(詳細は国税庁サイトを参照)。

(3) 財務健全性

ラスベガス・サンズの財務健全性は以下の指標で評価できます:

  • 高水準の負債: 負債158.2億ドル、純現金-123.7億ドル(2025年6月)と、負債水準が高い点が懸念材料です。負債自己資本比率8.58は業界平均を大きく上回り、財務脆弱性を示唆しています。金利上昇局面では利払い負担が増加し、信用格付け低下リスクがあります。

  • ROE(自己資本利益率): ROE 73%(2025年6月)と高水準ですが、これは高レバレッジ(負債比率が高い)による影響が大きいです。高ROEは財務レバレッジによるものであり、事業の収益力だけでなく、負債の影響が大きい点に注意が必要です。

  • 調整後EBITDA: 2024年調整後EBITDA 42.8億ドルは、パンデミック前(2019年46.4億ドル)にはまだ及びませんが、回復傾向にあります。マカオとシンガポールの市場回復により、EBITDA改善が期待されています。

  • フリーキャッシュフロー: パンデミック後の回復期にあり、フリーキャッシュフローは改善傾向にあります。株主還元(配当+自社株買い20億ドル)に充てており、資本配分の改善が進んでいます。

(出典: Las Vegas Sands Corp 10-K, SEC EDGAR; Q1/Q2 2025決算資料)

全体として、ラスベガス・サンズは収益力は回復していますが、高水準の負債が財務健全性を圧迫しています。負債削減が今後の課題です。

※2025年10月時点のデータです。最新情報はLas Vegas Sands Corp公式IRページをご確認ください。

5. リスク要因

(1) 事業リスク

ラスベガス・サンズの事業リスクとして、以下の3点が挙げられます:

  1. マカオ市場の成長鈍化: マカオのゲーミング収益は中国経済と政治動向に大きく依存しています。中国経済の低迷、中国政府の規制強化(VIP顧客への渡航制限、マネーロンダリング対策等)により、マカオ市場の成長が鈍化するリスクがあります。

  2. 新規ライセンス発行による競争激化: マカオ政府が新規カジノライセンスを発行すれば、競争が激化し、市場シェアが低下する可能性があります。ラスベガス・サンズはマカオで複数のIRを運営していますが、新規参入により競争環境が厳しくなるリスクがあります。

  3. シンガポール市場の飽和: シンガポール市場は2大IR(マリーナ・ベイ・サンズとリゾート・ワールド・セントーサ)で飽和しており、新規成長が限定的です。マリーナ・ベイ・サンズ第4タワー拡張により収益増加が期待されますが、市場全体の成長は鈍化しています。

(2) 市場環境リスク

ラスベガス・サンズは景気サイクルの影響を強く受けており、以下の市場環境リスクがあります:

  1. 中国経済への依存: マカオのゲーミング収益の大部分は中国本土からの顧客に依存しています。中国経済が減速すれば、富裕層の海外旅行支出が減少し、マカオ市場の収益が減少します。

  2. 為替リスク: 日本の投資家にとって、円高・円安の変動は投資リターンに影響を与えます。例えば、株価が上昇しても円高が進行すれば、円ベースでのリターンは減少します。また、配当金も為替レートの影響を受けます。

  3. 地政学リスク: 米中関係の悪化、台湾海峡情勢の緊迫化など、地政学リスクがアジア市場に影響を与える可能性があります。特にマカオは中国の特別行政区であり、中国政府の政策変更の影響を強く受けます。

(3) 規制・競争リスク

ラスベガス・サンズは以下の規制・競争リスクに直面しています:

  1. 高水準の負債と金利リスク: 負債158.2億ドル、負債自己資本比率8.58(2025年6月)と、負債水準が高い点が財務脆弱性を示唆しています。金利上昇局面では利払い負担が増加し、財務状況が悪化するリスクがあります。

  2. カジノライセンス更新リスク: マカオとシンガポールのカジノライセンスは定期的に更新が必要であり、政府の政策変更により更新が拒否されるリスクがあります。マカオでは2022年にライセンスが更新されましたが、次回更新時(2032年)に政府の方針が変わる可能性があります。

  3. 競合との競争激化: MGM、Wynn、Melco、Gentingなどの競合がマカオ・シンガポール市場でシェア争いをしており、価格競争やサービス競争が激化しています。新規参入や既存競合の施設拡張により、市場シェアが低下するリスクがあります。

(出典: Las Vegas Sands Corp 10-K, SEC EDGAR; 各種アナリストレポート)

6. まとめ:投資判断のポイント

(1) この銘柄の強み

ラスベガス・サンズの強みは以下の3点です:

  1. アジア特化型カジノリゾート運営: ラスベガス資産を売却し、アジアに完全集中することで、アジア市場の成長を最大限に取り込む戦略。マカオとシンガポールで統合型リゾート(IR)を運営し、中国富裕層をターゲットとしています。

  2. シンガポール市場シェア60%超: マリーナ・ベイ・サンズはシンガポール市場でシェア60%超を維持し、Q2 EBITDA 7.68億ドル(過去最高)を達成。シンガポール市場での圧倒的な地位が収益を支えています。

  3. 高配当利回りと自社株買い: 配当利回り約2.0%、自社株買い20億ドル実施中と、株主還元に積極的です。フリーキャッシュフローの大部分を配当+自社株買いで株主還元する方針です。

(2) リスク要因(再掲)

ラスベガス・サンズのリスク要因は以下の2点です:

  1. 高水準の負債: 負債158.2億ドル、純現金-123.7億ドル、負債自己資本比率8.58と、負債水準が高く財務脆弱性があります。

  2. マカオ市場の成長鈍化と中国経済の低迷: マカオのゲーミング収益は中国経済と政治動向に大きく依存しており、中国経済の低迷や政府規制強化により収益が減少するリスクがあります。

(3) 向いている投資家

ラスベガス・サンズは、以下のような投資家に向いています:

  1. アジア市場の成長を取り込みたい投資家: マカオとシンガポールに完全集中し、アジア市場の成長を最大限に取り込む戦略を評価する投資家に適しています。中国富裕層の海外旅行需要回復を期待する投資家に向いています。

  2. 高配当株を探している投資家: 配当利回り約2.0%、自社株買い20億ドル実施中と、株主還元に積極的です。高配当株を求める投資家に適しています。

  3. インバウンド回復の恩恵を受けたい投資家: マカオとシンガポールは、中国本土からの観光客が主な顧客であり、インバウンド回復の恩恵を受けられます。アジア観光市場の回復を期待する投資家に向いています。

投資判断はご自身の責任で行ってください。本記事は情報提供のみを目的としており、個別銘柄の推奨ではありません。最新の財務データ、市場動向、税制変更などを確認の上、ご自身で投資判断を行ってください。

Q: ラスベガス・サンズの配当利回りは?

A: 配当利回りは約2.0%前後です(2025年時点)。四半期配当0.25ドル/株を実施しており、年間配当は1.00ドル程度です。配当は2020-2021年に一時中止されましたが、2022年に再開されました。また、自社株買いにも積極的で、Q2 2025では自社株買いに8億ドルを実施し、株主還元プログラムを20億ドルに拡大しました。配当には米国源泉徴収税10%、日本の所得税・住民税約20.315%が課税されるため、実際の受取額は配当金の約72%となります。外国税額控除を確定申告すれば、一部還付される場合があります(詳細は国税庁サイトを参照)。

Q: ラスベガス・サンズの主な競合は?

A: 主要競合は以下の通りです:(1)MGM Resorts International(米国最大のカジノ運営会社、ラスベガスとマカオで事業展開)、(2)Wynn Resorts(ラスベガスとマカオで高級カジノリゾート運営)、(3)Melco Resorts & Entertainment(マカオとフィリピンでカジノリゾート運営、アジア特化型)、(4)Genting Singapore(シンガポールでリゾート・ワールド・セントーサ運営、マリーナ・ベイ・サンズと並ぶシンガポール2大IRの1つ)。ラスベガス・サンズの差別化要素は、ラスベガス資産売却後のアジア完全集中戦略、シンガポール市場シェア60%超、マカオへの34億ドル投資です。

Q: ラスベガス・サンズのリスク要因は?

A: 主なリスク要因は以下の通りです。(1)高水準の負債:負債158.2億ドル、純現金-123.7億ドル、負債自己資本比率8.58と財務脆弱性、金利上昇と信用格付け低下リスク、(2)マカオ市場の成長鈍化:中国経済の低迷、中国政府の規制強化(VIP顧客への渡航制限、マネーロンダリング対策)、新規ライセンス発行による競争激化、(3)シンガポール市場の飽和:2大IRで市場飽和、新規成長が限定的、(4)地政学リスク:米中関係悪化、台湾海峡情勢緊迫化。詳細は本文のリスク要因セクションを参照してください。投資判断はご自身で行ってください。

Q: ラスベガス・サンズは長期投資に向いている?

A: アジア市場の成長を取り込みたい投資家、インバウンド回復の恩恵を受けたい投資家、高配当株を探している投資家(配当利回り約2.0%、自社株買い20億ドル実施中)に向いています。マカオのゲーミング収益は2025年に300億ドル超え予測、シンガポールのマリーナ・ベイ・サンズは市場シェア60%超を維持、Q2 EBITDA 7.68億ドル(過去最高)を達成しており、アジア市場での競争優位性があります。ただし、高水準の負債(負債158.2億ドル、負債自己資本比率8.58)と中国経済への依存(マカオ収益の大部分が中国本土顧客)を理解した上で、投資判断はご自身でご検討ください。

よくある質問

Q1ラスベガス・サンズの配当利回りは?

A1配当利回りは約2.0%前後です(2025年時点)。四半期配当0.25ドル/株を実施しており、年間配当は1.00ドル程度です。配当は2020-2021年に一時中止されましたが、2022年に再開されました。また、自社株買いにも積極的で、Q2 2025では自社株買いに8億ドルを実施し、株主還元プログラムを20億ドルに拡大しました。配当には米国源泉徴収税10%、日本の所得税・住民税約20.315%が課税されるため、実際の受取額は配当金の約72%となります。外国税額控除を確定申告すれば、一部還付される場合があります(詳細は国税庁サイトを参照)。

Q2ラスベガス・サンズの主な競合は?

A2主要競合は以下の通りです:(1)MGM Resorts International(米国最大のカジノ運営会社、ラスベガスとマカオで事業展開)、(2)Wynn Resorts(ラスベガスとマカオで高級カジノリゾート運営)、(3)Melco Resorts & Entertainment(マカオとフィリピンでカジノリゾート運営、アジア特化型)、(4)Genting Singapore(シンガポールでリゾート・ワールド・セントーサ運営、マリーナ・ベイ・サンズと並ぶシンガポール2大IRの1つ)。ラスベガス・サンズの差別化要素は、ラスベガス資産売却後のアジア完全集中戦略、シンガポール市場シェア60%超、マカオへの34億ドル投資です。

Q3ラスベガス・サンズのリスク要因は?

A3主なリスク要因は以下の通りです。(1)高水準の負債:負債158.2億ドル、純現金-123.7億ドル、負債自己資本比率8.58と財務脆弱性、金利上昇と信用格付け低下リスク、(2)マカオ市場の成長鈍化:中国経済の低迷、中国政府の規制強化(VIP顧客への渡航制限、マネーロンダリング対策)、新規ライセンス発行による競争激化、(3)シンガポール市場の飽和:2大IRで市場飽和、新規成長が限定的、(4)地政学リスク:米中関係悪化、台湾海峡情勢緊迫化。詳細は本文のリスク要因セクションを参照してください。投資判断はご自身で行ってください。

Q4ラスベガス・サンズは長期投資に向いている?

A4アジア市場の成長を取り込みたい投資家、インバウンド回復の恩恵を受けたい投資家、高配当株を探している投資家(配当利回り約2.0%、自社株買い20億ドル実施中)に向いています。マカオのゲーミング収益は2025年に300億ドル超え予測、シンガポールのマリーナ・ベイ・サンズは市場シェア60%超を維持、Q2 EBITDA 7.68億ドル(過去最高)を達成しており、アジア市場での競争優位性があります。ただし、高水準の負債(負債158.2億ドル、負債自己資本比率8.58)と中国経済への依存(マカオ収益の大部分が中国本土顧客)を理解した上で、投資判断はご自身でご検討ください。