S&P500

アフラック (AFL)

Aflac Incorporated

0. この記事でわかること

本記事では、アフラック(AFL)について以下の情報を提供します:

  • なぜ注目されているのか: 42年連続増配の配当貴族として安定配当を重視する投資家に人気。日本事業が売上の7割超を占め、補完医療保険のリーダーとして日米2大市場に集中する独自のビジネスモデルを展開しています。
  • 事業内容と成長戦略: がん保険・医療保険に特化し、日本ではがん保険市場でトップシェア。2025年3~4月に新型がん保険を投入し、デジタルフットプリント拡大に注力しています。
  • 競合との差別化: 日本生命、第一生命、メットライフ生命などと競合しながらも、日本でのがん保険シェアNo.1と日本世帯の4分の1に保険を提供する圧倒的な市場浸透力が強みです。
  • 財務・配当の実績: 2024年通期EPS 23.8%増の$9.63を達成し、日本事業の税引前利益率が過去最高36%を記録。2025年Q1には配当を16%増配しています。
  • リスク要因: 2025年Q1の収益が前年比40.4%減で予想を大幅に下回り、米国事業の競争激化と規制課題が顕在化。アナリストはEPS予想を10%引き下げました。

1. なぜアフラック(AFL)が注目されているのか

(1) 成長戦略の3つのポイント

アフラックは以下の3つの成長戦略を推進しています:

① 補完医療保険の商品革新
2025年3~4月に新型がん保険を全販売チャネルで展開しました。事故保険では包括的回復支援(メンタルヘルス療法含む)と予防ケア拡充を実施し、医療費の自己負担増加に対する経済的保護を強化しています。

② 日本市場での圧倒的シェア維持
日本世帯の4分の1に保険を提供し、日本セグメントが税引前調整利益の70%超を占めています。2024年に日本事業の税引前利益率が過去最高36%を達成しました。

③ デジタル・マルチチャネル戦略
日本では銀行・郵便局との強固なパートナーシップ、米国では独立・専属代理店網とブローカー連携を活用しています。デジタルフットプリント拡大に投資し、新規顧客獲得と既存顧客へのクロスセル強化を図っています。

(2) 注目テーマ(配当貴族・補完医療保険のリーダー・日米2大市場への集中戦略)

配当貴族(42年連続増配)
アフラックはS&P500構成銘柄で25年以上連続増配している配当貴族の一角です。2025年Q1には配当を16%増配し、42年連続増配を達成しました。安定配当を重視する投資家に人気があります。

補完医療保険のリーダー
補完医療保険(Supplemental Insurance)は、医療費の自己負担をカバーする追加保険です。アフラックは日本のがん保険市場でトップシェアを誇り、米国でも職場販売(Worksite Sales)を通じて企業の従業員向けに保険を提供しています。

日米2大市場への集中戦略
米国企業でありながら売上の7割超が日本事業という珍しいビジネスモデルを展開しています。日本の高齢化と保険需要拡大が追い風となり、為替(円安で利益増)の影響を受けやすい特性があります。

(3) 投資家の関心・懸念点

投資家の関心

  • 2024年Q4に純利益19億ドル(前年比7倍増)を達成
  • 通期2024年EPS 23.8%増の$9.63
  • 強固な資本基盤(SMR 1,150%超)を維持
  • 2024年に39億ドルを株主還元(自社株買戻し28億ドル含む)

投資家の懸念

  • 2025年Q1売上が前年比40.4%減の29.5億ドルで予想を大幅下回る
  • 米国事業の競争激化と規制課題
  • アナリスト7名が2025年EPSを$6.72から$5.93へ10%引き下げ
  • 法定EPS $0.05は予想を97%下回る

アナリスト22名の中央値株価目標は$105(レンジ$99~$124)で、バンク・オブ・アメリカは$130に引き上げています(2025年10月時点)。補完医療保険市場の需要は堅調ですが、米国での競争激化と日本の顧客高齢化が中期的な課題とされています。

2. アフラックの事業内容・成長戦略

(1) 主力事業

アフラックの主力事業は以下の3つです:

① がん保険
1974年に日本進出してがん保険市場を開拓しました。現在は日本のがん保険市場でシェアトップを誇ります。2025年3~4月に新型がん保険を投入し、商品革新を継続しています。

② 医療保険
第三分野保険(生保・損保以外)に特化し、医療費の自己負担をカバーする補完医療保険を提供しています。事故保険では包括的回復支援(メンタルヘルス療法含む)と予防ケア拡充を実施しています。

③ 日本事業(アフラック生命保険)
売上の7割超が日本事業で、日本世帯の4分の1に保険を提供しています。日本セグメントが税引前調整利益の70%超を占め、2024年に税引前利益率が過去最高36%を達成しました。

(2) セクター・業種の説明

セクター: Financials(金融)
金融セクターは銀行、保険、証券、不動産などを含みます。景気変動の影響を受けやすいですが、アフラックは補完医療保険に特化することでディフェンシブな特性を持ちます。

業種: Insurance(保険)
保険業は生命保険、損害保険、第三分野保険(医療・がん保険など)に分かれます。アフラックは第三分野保険に特化し、日本の高齢化と保険需要拡大が追い風となっています。金利上昇局面では運用益が増加するメリットがあります。

(3) ビジネスモデルの特徴

デュアル市場ビジネスモデル
日米2大市場に特化したビジネスモデルを展開しています。日本では銀行・郵便局との強固なパートナーシップ、米国では職場販売での独立代理店を活用しています。

為替の影響
日本事業の利益を米ドルに換算するため、円安局面で業績が伸びやすい特性があります。為替リスクは後述のリスク要因で詳しく解説します。

商品革新とデジタル化
2025年3~4月に新型がん保険を投入し、デジタルフットプリント拡大に投資しています。新規顧客獲得と既存顧客へのクロスセル強化を図っています。

3. 競合との差別化

(1) 主要競合企業

日本市場

  • 日本生命
  • 第一生命
  • メットライフ生命

米国市場

  • Unum
  • Guardian Life

アフラックは日本でのがん保険シェアトップと補完医療保険への特化が強みです。

(2) 競合優位性

① 日本でのがん保険シェアNo.1
日本のがん保険市場でトップシェアを誇り、日本世帯の4分の1に保険を提供しています。1974年に日本進出してがん保険市場を開拓した歴史があります。

② 補完医療保険への特化
生命保険や損害保険ではなく、第三分野保険(医療・がん保険など)に特化しています。医療費の自己負担増加に対する経済的保護を提供し、ディフェンシブな特性を持ちます。

③ 日米2大市場への集中戦略
米国企業でありながら売上の7割超が日本事業という独自のビジネスモデルを展開しています。日本の高齢化と保険需要拡大が追い風となっています。

(3) 市場でのポジショニング

アフラックは補完医療保険のリーダーとして、日米2大市場に集中する独自のポジショニングを確立しています。日本では銀行・郵便局との強固なパートナーシップ、米国では職場販売での独立代理店を活用し、デジタルフットプリント拡大に注力しています。

4. 財務・配当の実績

(1) 売上高・利益の推移

以下は過去の財務実績です(2025年10月時点):

指標 2024年Q4 2024年通期 2025年Q1(参考)
純利益 19億ドル(前年比7倍増) - -
EPS $3.42(Q4) $9.63(23.8%増) $0.05(予想を97%下回る)
調整EPS - $7.21(15.7%増) -
売上 - - 29.5億ドル(前年比40.4%減)

※出典: Aflac Incorporated 2024年Q4決算発表、2025年Q1決算発表、SEC EDGAR
※2025年10月時点のデータです。最新情報はAflac Incorporated公式IRページをご確認ください。

日本事業の実績

  • 2024年に税引前利益率が過去最高36%を達成
  • 日本セグメントが税引前調整利益の70%超を占める
  • 日本世帯の4分の1に保険を提供

米国事業の課題

  • 2025年Q1の収益が前年比40.4%減で予想を大幅下回る
  • 競争激化と規制課題が顕在化

(2) 配当履歴

アフラックは42年連続増配を達成している配当貴族です:

  • 2025年Q1配当: 16%増配を発表
  • 配当利回り: 約2.0-2.5%程度(株価変動により変化、2025年10月時点)
  • 株主還元: 2024年に39億ドルを株主還元(自社株買戻し28億ドル含む)

配当貴族とは、S&P500構成銘柄で25年以上連続増配している企業を指します。アフラックは安定配当を重視する投資家に人気があります。

(3) 財務健全性

ソルベンシー・マージン比率(SMR)
SMRは保険会社の支払余力を示す指標で、アフラックは1,150%超の強固な資本基盤を維持しています。

自社株買戻し
2024年に28億ドルの自社株買戻しを実施しましたが、2025年Q1以降は減速しています。

運用益の増加
金利上昇局面では運用益が増加するメリットがあります。日本の金利正常化も追い風となる可能性があります。

5. リスク要因

(1) 事業リスク

収益減少と米国事業の苦戦
2025年Q1の売上が前年比40.4%減の29.5億ドルで予想を大幅に下回りました。米国事業の競争激化と規制課題が顕在化しています。

EPS予想の大幅下方修正
Q1決算後、アナリスト7名が2025年EPSを$6.72から$5.93へ10%引き下げました。法定EPS $0.05は予想を97%下回っています。

日本事業の顧客高齢化
日本事業は売上の7割超を占めますが、顧客の高齢化と若年層獲得が中期的な課題とされています。

(2) 市場環境リスク

為替リスク
日本事業の利益を米ドルに換算するため、円高局面では業績が悪化するリスクがあります。一方、円安局面では業績が伸びやすい特性があります。

金利変動リスク
保険会社は保険料を運用して利益を得るため、金利変動の影響を受けます。金利上昇局面では運用益が増加しますが、金利低下局面では運用益が減少するリスクがあります。

景気変動リスク
金融セクターは景気変動の影響を受けやすいですが、アフラックは補完医療保険に特化することでディフェンシブな特性を持ちます。

(3) 規制・競争リスク

米国での競争激化
米国補完医療保険市場では、Unum、Guardian Lifeなどとの競争が激化しています。2025年Q1の収益減少の一因とされています。

規制課題
保険業は規制が厳しい業種です。米国での規制課題が顕在化しており、業績に影響を与える可能性があります。

日本での競合
日本では日本生命、第一生命、メットライフ生命などと競合しています。日本でのがん保険シェアトップを維持するための商品革新とデジタル化が求められています。

6. まとめ:投資判断のポイント

(1) この銘柄の強み

① 42年連続増配の配当貴族
2025年Q1には配当を16%増配し、安定配当を重視する投資家に人気があります。

② 日本でのがん保険シェアNo.1
日本世帯の4分の1に保険を提供し、日本事業の税引前利益率が過去最高36%を達成しています。

③ 強固な資本基盤(SMR 1,150%超)
保険会社の支払余力を示すSMRが1,150%超で、財務健全性が高い企業です。

(2) リスク要因(再掲)

① 2025年Q1の収益減少
売上が前年比40.4%減の29.5億ドルで予想を大幅に下回り、アナリストはEPS予想を10%引き下げました。

② 米国事業の競争激化と規制課題
米国補完医療保険市場での競争激化と規制課題が顕在化しています。

(3) 向いている投資家

① 安定配当を重視する投資家
42年連続増配の実績と配当利回り約2.0-2.5%(2025年10月時点)が魅力です。

② 日本市場に精通した企業を好む投資家
売上の7割超が日本事業で、日本でのがん保険シェアトップという独自のポジショニングを評価する投資家に向いています。

③ ディフェンシブな金融株を求める投資家
補完医療保険に特化することでディフェンシブな特性を持ち、景気変動の影響を受けにくい企業です。

免責事項
本記事は情報提供を目的としており、個別銘柄の推奨や投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。財務データは2025年10月時点のものです。最新情報はAflac Incorporated公式IRページ(https://investors.aflac.com/)およびSEC EDGAR(https://www.sec.gov/)をご確認ください。米国株の配当は米国で10%、日本で20.315%課税されます(二重課税)。確定申告で外国税額控除を受けられますが、NISA口座は対象外です。為替リスクにもご注意ください。

よくある質問

Q1アフラックの配当利回りは?

A1配当利回りは約2.0-2.5%程度です(株価変動により変化、2025年10月時点)。アフラックは42年連続増配を達成している配当貴族の一角で、2025年Q1には16%増配を発表しています。安定配当を重視する投資家に人気があります。過去の配当履歴と合わせて確認してください。

Q2アフラックの主な競合は?

A2日本では日本生命、第一生命、メットライフ生命など。米国ではUnum、Guardian Lifeなどが競合です。アフラックは日本でのがん保険シェアトップと補完医療保険への特化が強みで、日本世帯の4分の1に保険を提供しています。競合との差別化ポイントは本文「3. 競合との差別化」を参照してください。

Q3アフラックのリスク要因は?

A3主なリスクは以下の3つです:① 2025年Q1の収益が前年比40.4%減で予想を大幅に下回ったこと、② 米国事業の競争激化と規制課題、③ 日本事業の顧客高齢化と若年層獲得の課題。アナリストは2025年EPSを10%引き下げています。詳細は本文「5. リスク要因」を参照してください。

Q4アフラックは長期投資に向いている?

A4安定配当を重視する投資家、日本市場に精通した企業を好む投資家、ディフェンシブな金融株を求める投資家に向いています。42年連続増配の実績と日本事業の高い利益率(税引前利益率36%)が魅力です。ただし、2025年Q1の収益減少やEPS予想の下方修正などのリスクもあります。投資判断はご自身の責任で行ってください。

Q5アフラックは米国企業なのに日本での知名度が高いのはなぜ?

A51974年に日本進出し、がん保険市場を開拓した歴史があるためです。現在は売上の7割超が日本事業(アフラック生命保険)で、日本世帯の4分の1に保険を提供しています。日本でのがん保険シェアはトップで、日本事業の税引前利益率が過去最高36%を達成しています(2024年)。米国企業でありながら日本市場に深く浸透している珍しい存在です。