S&P500

エーオン (AON)

Aon PLC

0. この記事でわかること

本記事では、エーオン(AON)について以下の情報を提供します:

  • なぜ注目されているのか: 世界最大級の保険ブローカー・リスクコンサルティング企業として、Aon United戦略と3x3プランで二桁フリーキャッシュフロー成長を目標。NFP買収(134億ドル)で中堅市場セグメントを強化しています。
  • 事業内容と成長戦略: 企業向けに保険仲介・リスク管理・人事コンサルティングを提供。リスクキャピタル(リスク・再保険)とヒューマンキャピタル(健康・資産・商業リスク)の統合ソリューションが強みです。
  • 競合との差別化: Marsh McLennan、Arthur J. Gallagherと競合しつつ、再保険仲介・データ分析・グローバル展開(120カ国)で差別化。保険リスクを引き受けないため災害時も業績が安定しています。
  • 財務・配当の実績: 2025年Q1総収益16%成長、有機的収益5%成長、調整後EPS 5.67ドル。15年連続増配を達成し、配当利回り約1%台です。
  • リスク要因: NFP買収(134億ドル)の統合リスク、金利低下による受託運用収益減少、高バリュエーション(PER 31.5倍が業界平均15.1倍を大きく上回る)に注意が必要です。

※本記事は情報提供を目的としたものであり、個別銘柄の投資推奨ではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

1. なぜエーオン(AON)が注目されているのか

(1) 成長戦略の3つのポイント

エーオンは、世界最大級の保険ブローカー・リスクコンサルティング企業として、以下の3つの成長戦略で投資家の注目を集めています。

Aon United戦略と3x3プラン リスクキャピタル(リスク・再保険)とヒューマンキャピタル(健康・資産・商業リスク)の統合ソリューションを提供し、2023-2026年の3x3プラン期間中に二桁のフリーキャッシュフロー年平均成長率(CAGR)達成を目標としています。リスクキャピタルとは、企業のリスクマネジメントと再保険ブローカー事業を指し、ヒューマンキャピタルとは、健康・資産・商業リスクに関するコンサルティング事業を指します。従来の縦割り組織から、顧客中心型組織に転換し、リスクと人材に関する統合プロフェッショナルサービスで世界トップクラスを目指しています。

NFP買収のシナジー実現 中堅市場保険ブローカーNFPを134億ドルで買収し統合が順調に進展、2025年に8,000万ドルの純収益シナジー目標達成に貢献し中堅市場セグメントでの成長を牽引しています。NFP(National Financial Partners)は米国の中堅市場向け保険ブローカーで、エーオンは大企業向けが中心でしたが、NFP買収により中堅企業向け市場にも本格参入しています。

顧客中心型組織への構造転換 Aon Business Servicesプラットフォーム構築により中間・バックオフィス業務を集約し、収益創出人材に6%増員投資することで営業効率向上と顧客セグメント戦略を強化しています。従来の地域別・事業部門別の組織から、顧客セグメント(大企業・中堅企業・スタートアップ等)ごとにチームを編成し、顧客のニーズに迅速に対応する体制を構築しています。

(2) 注目テーマ(Aon United・データドリブン・配当成長15年連続)

エーオンは、以下の3つのトレンドキーワードで投資家の関心を集めています。

Aon United リスクと人材に関する統合プロフェッショナルサービスで世界トップクラスを目指す中核戦略です。従来は、保険仲介・再保険仲介・福利厚生コンサルティング・リスク分析等の事業が独立して運営されていましたが、Aon United戦略により、これらを統合した総合ソリューションを提供しています。顧客は、保険・再保険・福利厚生・リスク分析を一括で相談でき、ワンストップでサービスを受けられるため、利便性が向上します。

データドリブン・インサイト 変動性の高い世界で顧客のより良い意思決定を支援するデータ・技術基盤を構築しています。エーオンは、グローバル120カ国で蓄積した膨大な保険・リスクデータを分析し、顧客に最適な保険商品・リスク管理手法を提案しています。AI・機械学習を活用したデータ分析により、リスク予測の精度が向上し、顧客の損失を未然に防ぐことができます。

配当成長15年連続 2025年Q1に四半期配当を10%引き上げ、15年連続での配当成長を達成しています。配当利回りは約1%台と米国株の平均的な水準ですが、15年連続増配の実績があり、配当成長を重視する投資家に人気です。金融セクターは景気敏感な銘柄が多い中、エーオンは保険リスクを引き受けないため災害時も業績が安定し、連続増配を継続できています。

(3) 投資家の関心・懸念点

投資家は、エーオンの長期的な成長性に関心を持つ一方で、短期的な課題にも注目しています。

関心点

  • アナリスト17社の平均目標株価は417.40ドル(レンジ366-440ドル)で、現在株価から17.31%の上昇余地を示す「やや買い」のコンセンサス評価(買い12、中立3、売り2)
  • 2025年ガイダンスは中期的に中~高い一桁台以上の有機的売上高成長、調整後マージン拡大、強い調整後EPS成長、二桁フリーキャッシュフロー成長を再確認
  • 長期予測で2030年に485.73-772.90ドルのレンジが見込まれ、過去49年実績では向こう52週間で平均13.2%上昇(精度79.59%)
  • 2024年に有機的売上高成長率6%、強固なマージン、二桁調整後EPS成長、28億ドルのフリーキャッシュフローを達成

懸念点

  • NFP買収(134億ドル)発表後に株価が18.89ドル下落し、財務影響・統合リスク・シナジー実現への懸念が浮上
  • 2024年Q1決算がEPS 5.66ドル(予想5.91ドル)・売上高40.7億ドル(予想41.3億ドル)で期待を下回り株価が7%下落、通年でも推定を8%下回る実績で実行力への疑問
  • PER 31.5倍が業界平均15.1倍を大きく上回る割高バリュエーション
  • 金利低下による受託運用収益減少(2025年Q1に受託運用収益は15%減少)と運用コスト増

短期的にはNFP買収の統合リスクと決算未達懸念が投資家の警戒材料ですが、長期的にはAon United戦略と顧客中心型組織への転換により、中堅市場セグメントでの成長と営業効率向上が期待されています。

2. エーオンの事業内容・成長戦略

(1) 主力事業(保険仲介・再保険・リスクコンサル)

エーオンは1982年創業(元々は1919年創業の保険会社が前身)で、以下の4つの主力事業を展開しています。

Commercial Risk Solutions(企業向け保険仲介) 企業向けに損害保険・賠償責任保険・財産保険等の保険仲介を提供しています。保険会社ではなく、企業と保険会社の間に立って最適な保険を提案し、手数料を得るビジネスです。グローバル120カ国に拠点を持ち、多国籍企業向けに包括的な保険プログラムを提供しています。

Reinsurance Solutions(再保険仲介) 保険会社向けに再保険(保険会社が自社のリスクを他の保険会社に移転する保険)の仲介を提供しています。再保険仲介は高度な専門知識が必要で、競合が少ないニッチ市場です。エーオンは再保険仲介で世界トップクラスのシェアを持ち、高い利益率を確保しています。

Health Solutions(福利厚生コンサルティング) 企業向けに健康保険・年金・福利厚生プログラムのコンサルティングを提供しています。従業員の健康管理・退職金制度設計・福利厚生の最適化などを支援し、企業の人事戦略をサポートしています。

Data & Analytic Services(リスク分析) グローバル120カ国で蓄積した膨大な保険・リスクデータを分析し、顧客に最適な保険商品・リスク管理手法を提案しています。AI・機械学習を活用したデータ分析により、リスク予測の精度が向上し、顧客の損失を未然に防ぐことができます。

(2) セクター・業種の説明(Insurance Brokers)

エーオンは**金融セクター(Financials)保険業種(Insurance)に分類されますが、厳密には保険ブローカー(Insurance Brokers)**です。

保険ブローカーとは、保険会社と顧客の間に立って保険を仲介する事業者です。保険会社(保険リスクを引き受ける)とは異なり、保険ブローカー(保険を仲介するだけでリスクを引き受けない)は、災害時も業績が安定しています。例えば、大規模な自然災害(ハリケーン、地震等)が発生すると、保険会社は多額の保険金を支払う必要があり業績が悪化しますが、保険ブローカーは手数料ベースのビジネスモデルのため、業績への影響は限定的です。

(3) ビジネスモデルの特徴(手数料ベース・リスク非引受)

エーオンのビジネスモデルの最大の特徴は、手数料ベースリスク非引受です。

手数料ベースのビジネスモデル 保険会社から手数料を得るビジネスモデルのため、安定的な収益が期待できます。顧客が保険契約を更新する限り、継続的に手数料収入が得られます。長期的な顧客関係を構築することで、安定的なキャッシュフローを確保しています。

リスク非引受(保険リスクを引き受けない) 保険会社と異なり、保険リスクを引き受けないため、災害時も業績が安定しています。大規模な自然災害(ハリケーン、地震等)が発生しても、保険金を支払う必要がないため、業績への影響は限定的です。金融セクターの中でもディフェンシブ(景気後退耐性が高い)な銘柄として評価されています。

グローバル展開(120カ国) グローバル120カ国に拠点を持ち、多国籍企業向けに包括的な保険プログラムを提供しています。地理的な分散により、特定地域の景気後退や規制変更のリスクを軽減しています。

3. 競合との差別化

(1) 主要競合企業(Marsh McLennan・Arthur J. Gallagher)

エーオンの主要競合企業は以下の3社です。

Marsh McLennan(MMC) Marsh McLennanは世界最大の保険ブローカーで、保険仲介(Marsh)、再保険仲介(Guy Carpenter)、コンサルティング(Mercer、Oliver Wyman)の4事業を展開しています。エーオンとほぼ同規模で、グローバル展開と総合サービスで競合しています。

Arthur J. Gallagher(AJG) Arthur J. Gallagherは米国を中心とする保険ブローカーで、中小企業向け保険仲介に強みがあります。M&Aにより事業拡大を継続しており、エーオンのNFP買収と同様に、中堅市場セグメントでの成長を狙っています。

Willis Towers Watson(WTW) Willis Towers Watsonは保険ブローカー・再保険仲介・人事コンサルティングを展開しています。エーオンは2020年にWillis Towers Watsonの買収を試みましたが、独占禁止法上の懸念から断念した経緯があります。

(2) 競合優位性(再保険仲介・データ分析・グローバル展開)

エーオンの競合優位性は、以下の3点です。

再保険仲介での世界トップクラスのシェア 再保険仲介は高度な専門知識が必要で、競合が少ないニッチ市場です。エーオンは再保険仲介で世界トップクラスのシェアを持ち、高い利益率を確保しています。Marsh McLennanも再保険仲介(Guy Carpenter)を手掛けていますが、エーオンはリスクキャピタルとヒューマンキャピタルの統合ソリューションにより、再保険仲介とリスクコンサルティングを一体的に提供できる点で差別化しています。

データ分析・AI活用 グローバル120カ国で蓄積した膨大な保険・リスクデータを分析し、顧客に最適な保険商品・リスク管理手法を提案しています。AI・機械学習を活用したデータ分析により、リスク予測の精度が向上し、顧客の損失を未然に防ぐことができます。Data & Analytic Services事業は、エーオンの差別化ポイントの1つです。

グローバル展開(120カ国) グローバル120カ国に拠点を持ち、多国籍企業向けに包括的な保険プログラムを提供しています。地理的な分散により、特定地域の景気後退や規制変更のリスクを軽減しています。Marsh McLennanも同様にグローバル展開していますが、エーオンはAon United戦略により、顧客中心型組織に転換し、営業効率向上と顧客セグメント戦略を強化しています。

(3) 市場でのポジショニング(世界最大級の保険ブローカー)

エーオンは、世界最大級の保険ブローカーとして市場でポジショニングしています。

Marsh McLennanとエーオンは、保険ブローカー業界の2大巨頭として知られており、グローバル展開と総合サービスで競合しています。エーオンは再保険仲介・データ分析に強みを持ち、Marsh McLennanはコンサルティング(Mercer、Oliver Wyman)に強みを持つという違いがあります。

NFP買収(134億ドル)により、エーオンは大企業向けだけでなく中堅企業向け市場にも本格参入し、顧客基盤を拡大しています。Arthur J. Gallagherが中小企業向けに強いのに対し、エーオンは大企業・中堅企業向けに注力しています。

4. 財務・配当の実績

(1) 売上高・利益の推移(2025年Q1決算)

以下は、エーオンの最新決算情報です(2025年Q1時点)。

指標 2025年Q1 前年比
総収益 +16%
有機的収益 +5%
調整後営業利益マージン 38.4%
調整後EPS 5.67ドル
受託運用収益 -15%(金利低下の影響)

(出典: Aon Reports First Quarter 2025 Results, SEC EDGAR)

2025年Q1のハイライト:

  • 総収益16%成長(有機的収益5%成長+NFP買収)
  • 調整後営業利益マージン38.4%と高い水準を維持
  • 調整後EPS 5.67ドル
  • 四半期配当を10%引き上げ、15年連続の配当成長を達成
  • 受託運用収益は金利低下により15%減少

2024年通年では、有機的売上高成長率6%、強固なマージン、二桁調整後EPS成長、28億ドルのフリーキャッシュフローを達成しました。2025年ガイダンスは中期的に中~高い一桁台以上の有機的売上高成長、調整後マージン拡大、強い調整後EPS成長、二桁フリーキャッシュフロー成長を再確認しています。

※2025年10月時点のデータです。最新情報はAon公式IRページ(https://ir.aon.com)をご確認ください。

(2) 配当履歴(15年連続増配・利回り1%台)

エーオンは、15年連続増配の実績があり、配当成長を重視する投資家に人気です。

  • 配当利回り: 約1%台(2025年時点)
  • 配当性向: —(具体的な数値は未公表だが、15年連続増配を継続)
  • 連続増配年数: 15年
  • 最近の配当引き上げ: 2025年Q1に四半期配当を10%引き上げ

配当成長の実績 2025年Q1に四半期配当を10%引き上げ、15年連続での配当成長を達成しています。配当利回りは約1%台と米国株の平均的な水準(約1.5-2%)よりやや低めですが、15年連続増配の実績があり、配当成長を重視する投資家に人気です。

ディフェンシブな配当株 金融セクターは景気敏感な銘柄が多い中、エーオンは保険リスクを引き受けないため災害時も業績が安定し、連続増配を継続できています。景気後退時にも比較的安定した業績を維持できるディフェンシブ(景気後退耐性が高い)な配当株として評価されています。

日本人投資家向けの注意点: 米国株の配当には、米国で10%の源泉徴収税が課され、さらに日本で20.315%の税金が課されます(二重課税)。確定申告により外国税額控除を申請することで、米国で源泉徴収された10%の一部または全部を日本の所得税・住民税から控除できます。ただし、NISA口座では外国税額控除が適用されず、米国源泉税10%が還付されない点に注意が必要です。

(3) 財務健全性(営業マージン38%・フリーキャッシュフロー)

エーオンの財務健全性は、以下の指標で評価できます。

  • 調整後営業利益マージン: 38.4%(2025年Q1)

    • 調整後営業利益マージンは、一時的要因を除外した本業の収益性を示す指標で、38.4%と極めて高い水準を維持
  • フリーキャッシュフロー: 28億ドル(2024年通年)

    • フリーキャッシュフローは、企業が自由に使える現金で、営業CFから設備投資を差し引いた額
    • 2024年に28億ドルのフリーキャッシュフローを創出し、2025年ガイダンスでは二桁フリーキャッシュフロー成長を目標
  • 有機的売上高成長率: 6%(2024年通年)

    • 有機的売上高成長率は、M&Aや為替影響を除いた既存事業からの売上高成長率で、6%と堅調

エーオンは手数料ベースのビジネスモデルのため、安定的なキャッシュフローを確保しており、財務健全性が極めて高い水準です。NFP買収(134億ドル)の統合リスクはありますが、長期的には中堅市場セグメントでの成長が期待できます。

(出典: Aon Q1 2025 Earnings Release, SEC EDGAR)

5. リスク要因

(1) 事業リスク(NFP買収統合・決算未達懸念)

NFP買収(134億ドル)の統合リスク NFP買収(134億ドル)発表後に株価が18.89ドル下落し、財務影響・統合リスク・シナジー実現への懸念が浮上しました。大型買収の統合は、文化・システム・人員の統合が困難で、シナジー実現に時間がかかるリスクがあります。エーオンは2025年に8,000万ドルの純収益シナジー目標達成を掲げていますが、統合が順調に進まない場合、業績への影響が懸念されます。

決算未達懸念 2024年Q1決算がEPS 5.66ドル(予想5.91ドル)・売上高40.7億ドル(予想41.3億ドル)で期待を下回り株価が7%下落し、通年でも推定を8%下回る実績で実行力への疑問が投資家の懸念材料となっています。決算未達が続くと、投資家の信頼を失い、株価が下落するリスクがあります。

(2) 市場環境リスク(金利低下・景気サイクル)

金利低下による受託運用収益減少 2025年Q1に受託運用収益は金利低下により15%減少しました。エーオンは、顧客から預かった保険料等の資金を運用し、運用収益を得ています。金利が低下すると、運用収益が減少し、業績への影響が懸念されます。今後も金利が低下する場合、受託運用収益がさらに減少するリスクがあります。

景気サイクルの影響 保険・再保険ブローカー業は景気サイクルや自然災害の影響を受けやすく、業績が変動する可能性があります。景気後退時には、企業の保険加入が減少し、手数料収入が減少するリスクがあります。ただし、エーオンは保険リスクを引き受けないため、保険会社と比較すると景気後退耐性が高い点が強みです。

為替リスク(日本人投資家向け) 日本人投資家がエーオン株に投資する場合、為替変動リスクに留意する必要があります。円高ドル安になると、ドル建ての株価が上昇しても円建てでは損失となる可能性があります。為替手数料についても、証券会社ごとに異なります(SBI証券は2024年12月に為替手数料を無料化)。

(3) 規制・競争リスク(高バリュエーション)

高バリュエーション(PER 31.5倍) PER 31.5倍が業界平均15.1倍を大きく上回る割高バリュエーションで、市場調整時には株価が大きく下落するリスクがあります。バリュエーション水準が高いため、決算未達や成長鈍化の兆候が見られた場合、投資家の失望売りにより株価が急落する可能性があります。

競争激化 Marsh McLennan、Arthur J. Gallagher、Willis Towers Watson等の競合との競争が激化しており、シェア低下や価格競争のリスクがあります。特に、中堅市場セグメントではArthur J. Gallagherが強く、エーオンのNFP買収により競争がさらに激化する可能性があります。

6. まとめ:投資判断のポイント

(1) この銘柄の強み(安定収益・連続増配・ディフェンシブ)

エーオンの強みは、以下の3点です。

  1. 安定収益(手数料ベース・リスク非引受) 保険会社と異なり、保険リスクを引き受けないため、災害時も業績が安定しています。手数料ベースのビジネスモデルのため、安定的なキャッシュフローを確保しており、財務健全性が極めて高い水準です。2024年に28億ドルのフリーキャッシュフローを創出し、2025年ガイダンスでは二桁フリーキャッシュフロー成長を目標としています。

  2. 15年連続増配 2025年Q1に四半期配当を10%引き上げ、15年連続での配当成長を達成しています。配当利回りは約1%台と米国株の平均的な水準よりやや低めですが、15年連続増配の実績があり、配当成長を重視する投資家に人気です。

  3. ディフェンシブ(景気後退耐性が高い) 金融セクターの中でもディフェンシブ(景気後退耐性が高い)な銘柄として評価されています。景気後退時にも比較的安定した業績を維持できるため、ポートフォリオの安定性を重視する投資家に適しています。

(2) リスク要因(再掲)

一方で、以下の3つのリスク要因に留意が必要です。

  1. NFP買収(134億ドル)の統合リスク NFP買収発表後に株価が18.89ドル下落し、財務影響・統合リスク・シナジー実現への懸念が浮上しました。大型買収の統合は、文化・システム・人員の統合が困難で、シナジー実現に時間がかかるリスクがあります。

  2. 金利低下による受託運用収益減少 2025年Q1に受託運用収益は金利低下により15%減少しました。今後も金利が低下する場合、受託運用収益がさらに減少し、業績への影響が懸念されます。

  3. 高バリュエーション(PER 31.5倍) PER 31.5倍が業界平均15.1倍を大きく上回る割高バリュエーションで、市場調整時には株価が大きく下落するリスクがあります。

(3) 向いている投資家(配当成長志向・景気後退耐性重視)

エーオンは、以下のような投資家に向いています。

  1. 配当成長志向の投資家 15年連続増配の実績があり、2025年Q1に四半期配当を10%引き上げました。配当利回りは約1%台と低めですが、配当成長を重視する投資家に適しています。長期保有により、配当額が着実に増加することが期待できます。

  2. 景気後退耐性を重視する投資家 保険リスクを引き受けないため、災害時も業績が安定しています。景気後退時にも比較的安定した業績を維持できるディフェンシブ(景気後退耐性が高い)な銘柄として、ポートフォリオの安定性を重視する投資家に適しています。

  3. グローバル金融サービス・BtoBビジネスに関心がある投資家 グローバル120カ国に拠点を持ち、多国籍企業向けに包括的な保険プログラムを提供しています。保険ブローカー・リスクコンサルティングというBtoBビジネスに関心がある投資家に向いています。

免責事項 本記事は情報提供を目的としたものであり、個別銘柄の投資推奨ではありません。財務データは四半期ごとに更新されるため、最新の10-Q・決算発表で確認してください。為替レート(ドル円)の変動により実質的な投資収益が変動するリスクがあります。NISA口座では外国税額控除が適用されず、米国源泉税10%が還付されない点に注意してください。大型買収(NFP 134億ドル)の統合リスクと金利環境変化による受託運用収益の変動リスクに留意してください。保険・再保険ブローカー業は景気サイクルや自然災害の影響を受けやすく、業績が変動する可能性があります。投資判断はご自身の責任で行ってください。

※2025年10月時点の情報です。最新情報はAon公式IRページ(https://ir.aon.com)、SEC EDGAR(https://www.sec.gov/cgi-bin/browse-edgar?action=getcompany&CIK=0000315293)をご確認ください。

よくある質問

Q1エーオンの配当利回りは?

A1約1%台です(2025年時点)。15年連続で配当を増やしており、2025年Q1に四半期配当を10%引き上げました。配当利回りは米国株の平均的な水準(約1.5-2%)よりやや低めですが、15年連続増配の実績があり、配当成長を重視する投資家に適しています。金融セクターは景気敏感な銘柄が多い中、エーオンは保険リスクを引き受けないため災害時も業績が安定し、連続増配を継続できています。ただし、米国株の配当には米国で10%の源泉徴収税が課され、さらに日本で20.315%の税金が課されます(二重課税)。確定申告により外国税額控除を申請することで、米国で源泉徴収された10%の一部または全部を日本の所得税・住民税から控除できます。

Q2エーオンの主な競合は?

A2主要競合は、Marsh McLennan(MMC、世界最大の保険ブローカー)、Arthur J. Gallagher(AJG、中小企業向け保険仲介に強み)、Willis Towers Watson(WTW、保険ブローカー・人事コンサルティング)です。エーオンは再保険仲介で世界トップクラスのシェアを持ち、グローバル120カ国で蓄積した膨大な保険・リスクデータを分析し、顧客に最適な保険商品・リスク管理手法を提案するData & Analytic Services事業で差別化しています。Marsh McLennanとほぼ同規模ですが、エーオンはリスクキャピタルとヒューマンキャピタルの統合ソリューションにより、再保険仲介とリスクコンサルティングを一体的に提供できる点で優位性があります。

Q3エーオンのリスク要因は?

A3主なリスクは、NFP買収(134億ドル)の統合リスク(買収発表後に株価が18.89ドル下落)、金利低下による受託運用収益減少(2025年Q1に15%減少)、高バリュエーション(PER 31.5倍が業界平均15.1倍を大きく上回る)です。2024年Q1決算がEPS・売上高ともに期待を下回り株価が7%下落し、通年でも推定を8%下回る実績で実行力への疑問が投資家の懸念材料となっています。また、保険・再保険ブローカー業は景気サイクルや自然災害の影響を受けやすく、業績が変動する可能性があります。詳細は本文の「リスク要因」セクションを参照してください。

Q4エーオンは長期投資に向いている?

A4保険リスクを引き受けないため災害時も業績が安定し、15年連続増配の実績から、配当成長志向の長期投資家に向いています。手数料ベースのビジネスモデルのため、安定的なキャッシュフローを確保しており、2024年に28億ドルのフリーキャッシュフローを創出しました。景気後退時にも比較的安定した業績を維持できるディフェンシブ(景気後退耐性が高い)な銘柄として、ポートフォリオの安定性を重視する投資家に適しています。グローバル120カ国に拠点を持ち、多国籍企業向けに包括的な保険プログラムを提供する保険ブローカー・リスクコンサルティングというBtoBビジネスに関心がある方にも向いています。投資判断はご自身の責任で行ってください。