0. この記事でわかること
本記事では、モルソン・クアーズ・ブリューイング(TAP)について以下の情報を提供します:
- なぜ注目されているのか: 世界第3位のビールメーカーとして、Coors Light、Miller Lite、Blue Moonなど有名ブランドを保有。米国ビール市場の縮小に対し、プレミアム化戦略(Above Premium)とBeyond Beer(エナジードリンク・ノンアルコール飲料)への多角化を推進。2024年度に営業最高益を計上したがPBR 1倍割れで割安と評価されています。
- 事業内容と成長戦略: 北米・欧州・アジア太平洋地域でビール・ノンアルコール飲料・エナジードリンクを展開。Acceleration Plan(2023年10月発表)の5本柱でコアブランド強化、プレミアム化、Beyond Beer拡大、能力投資、サステナビリティを推進。
- 競合との差別化: AB InBev(バドワイザー)、Constellation Brands(コロナ)との激しい競争の中、Blue Moonのクラフト市場シェア拡大とAbove Premium戦略(EMEA&APAC地域でネット収益の50%以上)で差別化。
- 財務・配当の実績: 2024年通期の調整後EPS 5.96ドル(+9.8%)で全ガイダンス達成。ただし2025年Q1で売上-11.3%、調整後EPS 0.50ドル(予想0.83ドルを大幅に下回る)という4年ぶりの最悪決算を記録し、通期ガイダンスを下方修正。
- リスク要因: 米国ビール市場での販売量減少(2024年出荷量-6.4%、デプリーション-3.4%)、スピリッツ・ワインへの消費者シフト、アルミニウム関税によるコスト増(2025年ガイダンス下方修正の要因)が主な懸念材料です。
※本記事は情報提供を目的としており、投資判断は自己責任で行ってください。
1. なぜモルソン・クアーズ・ブリューイング(TAP)が注目されているのか
(1) 成長戦略の3つのポイント
モルソン・クアーズは米国ビール市場の構造的衰退に直面する中、以下の3つの柱で成長を目指しています。
1. Above Premiumポートフォリオへの積極的なシフト
Blue Moonブランドファミリーの強化とクラフトビール市場でのシェア拡大を重視しています。EMEA&APAC(欧州・中東・アフリカ・アジア太平洋)地域では、ネットブランド収益の50%以上がAbove Premium(プレミアム価格帯以上の製品)に到達しており、収益性の高い製品への転換が進んでいます。
2. Beyond Beer(ビール以外)への拡大
ZOAエナジードリンクの多数持分取得と、Fever-Treeトニックの米国販売・流通・マーケティング権獲得により、ビール市場の縮小リスクを分散しています。2019年に社名を「Molson Coors Brewing Company」から「Molson Coors Beverage Company」へ変更し、「ビール企業から総合飲料企業へ」の戦略転換を明確にしました。
3. コアブランドの強化
Coors Light、Miller Lite、Coors Banquetの3ブランドで数年連続の収益成長を実現しており、消費者行動の変化(健康志向・低アルコール化)に対応しながらも、既存ブランドの競争力を維持しています。
(出典: Molson Coors Blog "Molson Coors unveils plan to accelerate its growth"、Brewbound "Above Premium a Key Focus of Molson Coors' 2025 US Growth Strategy")
(2) 注目テーマ(プレミアム化・ノンアルコール・エナジードリンク)
投資家が注目しているテーマは以下の3点です:
- プレミアム化戦略(EMEA&APAC地域でネットブランド収益の50%以上がAbove Premium): 低価格帯のビールから高単価のクラフトビール・プレミアムビールへの転換により、販売量減少を補う収益性向上を実現しています。
- ノンアルコール飲料とエナジードリンクへの投資加速: ZOA(ドウェイン・ジョンソン(ザ・ロック)とのパートナーシップで展開)とFever-Treeへの投資により、健康志向の消費者層を取り込んでいます。
- カテゴリーファースト・アプローチ(C-storeチャネルでのビールカテゴリー全体の成長): 競合ブランドとの協業も含め、ビールカテゴリー全体のパイを拡大する戦略を採用しています。
(3) 投資家の関心・懸念点
関心点:
- 2024年度に営業最高益を計上したがPBR 1倍割れで割安評価(みんかぶ株価目標54.75ドルで「買い」評価)
- 2024年通期の調整後EPS 5.96ドル(+9.8%)で全ガイダンス達成
- BofAが2025年のビール業界回復を見込みBuy格上げ
- 2028年には売上115億ドル、利益11億ドルを予測(長期成長シナリオ)
懸念点:
- 2025年Q1で売上-11.3%、調整後EPS 0.50ドル(予想0.83ドルを大幅に下回る)という4年ぶりの最悪決算
- 2025年通期ガイダンスを下方修正し、売上3-4%減を見込む
- 米国ビール市場での販売量減少(2024年出荷量-6.4%、デプリーション-3.4%)とスピリッツ・ワインへの消費者シフト
- アルミニウム缶コストの関税影響による利益圧迫(Q3 2024でCOGS/hl +5.6%)
- 400名(給与所得者の9%)の人員削減を発表(コスト削減策の一環)
(出典: Investing.com "Earnings call transcript: Molson Coors Q2 2025 beats estimates but lowers 2025 guidance"、Bloomberg "Molson Coors Cutting 400 Salaried Jobs Amid Weak Beer Demand"、楽天証券「米ビール大手モルソン・クアーズを買い推奨」)
2. モルソン・クアーズ・ブリューイングの事業内容・成長戦略
(1) 主力事業
モルソン・クアーズは以下の3つの主力事業を展開しています(2025年10月時点)。
1. 北米ビール事業
米国・カナダでCoors Light、Miller Lite、Coors Banquet、Blue Moonなどの主力ブランドを展開。米国市場では2024年に出荷量-6.4%と苦戦していますが、Blue Moonがクラフト市場でシェアを獲得し、Q3・Q4で業界シェアを維持しました。
2. EMEA&APAC(欧州・中東・アフリカ・アジア太平洋)ビール事業
Carling、Staropramen、Madrí等のブランドを展開。Above Premiumポートフォリオがネット収益の50%以上を占め、収益性の高い地域となっています。
3. Beyond Beer(ビール以外)事業
ZOAエナジードリンク、Fever-Treeトニック、Coors Spirits Co.(2023年設立、Five Trail Blended American Whiskeyなどを展開)を含む多角化事業。ビール市場の縮小リスクを分散する戦略的重点分野です。
(出典: Molson Coors Investor Relations - Strategy、Molson Coors 2024 Fourth Quarter and Full Year Results)
(2) セクター・業種の説明
- セクター: Consumer Staples(生活必需品)
- 業種: Beverages(飲料)
生活必需品セクターは、景気後退期でも比較的安定した需要が見込める「ディフェンシブセクター」に分類されます。ビールは日常的に消費される嗜好品であるため、景気変動の影響を受けにくい一方、健康志向の高まりや低アルコール化トレンドにより、市場全体が縮小傾向にあります。
(3) ビジネスモデルの特徴
モルソン・クアーズのビジネスモデルは「大量生産・大量販売型」が中心で、主な収益源は以下の通りです:
- 卸売・小売チャネルへのビール販売: スーパーマーケット、コンビニエンスストア、酒店等への卸売が主要収益源
- バー・レストランへの業務用販売: 飲食店向けの樽生ビール販売
- プレミアムブランドの高単価販売: Blue Moon等のクラフトビールで利益率を向上
2024年通期の調整後EPS 5.96ドル(+9.8%)は、プレミアム化戦略とコスト削減の成果ですが、2025年Q1では売上-11.3%と大幅に減少し、通期ガイダンスを下方修正しました。
(出典: Molson Coors 2024 Fourth Quarter and Full Year Results、Molson Coors Q1 2025 Earnings Report)
3. 競合との差別化
(1) 主要競合企業
モルソン・クアーズの主要競合企業は以下の3社です。
1. Anheuser-Busch InBev (BUD)
世界最大のビールメーカー。バドワイザー、ステラ・アルトワ、コロナ等のグローバルブランドを保有。市場シェアで圧倒的優位性を持ちます。
2. Constellation Brands (STZ)
コロナ、モデロ等のメキシコビールブランドで米国市場を席巻。プレミアムビール市場での成長率が高く、モルソン・クアーズの主要競合です。
3. Heineken (HEINY)
欧州最大のビールメーカー。ハイネケン、デスペラードス等のブランドでグローバル展開。EMEA地域でモルソン・クアーズと競合します。
(出典: Yahoo Finance、業界レポート)
(2) 競合優位性
モルソン・クアーズの競合優位性は以下の3点です。
1. Blue Moonブランドのクラフトビール市場でのシェア拡大
Blue Moonは米国のクラフトビール市場で高いブランド認知度を持ち、Q3・Q4で業界シェアを維持しています。Constellation BrandsやAB InBevと比較して、クラフトビール分野での競争力が強みです。
2. Above Premium戦略(EMEA&APAC地域でネット収益の50%以上)
欧州・アジア太平洋地域では、高単価のプレミアムビールへのシフトが進んでおり、収益性の高いポートフォリオを構築しています。AB InBevやHeinekenと比較して、EMEA地域でのプレミアム化が進んでいる点が差別化ポイントです。
3. Beyond Beer(ビール以外)への多角化
ZOAエナジードリンク、Fever-Treeトニック、Coors Spirits等のビール以外の事業展開により、ビール市場の縮小リスクを分散しています。AB InBevも多角化を進めていますが、モルソン・クアーズはエナジードリンク市場でのパートナーシップ(ドウェイン・ジョンソンとのZOA)が注目されています。
(出典: Molson Coors 2024 Analyst & Investor Day、Brewbound)
(3) 市場でのポジショニング
モルソン・クアーズは「割安なバリュー株」として位置づけられています。2024年度に営業最高益を計上したにもかかわらずPBR 1倍割れで取引されており、アナリストの平均評価は「Hold」ですが、BofAは2025年のビール業界回復を見込みBuy格上げしました。AB InBevやConstellation Brandsと比較すると、成長率では劣るものの、バリュエーションの割安さが魅力とされています。
(出典: Yahoo Finance、楽天証券)
4. 財務・配当の実績
(1) 売上高・利益の推移
以下は、モルソン・クアーズの過去5年間(2020-2024年)の財務推移です(単位: 億ドル、EPSはドル)。
年度 | 売上高 | 調整後EBITDA | 調整後EPS | フリーキャッシュフロー |
---|---|---|---|---|
2020 | 約93 | 約25 | 約3.50 | データ不明 |
2021 | 約105 | 約30 | 約4.80 | データ不明 |
2022 | 約110 | 約32 | 約5.20 | データ不明 |
2023 | 約113 | 約33 | 約5.43 | データ不明 |
2024 | 約115 | 約35 | 5.96 | データ不明 |
※2024年通期の調整後EPS 5.96ドル(+9.8%)は全ガイダンスを達成しました。
※2025年Q1では売上-11.3%、調整後EPS 0.50ドル(予想0.83ドルを大幅に下回る)という4年ぶりの最悪決算を記録し、通期ガイダンスを下方修正(売上3-4%減)しました。
※2028年には売上115億ドル、利益11億ドルを予測(長期成長シナリオ)。
(出典: Molson Coors Q1 2025 Earnings Report、Molson Coors 2024 Fourth Quarter and Full Year Results)
(2) 配当履歴
モルソン・クアーズは配当を実施していますが、詳細な配当利回りや配当性向のデータは公開情報から確認が必要です。楽天証券のレポートによると、2024年度に営業最高益を計上したがPBR 1倍割れで割安と評価されており、配当政策の詳細は最新の10-Kレポート(SEC EDGAR)で確認することを推奨します。
(出典: 楽天証券「米ビール大手モルソン・クアーズを買い推奨」、Molson Coors SEC EDGAR 10-K)
(3) 財務健全性
モルソン・クアーズの財務健全性は、以下の3つの指標で評価されます。
1. 負債水準
具体的な負債額は最新の10-Kレポートで確認が必要ですが、2025年に400名(給与所得者の9%)の人員削減を発表しており、コスト削減による財務改善を進めています。
2. フリーキャッシュフロー
具体的なデータは公開情報から確認が必要ですが、2024年通期で全ガイダンスを達成しており、キャッシュフロー創出能力は維持されています。
3. 収益性
2024年通期の調整後EPS 5.96ドル(+9.8%)は、プレミアム化戦略とコスト削減の成果です。ただし、2025年Q1で調整後EPS 0.50ドル(予想0.83ドルを大幅に下回る)と大幅に減少しており、アルミニウム関税の影響とビール販売量減少が重石となっています。
(出典: Molson Coors SEC EDGAR 10-K、Bloomberg、Molson Coors Q1 2025 Earnings Report)
5. リスク要因
(1) 事業リスク
米国ビール市場の構造的衰退
健康志向の高まりと低アルコール化トレンドにより、米国のビール市場は縮小傾向にあります。2024年の出荷量は-6.4%、デプリーション(小売店から消費者への販売量)は-3.4%と、販売量の減少が継続しています。消費者はスピリッツ・ワインへシフトしており、ビール企業全体にとって逆風となっています。
Beyond Beer戦略の成否
ZOAエナジードリンクやFever-Treeトニック等のビール以外の事業が、ビール市場の縮小を補えるかは不透明です。エナジードリンク市場はRed Bull、Monster Energy等の強力な競合が存在し、新規参入での成功は容易ではありません。
(出典: Brewbound、Bloomberg)
(2) 市場環境リスク
アルミニウム関税によるコスト増
アルミニウム缶のコストが関税影響で上昇しており、2025年Q1の利益を圧迫しました(Q3 2024でCOGS/hl +5.6%)。2025年通期ガイダンスを下方修正(売上3-4%減)した主要因の一つです。
為替リスク
日本人投資家にとっては、円高・ドル安になると円ベースの株価や配当額が目減りします。為替ヘッジを検討するか、長期保有で為替変動を平準化する戦略が推奨されます。
(出典: Investing.com、SBI証券「米国株取引ガイド」)
(3) 規制・競争リスク
プレミアムビール市場での競争激化
Constellation Brands(コロナ、モデロ)がプレミアムビール市場で高いシェアを獲得しており、Blue Moonとの競合が激化しています。AB InBev(バドワイザー)もプレミアム化を推進しており、市場シェアの維持が課題です。
業績見通しの下方修正リスク
2019年2月に売上予想を下回り、2年分の決算を修正した際には株価が8.5%急落しました。2025年Q1でも調整後EPSが予想を大幅に下回り、ガイダンス下方修正で株価が1.38%下落しており、業績の不透明感が投資家心理を悪化させるリスクがあります。
(出典: 楽天証券、Investing.com)
6. まとめ:投資判断のポイント
(1) この銘柄の強み
1. 割安なバリュエーション
2024年度に営業最高益を計上したにもかかわらずPBR 1倍割れで取引されており、みんかぶ株価目標54.75ドルで「買い」評価を受けています。BofAも2025年のビール業界回復を見込みBuy格上げしており、割安感が魅力です。
2. プレミアム化戦略とBeyond Beer
Above Premium戦略(EMEA&APAC地域でネット収益の50%以上)とZOAエナジードリンク、Fever-Treeトニック等のビール以外の事業により、ビール市場の縮小リスクを分散しています。
3. コアブランドの競争力維持
Coors Light、Miller Lite、Coors Banquetの3ブランドで数年連続の収益成長を実現しており、既存ブランドの強さが下支えとなっています。
(2) リスク要因(再掲)
1. 米国ビール市場の構造的衰退
2024年の出荷量-6.4%、デプリーション-3.4%と、販売量の減少が継続しています。スピリッツ・ワインへの消費者シフトが加速すれば、業績の下振れリスクがあります。
2. アルミニウム関税によるコスト増と業績下方修正
2025年Q1で調整後EPS 0.50ドル(予想0.83ドルを大幅に下回る)という4年ぶりの最悪決算を記録し、通期ガイダンスを下方修正(売上3-4%減)しました。関税影響が長期化すれば、利益圧迫が継続します。
(3) 向いている投資家
モルソン・クアーズは以下のような投資家に向いています:
1. 割安なバリュー株を好む投資家
PBR 1倍割れの割安なバリュエーションを評価し、2025年以降のビール業界回復を期待できる方。短期的な業績変動には動じず、長期保有できる忍耐力が求められます。
2. プレミアム化戦略とBeyond Beerへの多角化を信じられる投資家
Above Premium戦略とZOA、Fever-Tree等のビール以外の事業展開に共感し、ビール市場の縮小を補う多角化戦略を評価できる方。
3. 生活必需品セクターのディフェンシブ性を重視する投資家
景気後退期でも比較的安定した需要が見込める生活必需品セクターに分散投資したい方。ただし、米国ビール市場の構造的衰退リスクと、2025年Q1の業績下方修正を考慮し、ポートフォリオ全体でのリスク管理が推奨されます。
※本記事は情報提供を目的としており、個別銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断は自己責任で行い、最新の決算資料(Molson Coors公式IRページ、SEC EDGAR)を必ず確認してください。
Q: モルソン・クアーズ・ブリューイングの配当利回りは?
A: 配当を実施していますが、詳細な配当利回りや配当性向のデータは最新の10-Kレポート(SEC EDGAR)で確認が必要です。楽天証券のレポートによると、2024年度に営業最高益を計上したがPBR 1倍割れで割安と評価されています。配当政策の詳細は「4. 財務・配当の実績」セクションを参照し、最新の公式IRページで確認してください。
Q: モルソン・クアーズ・ブリューイングの主な競合は?
A: AB InBev(バドワイザー)、Constellation Brands(コロナ、モデロ)、Heineken等が主要競合です。AB InBevは市場シェアで圧倒的優位性を持ち、Constellation Brandsはプレミアムビール市場で高い成長率を誇ります。モルソン・クアーズはBlue Moonブランドのクラフトビール市場でのシェア拡大と、Above Premium戦略(EMEA&APAC地域でネット収益の50%以上がプレミアム価格帯以上)で差別化を図っています。詳しくは「3. 競合との差別化」セクションを参照してください。
Q: モルソン・クアーズ・ブリューイングのリスク要因は?
A: 主なリスク要因は以下の3点です。(1)米国ビール市場での販売量減少(2024年出荷量-6.4%、デプリーション-3.4%)とスピリッツ・ワインへの消費者シフト、(2)アルミニウム缶コストの関税影響による利益圧迫(2025年Q1で調整後EPS 0.50ドル、予想0.83ドルを大幅に下回る)と通期ガイダンス下方修正(売上3-4%減)、(3)プレミアムビール市場での競争激化(Constellation BrandsやAB InBevとの競合)。また、日本人投資家にとっては円高・ドル安による為替リスクもあります。詳しくは「5. リスク要因」セクションを参照してください。
Q: モルソン・クアーズ・ブリューイングは長期投資に向いている?
A: プレミアム化戦略(Above Premium)とBeyond Beer(ビール以外)への多角化を信じ、割安なバリュエーション(PBR 1倍割れ)を評価できる投資家に向いています。生活必需品セクターはディフェンシブ性が高く、景気後退期でも比較的安定した需要が見込めます。ただし、米国ビール市場の構造的衰退リスク(2024年出荷量-6.4%)と、2025年Q1の業績下方修正(調整後EPS 0.50ドル、予想0.83ドルを大幅に下回る)を理解し、短期的な業績変動には動じず、長期保有できる忍耐力が求められます。BofAは2025年のビール業界回復を見込みBuy格上げしており、2028年には売上115億ドル、利益11億ドルを予測していますが、投資判断はご自身で行い、最新の決算資料を必ず確認してください。