S&P500

Inc (XYZ)

Block, Inc

0. この記事でわかること

本記事では、Block Inc(XYZ)について以下の情報を提供します:

  • なぜ注目されているのか: Cash App事業の再加速(バンキングアクティブユーザー16%増で800万人、1ユーザー当たり年間250ドル超の粗利益)、AI製品投入(Square AI、Square Handheld、新Square Onlineなど100以上の新製品・機能)、2025年通年の粗利益ガイダンス101.7億ドル(前年比14%増)
  • 事業内容と成長戦略: Square(加盟店向けPOS)とCash App(消費者向け決済)の2大エコシステム、5700万ユーザー・400万加盟店・年間決済額2410億ドル、FDIC承認によりSquare Financial Servicesで消費者ローン発行が可能に
  • 競合との差別化: PayPal・Venmoとの比較において、SquareとCash Appのエコシステム連携、暗号資産・ブロックチェーン技術への戦略的投資、Borrow事業拡大(年率換算180億ドル、前年比2倍)が競争優位性
  • 財務・配当の実績: 2025年Q2粗利益25億ドル(前年比14%増)、調整後営業利益5.5億ドル(前年比38%増、マージン22%)、現在無配(成長投資を優先)
  • リスク要因: 業績予想の大幅未達(2025年Q1 EPS 42.9%下振れ)、コンプライアンス調査(Cash Appのテロ組織・制裁対象国取引)、株価73%下落(史上最高値から)、Cash Appユーザー数横ばい

投資判断はご自身の責任で行ってください。本記事は情報提供のみを目的としています。

1. なぜBlock Inc(XYZ)が注目されているのか

(1) 成長戦略の3つのポイント

Block Inc(旧Square、ティッカー: XYZ)は、CEOジャック・ドーシー(Twitter共同創業者)が率いるフィンテック企業として、決済・金融サービス・暗号資産事業を展開しています。2025年10月時点で、以下の3つの成長戦略が投資家から注目されています。

1. Cash App事業の再加速

Cash App(キャッシュアップ)は、米国最大級のモバイル決済アプリで、個人間送金、デビットカード、株式・ビットコイン投資、バンキングサービスを提供しています。バンキングアクティブユーザー(給与振込または月500ドル以上利用)が前年比16%増で800万人に到達し、1ユーザー当たり年間250ドル超の粗利益を創出しています。また、融資事業Borrow(ボロー)は年率換算180億ドル(前年比2倍)に拡大しており、高収益サービスとして成長が期待されています。

2. AIと製品イノベーション投資

Block IncはAI技術を活用した製品開発を加速しており、Square AI、Square Handheld、新Square Onlineなど100以上の新製品・機能を投入予定です。Square AIは、加盟店の売上予測、在庫管理、顧客分析をAIで自動化し、中小企業の業務効率化を支援します。Square Handheldは、新型POSデバイスで、決済処理の高速化とユーザー体験の向上を実現します。また、FDIC(米連邦預金保険公社)承認によりSquare Financial Servicesで消費者ローン発行が可能となり、Borrow事業の収益性向上を計画しています。

3. 事業の選択と集中

Block Incは、TBD(分散型金融プラットフォーム)の縮小、Tidal(音楽ストリーミングサービス)への投資削減を実施し、ビットコインマイニングとBitkey(暗号資産ウォレット)に経営資源を集中しています。暗号資産・ブロックチェーン技術を事業モデルの中核に位置づけ、長期的な成長ドライバーとして投資を拡大しています。

(2) 注目テーマ(BNPL・ビットコイン/暗号資産・組み込み金融)

BNPL(Buy Now Pay Later)

BNPL(後払い決済サービス)は、消費者がオンラインショッピングで商品を購入し、分割払いで支払うサービスです。Block Incは2021年にAfterpay(アフターペイ)を290億ドルで買収し、BNPL事業を強化しました。Cash AppとSquareの加盟店でAfterpayを利用できるようにすることで、エコシステム連携を推進しています。ただし、米消費者金融保護局(CFPB)がBNPL規制を強化しており、収益性への影響が懸念されています。

ビットコイン・暗号資産

CEOジャック・ドーシーは、「ビットコインを未来の主要通貨と捉え、Blockの戦略もそれに沿った展開」を明言しています。Cash Appではビットコイン売買が可能で、2024年の暗号資産取引高は年間600億ドルを超えました。また、ビットコインマイニング事業にも投資しており、2025年にはマイニング用ASICチップの自社開発を進めています。Bitkey(暗号資産ウォレット)は、ビットコインの自己保管を容易にするハードウェアウォレットで、2024年に発売されました。

組み込み金融(Embedded Finance)

組み込み金融は、非金融企業が自社サービス内に決済・融資・保険などの金融機能を統合することです。Block IncのSquare APIを利用することで、EC事業者やSaaS企業が自社サービスに決済機能を組み込むことができます。この分野は急成長しており、Block Incの長期的な収益源として期待されています。

(3) 投資家の関心・懸念点

投資家の関心ポイント

アナリスト30名のコンセンサス評価は「Buy」(Strong Buy 33%, Buy 40%, Hold 17%, Sell 10%)で、平均目標株価は78.59ドル(2025年10月時点)です。2025年通年の粗利益ガイダンスは101.7億ドル(前年比14%増)、調整後営業利益20.3億ドル(マージン20%)を見込んでおり、収益性改善が期待されています。また、株価が史上最高値から73%下落し、歴史的平均バリュエーションの半分以下で取引されているため、割安感から買いが入る可能性があります。

2025年11月19日にInvestor Dayを開催し、長期戦略と財務フレームワークを発表予定であり、株価回復のきっかけとなる期待があります。

投資家の懸念ポイント

しかし、業績予想の大幅未達とコンプライアンス調査が懸念されています。2025年Q1のEPSが予想0.98ドルに対し0.56ドル(42.9%下振れ)、売上も予想621億ドルに対し577億ドル(7.1%下振れ)で、発表後に株価が18.5%急落しました。Cash Appのユーザー数が横ばいで、市場飽和と競合圧力への懸念が高まっています。

また、Cash Appがテロ組織・制裁対象国の取引を処理していた疑惑で米連邦検察が捜査しており、コンプライアンス体制への疑問が呈されています。元財務長官Larry Summers、取締役Sharon Rothsteinが相次いで退任し、ガバナンス問題が深刻化しています。

さらに、2025-2026年のEPS予想が下方修正され、市場の懐疑的な見方が強まっています。アナリスト30名の平均目標株価78.59ドルは、現在株価から2.8%下落を示唆しており、短期的な株価上昇は限定的との見方があります。

2. Block Incの事業内容・成長戦略

(1) 主力事業(Square加盟店向けPOS・Cash App消費者向け決済)

Block Incの事業は、以下の2つのエコシステムで構成されています。

Square(スクエア):加盟店向けPOSシステム

Squareは、中小企業・個人事業主向けにPOS(販売時点情報管理)システムを提供する事業です。約400万加盟店が利用しており、クレジットカード・デビットカード決済、在庫管理、顧客管理、オンライン販売、給与計算などの機能を統合したプラットフォームです。代表的な製品には、Square Reader(カードリーダー)、Square Register(タブレットPOS)、Square Online(ECサイト構築)、Square Payroll(給与計算)があります。

Squareの収益モデルは、決済手数料(取引額の2.6%+10セント程度)と月額サブスクリプション(Square for Retail、Square for Restaurantsなど)です。飲食店特化サービス(Square for Restaurants)が急拡大しており、2024年の決済額は前年比30%増となりました。

Cash App(キャッシュアップ):消費者向け決済アプリ

Cash Appは、個人間送金、デビットカード、株式・ビットコイン投資、バンキングサービスを提供する消費者向けアプリです。約5700万ユーザーが利用しており、Venmo(PayPal傘下)に次ぐ米国第2位のモバイル決済アプリです。

Cash Appの収益源は、以下の通りです。

  • 決済手数料: デビットカード(Cash Card)利用時の加盟店からの手数料、即時送金手数料
  • ビットコイン取引: ビットコイン売買時のスプレッド(買値と売値の差)
  • 株式投資: 株式売買手数料
  • 融資事業(Borrow): 個人向け少額融資の金利収入
  • バンキングサービス: 当座預金口座の維持手数料、ATM手数料

Cash Appは、Z世代・ミレニアル世代に人気があり、給与振込、家賃支払い、オンラインショッピングなど幅広い用途で利用されています。

(2) セクター・業種の説明(Industrials - Professional Services)

Block IncはIndustrials(資本財)セクターのProfessional Services(専門サービス)業種に分類されていますが、実質的にはFinancials(金融)セクターのFintech(フィンテック)企業です。セクター分類は、決済処理サービスを提供する点で専門サービスに分類されていますが、投資家の多くはフィンテック企業として評価しています。

フィンテック業界は、以下の特性を持ちます。

規制リスクが高い

BNPL規制、暗号資産規制、消費者保護規制などの変更により、事業モデルが影響を受けます。米消費者金融保護局(CFPB)がBNPL事業者に対し、クレジットカード並みの規制を適用する方針を示しており、収益性への影響が懸念されています。

競争が激化

PayPal、Venmo、Apple Pay、Google Pay、Stripeなど、多数の競合が存在し、決済手数料の引き下げ競争が激化しています。市場シェアを維持するためには、継続的な製品イノベーションとユーザー体験の向上が必要です。

成長性が高い

キャッシュレス決済の普及、組み込み金融の拡大により、フィンテック市場は年率15-20%の成長が見込まれています。特に、中小企業向けPOS市場と個人向けデジタルバンキング市場が拡大しています。

(3) ビジネスモデルの特徴(2大エコシステム・暗号資産投資・AI製品投入)

Block Incのビジネスモデルの特徴は、以下の3点です。

SquareとCash Appの2大エコシステム連携

Block IncはSquare加盟店とCash Appユーザーを連携させることで、ネットワーク効果を創出しています。Cash AppユーザーがSquare加盟店で買い物をすると、Block Incは加盟店からの決済手数料とユーザーからのデータを獲得できます。また、Afterpay(BNPL)を両方のエコシステムで利用可能にすることで、エコシステム間の相互送客を推進しています。

暗号資産・ブロックチェーン技術への戦略的投資

CEOジャック・ドーシーは、ビットコインを未来の主要通貨と位置づけ、Block Incの事業戦略もそれに沿った展開をしています。ビットコインマイニング、Bitkey(暗号資産ウォレット)、Cash Appでのビットコイン売買など、暗号資産事業を事業モデルの中核に配置しています。ただし、ビットコイン価格の変動により、収益が大きく変動するリスクがあります。

AI製品投入による生産性向上

Square AI、Square Handheld、新Square Onlineなど100以上の新製品・機能を投入予定で、AI技術により加盟店の業務効率化とユーザー体験の向上を実現しています。AI活用により、競合他社に対する競争優位性を強化しています。

3. 競合との差別化

(1) 主要競合企業(PayPal、Venmo等)

Block Incの主要競合企業は、以下の通りです。

PayPal(ペイパル)

世界最大のオンライン決済サービスで、時価総額・売上規模ともにBlock Incを大きく上回ります。PayPalは、EC決済に強みを持ち、約4億アカウントを保有しています。Venmo(個人間送金アプリ)を傘下に持ち、米国モバイル決済市場でCash Appと競合しています。

Venmo(ベンモ)

PayPal傘下の個人間送金アプ<リで、約9000万ユーザーを保有しています。Cash Appと直接競合しており、Z世代・ミレニアル世代に人気があります。VenmoはSNS機能(送金履歴をシェア)を持つ点が特徴です。

Stripe(ストライプ)

オンライン決済APIを提供する企業で、EC事業者・SaaS企業向けに決済インフラを提供しています。Squareと競合していますが、Stripeは大企業向け、Squareは中小企業向けに特化している点で差別化されています。

Apple Pay(アップルペイ)、Google Pay(グーグルペイ)

スマートフォンを利用した非接触決済サービスで、実店舗での決済に強みを持ちます。Block IncのCash CardやSquare Readerと競合していますが、エコシステムの違い(AppleはiOSユーザー向け、GoogleはAndroidユーザー向け)で棲み分けがあります。

(2) 競合優位性(エコシステム連携・FDIC承認による消費者ローン発行・暗号資産戦略)

Block Incの競合優位性は、以下の3点です。

SquareとCash Appのエコシステム連携

PayPalがPayPalとVenmoを別々に運営しているのに対し、Block IncはSquareとCash Appを統合したエコシステムを構築しています。加盟店とユーザーの双方向データを活用し、個別化されたサービス提供と広告配信により、収益性を向上させています。

FDIC承認によるSquare Financial Servicesの活用

2020年にFDIC承認を取得したSquare Financial Servicesにより、消費者ローン発行が可能となりました。Borrow事業(個人向け少額融資)は年率換算180億ドル(前年比2倍)に拡大しており、高収益サービスとして成長が期待されています。従来の銀行よりも審査が柔軟で、AIによる信用スコアリングにより、返済能力の高い顧客を選別しています。

暗号資産戦略による長期成長ポテンシャル

Block Incは、ビットコインマイニング、Bitkey、Cash Appでのビットコイン売買など、暗号資産事業を事業モデルの中核に位置づけています。ビットコインが普及すると、Block Incの事業価値が大きく向上するポテンシャルがあります。ただし、ビットコイン価格の変動リスクと規制リスクがあります。

(3) 市場でのポジショニング(5700万ユーザー・400万加盟店・年間決済額2410億ドル)

Block Incは、時価総額約460億ドル(2025年10月時点)で、フィンテック企業として世界トップ10に入る規模です。PayPal(時価総額約800億ドル)には劣りますが、成長率ではPayPalを上回っています。

市場でのポジショニングは、「中小企業・個人事業主向けPOSと消費者向けデジタルバンキングのリーディングカンパニー」として評価されています。5700万ユーザー、400万加盟店、年間決済額2410億ドル(2024年時点)という規模を持ち、米国フィンテック市場で確固たる地位を築いています。

4. 財務・配当の実績

(1) 売上高・利益の推移(2025年Q2実績・通年ガイダンス)

Block Incの過去5年間の財務推移は以下の通りです(2025年10月時点の最新データ)。

年度 売上高(億ドル) 粗利益(億ドル) 調整後EPS(ドル) 粗利益マージン
2020 94 29 -0.29 30.9%
2021 176 46 0.24 26.1%
2022 176 62 0.80 35.2%
2023 212 79 2.48 37.3%
2024 238 89 3.40 37.4%

(出典: Block Inc. 10-K Annual Report 2024)

2024年通年の売上高238億ドル、粗利益89億ドル、調整後EPS 3.40ドルと、堅調な業績を記録しました。粗利益マージンは37.4%と、フィンテック業界で高水準です。

2025年Q2実績

2025年Q2の粗利益は25億ドル(前年比14%増)、調整後営業利益5.5億ドル(前年比38%増、マージン22%)、EPS 0.62ドル(予想0.49ドルを26.5%上回る)と、好調な業績を記録しました。Cash App粗利益成長が16%に再加速し、Borrowの融資額が前年比2倍となったことが成長を牽引しました。

2025年通年ガイダンス

2025年通年の粗利益ガイダンスは101.7億ドル(前年比14%増)、調整後営業利益20.3億ドル(マージン20%)を見込んでいます。ただし、2025年Q1の業績予想未達(EPS 42.9%下振れ)により、市場の懐疑的な見方が強まっています。

(2) 配当履歴(現在無配)

Block Incは現在無配です。成長投資を優先する戦略を採用しており、フリーキャッシュフローを事業拡大(AI製品開発、暗号資産投資、M&A)に再投資しています。

配当を支払っていないため、株主還元は株価上昇によるキャピタルゲインに依存します。ただし、株価が史上最高値から73%下落しており、短期的な株価回復は不透明です。

(3) 財務健全性(2025年Q2粗利益25億ドル・調整後営業利益5.5億ドル)

Block Incの財務健全性指標は以下の通りです(2025年Q2)。

  • 粗利益: 25億ドル(前年比14%増)
  • 調整後営業利益: 5.5億ドル(前年比38%増、マージン22%)
  • フリーキャッシュフロー(FCF): 約10億ドル(2024年通年)
  • 現金・現金同等物: 約80億ドル(2024年度末)
  • 総負債: 約50億ドル(2024年度末)
  • ネット・キャッシュ: 約30億ドル(2024年度末)

現金80億ドル vs 総負債50億ドルで、ネット・キャッシュ約30億ドルを保有しており、財務健全性は良好です。FCF約10億ドルは、成長投資と事業拡大をカバーしており、財務の柔軟性は維持されています。

※2025年10月時点のデータです。最新情報はBlock Inc公式IRページをご確認ください。

5. リスク要因

(1) 事業リスク(業績予想の大幅未達・Cash Appユーザー数横ばい)

業績予想の大幅未達

2025年Q1のEPSが予想0.98ドルに対し0.56ドル(42.9%下振れ)、売上も予想621億ドルに対し577億ドル(7.1%下振れ)で、発表後に株価が18.5%急落しました。市場は、Block Incの成長鈍化と収益性低下を懸念しており、2025-2026年のEPS予想が下方修正されています。

Cash Appユーザー数横ばい

Cash Appのユーザー数が横ばいで、市場飽和と競合圧力への懸念が高まっています。Venmo(約9000万ユーザー)がユーザー数でリードしており、Block IncはCash Appの差別化を図る必要があります。

Afterpay統合の遅れ

2021年にAfterpay(BNPL)を290億ドルで買収しましたが、SquareとCash AppへのAfterpay統合が計画よりも遅れています。統合によるシナジー効果(売上拡大、コスト削減)が計画通り実現しない場合、株価が下落するリスクがあります。

(2) 市場環境リスク(コンプライアンス調査とガバナンス問題・株価73%下落)

コンプライアンス調査とガバナンス問題

Cash Appがテロ組織・制裁対象国の取引を処理していた疑惑で米連邦検察が捜査しており、コンプライアンス体制への疑問が呈されています。調査結果次第では、巨額の罰金や事業制限が科される可能性があります。また、元財務長官Larry Summers、取締役Sharon Rothsteinが相次いで退任し、ガバナンス問題が深刻化しています。

株価73%下落

株価が史上最高値から73%下落し、歴史的平均バリュエーションの半分以下で取引されています。短期的な株価回復は不透明で、さらなる下落のリスクがあります。

為替リスク

Block Incは主に米国内で事業を展開しているため、為替リスクは限定的ですが、日本人投資家にとっては円ドル為替の変動が円ベースのリターンに影響します。円高が進行すると、株価の円換算額が減少します。

(3) 規制・競争リスク(BNPL規制リスク・競合他社との競争激化)

BNPL規制リスク

米消費者金融保護局(CFPB)がBNPL事業者に対し、クレジットカード並みの規制を適用する方針を示しています。規制が強化されると、Afterpay事業の収益性が低下し、成長が鈍化するリスクがあります。

暗号資産規制リスク

ビットコイン売買、ビットコインマイニングは、暗号資産規制の変更により影響を受けます。規制が強化されると、暗号資産事業の収益が減少し、Block Incの長期成長ポテンシャルが低下するリスクがあります。

競合他社との競争激化

PayPal、Venmo、Stripe、Apple Pay、Google Payなどの競合が決済手数料の引き下げや新サービス投入により市場シェアを奪い合っており、競争が激化しています。Block Incは、継続的な製品イノベーションとユーザー体験の向上により、市場シェアを維持する必要があります。

6. まとめ:投資判断のポイント

(1) この銘柄の強み(Cash App事業再加速・AI製品投入・Borrow事業拡大)

1. Cash App事業の再加速

バンキングアクティブユーザー16%増で800万人、1ユーザー当たり年間250ドル超の粗利益を創出しており、Cash App事業の成長が再加速しています。Borrow事業(融資)は年率換算180億ドル(前年比2倍)に拡大し、高収益サービスとして成長が期待されます。

2. AI製品投入による競争優位性強化

Square AI、Square Handheld、新Square Onlineなど100以上の新製品・機能を投入予定で、AI技術により加盟店の業務効率化とユーザー体験の向上を実現しています。

3. FDIC承認によるSquare Financial Services活用

消費者ローン発行が可能となり、Borrow事業の収益性向上が計画されています。従来の銀行よりも審査が柔軟で、AIによる信用スコアリングにより、返済能力の高い顧客を選別しています。

(2) リスク要因(業績予想未達・コンプライアンス調査・株価低迷)

1. 業績予想の大幅未達

2025年Q1 EPS 42.9%下振れ、売上7.1%下振れにより、市場の懐疑的な見方が強まっています。2025-2026年のEPS予想が下方修正され、短期的な株価上昇は限定的です。

2. コンプライアンス調査とガバナンス問題

Cash Appのテロ組織・制裁対象国取引疑惑で米連邦検察が捜査しており、巨額の罰金や事業制限のリスクがあります。

(3) 向いている投資家(フィンテック成長を期待する投資家・暗号資産戦略に注目する投資家・バリュエーション重視の投資家)

フィンテック成長を期待する長期投資家

キャッシュレス決済の普及、組み込み金融の拡大により、フィンテック市場は年率15-20%の成長が見込まれています。Block IncはCash App事業の再加速、AI製品投入、Borrow事業拡大により、長期的な成長が期待されます。5〜10年の長期視点で投資できる投資家に向いています。

暗号資産戦略に注目する投資家

ビットコインを未来の主要通貨と位置づけ、ビットコインマイニング、Bitkey、Cash Appでのビットコイン売買など、暗号資産事業を事業モデルの中核に配置しています。ビットコインが普及すると、Block Incの事業価値が大きく向上するポテンシャルがあります。暗号資産の長期的な成長を信じる投資家に向いています。

バリュエーション重視の投資家

株価が史上最高値から73%下落し、歴史的平均バリュエーションの半分以下で取引されているため、割安感があります。業績予想未達とコンプライアンス調査により短期的には株価が低迷していますが、長期的には事業価値に対して割安との見方もあります。逆張り投資ができる投資家に向いています。

免責事項

本記事は情報提供のみを目的としており、個別銘柄の推奨や投資助言を行うものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。最新の財務データや株価情報は、Block Inc公式IRページやSEC EDGARで確認することをお勧めします。

Q: Block Incの配当利回りは?

A: Block Incは現在無配です。成長投資を優先する戦略を採用しており、フリーキャッシュフローを事業拡大(AI製品開発、暗号資産投資、M&A)に再投資しています。配当を支払っていないため、株主還元は株価上昇によるキャピタルゲインに依存します。ただし、株価が史上最高値から73%下落しており、短期的な株価回復は不透明です。

Q: Block Incの主な競合は?

A: PayPal、Venmo、Stripe、Apple Pay、Google Payなどが主要競合です。Block IncはSquareとCash Appのエコシステム連携、FDIC承認による消費者ローン発行、暗号資産戦略で差別化しています。5700万ユーザー、400万加盟店、年間決済額2410億ドルという規模を持ち、米国フィンテック市場で確固たる地位を築いています。詳細は本文の競合との差別化セクションを参照してください。

Q: Block Incのリスク要因は?

A: 主なリスク要因は、業績予想の大幅未達(2025年Q1 EPS 42.9%下振れ)、コンプライアンス調査(Cash Appのテロ組織・制裁対象国取引)、株価73%下落(史上最高値から)、Cash Appユーザー数横ばいです。また、BNPL規制リスク、暗号資産規制リスク、競合他社との競争激化も挙げられます。詳細は本文のリスク要因セクションを参照してください。

Q: Block Incは長期投資に向いている?

A: Cash App事業の再加速、AI製品投入、Borrow事業拡大により、フィンテック成長を期待する投資家に向いています。株価が史上最高値から73%下落し、歴史的平均バリュエーションの半分以下で取引されているため、バリュエーション重視の投資家にも魅力があります。ただし、業績予想未達とコンプライアンス調査に注意が必要です。5〜10年の長期視点で投資できる投資家、暗号資産の長期的な成長を信じる投資家に適しています。投資判断はご自身で行ってください。

よくある質問

Q1Block Incの配当利回りは?

A1Block Incは現在無配です。成長投資を優先する戦略を採用しており、フリーキャッシュフローを事業拡大(AI製品開発、暗号資産投資、M&A)に再投資しています。配当を支払っていないため、株主還元は株価上昇によるキャピタルゲインに依存します。ただし、株価が史上最高値から73%下落しており、短期的な株価回復は不透明です。

Q2Block Incの主な競合は?

A2PayPal、Venmo、Stripe、Apple Pay、Google Payなどが主要競合です。Block IncはSquareとCash Appのエコシステム連携、FDIC承認による消費者ローン発行、暗号資産戦略で差別化しています。5700万ユーザー、400万加盟店、年間決済額2410億ドルという規模を持ち、米国フィンテック市場で確固たる地位を築いています。詳細は本文の競合との差別化セクションを参照してください。

Q3Block Incのリスク要因は?

A3主なリスク要因は、業績予想の大幅未達(2025年Q1 EPS 42.9%下振れ)、コンプライアンス調査(Cash Appのテロ組織・制裁対象国取引)、株価73%下落(史上最高値から)、Cash Appユーザー数横ばいです。また、BNPL規制リスク、暗号資産規制リスク、競合他社との競争激化も挙げられます。詳細は本文のリスク要因セクションを参照してください。

Q4Block Incは長期投資に向いている?

A4Cash App事業の再加速、AI製品投入、Borrow事業拡大により、フィンテック成長を期待する投資家に向いています。株価が史上最高値から73%下落し、歴史的平均バリュエーションの半分以下で取引されているため、バリュエーション重視の投資家にも魅力があります。ただし、業績予想未達とコンプライアンス調査に注意が必要です。5〜10年の長期視点で投資できる投資家、暗号資産の長期的な成長を信じる投資家に適しています。投資判断はご自身で行ってください。