S&P500

IBM (IBM)

International Business Machines

0. この記事でわかること

本記事では、IBM(IBM)について以下の情報を提供します:

  • なぜ注目されているのか: ハイブリッドクラウド・生成AI(watsonx)・量子コンピューティングへの戦略投資により、レガシーIT企業から先端技術企業への転換を図っています。配当利回り4-5%の高配当銘柄としても注目されています
  • 事業内容と成長戦略: ソフトウェア(40%)、コンサルティング(35%)、インフラ(25%)の3事業で構成。2019年のRed Hat買収(340億ドル)を軸にハイブリッドクラウド市場を牽引し、生成AI案件は累計75億ドル超に到達
  • 競合との差別化: Microsoft(Azure)、Amazon(AWS)、Google(GCP)との競争において、Red Hatによるハイブリッドクラウド戦略、110年超の歴史を持つエンタープライズ顧客基盤、量子コンピューティング投資が差別化要因
  • 財務・配当の実績: Q2 2025売上170億ドル(前年比7.7-8%増)、配当貴族銘柄(25年以上連続増配)、2025年フリーキャッシュフロー予想135億ドル
  • リスク要因: コンサルティング部門の停滞、レガシー事業の衰退、クラウド市場での競争激化、売上予想未達(Q3 2024)、高い負債水準

投資判断は必ずご自身の責任で行ってください。本記事は情報提供を目的としており、個別銘柄の推奨ではありません。

1. なぜIBM(IBM)が注目されているのか

(1) 成長戦略の3つのポイント

IBMは110年超の歴史を持つIT業界のレジェンドですが、近年は以下の3つの戦略で成長を目指しています:

① ハイブリッドクラウドとAIへの戦略的注力

2019年のRed Hat買収(340億ドル)を活用し、ハイブリッドクラウド市場でのシェア拡大を推進しています。Red Hat主導のハイブリッドクラウド事業はミッドティーン成長率(年率15%前後)を維持し、IBMソフトウェア事業の約45%を占めるまでに成長しました。watsonx生成AIプラットフォームでは、Anthropicとの戦略提携によりClaudeソフトウェアを統合し、AIエージェント・アシスタント・コンサルティングサービスを展開しています。

② 生成AIビジネスの急成長

累計70億ドル超のAI案件を獲得し、Q2 2025では前四半期比20億ドル増加しました。生成AI関連の受注残高(Book of Business)は75億ドル超に到達し、AIエージェント、アシスタント、コンサルティングサービスの需要が拡大しています。ゴールドマン・サックスは2025年のEPS予想を10.34ドル(前年比13.3%増)に設定し、「買い」レーティングで目標株価200ドルを提示しています。

③ 量子コンピューティングへの投資

AMDとの戦略的パートナーシップにより量子中心のスーパーコンピューティングプラットフォームを開発し、関連契約は10億ドルに接近しています。IBMは2026年の量子優位性達成をロードマップに掲げ、将来的には創薬、金融モデリング、サプライチェーン最適化などの領域での実用化を目指しています。

(2) 注目テーマ(ハイブリッドクラウド・生成AI・量子コンピューティング)

投資家が注目する3つのテーマは以下です:

  • ハイブリッドクラウド: オンプレミス(自社サーバー)とパブリッククラウドを統合したIT環境。規制の厳しい金融機関・政府機関・医療機関などエンタープライズ顧客のニーズに対応し、Red Hatを活用してこの市場を牽引しています
  • 生成AI・Watsonx: AnthropicとのClaudeソフトウェア統合により、企業向けAI導入を加速。2025年Q2で累計75億ドル超のAI案件を獲得し、前四半期比20億ドル増加しました
  • 量子コンピューティング: 2026年の量子優位性ロードマップに向けて、AMDとの協業で量子中心スーパーコンピューティングプラットフォームを開発。関連契約は10億ドルに接近しています

(3) 投資家の関心・懸念点

投資家の関心:

  • 配当貴族銘柄: 25年以上連続増配を達成し、配当利回り4-5%の高配当銘柄として安定性が評価されています
  • ソフトウェア事業ミックス改善: ソフトウェア事業が売上の45%に接近し約10%成長する見通しで、利益率の改善が期待されています
  • フリーキャッシュフロー: 2025年に135億ドルのフリーキャッシュフローを予想し、配当原資の安定性が見込まれます

投資家の懸念:

  • 売上減少トレンド: 過去6年間で売上・利益ともに減少傾向にあり、Q3 2024の売上150億ドルはアナリスト予想152億ドルに届きませんでした
  • コンサルティング部門の停滞: 顧客の意思決定遅延により裁量プロジェクトが減速し、Q2 2025でコンサルティング収益は横ばいでした
  • クラウド競争の激化: AWS・Microsoft Azure・Google Cloudとの競争が激しく、レガシー事業の縮小が成長を相殺しています

2. IBMの事業内容・成長戦略

(1) 主力事業(ソフトウェア40%・コンサルティング35%・インフラ25%)

IBMの事業は以下の3つのセグメントで構成されています(2025年10月時点):

① ソフトウェア(約40%)

  • Red Hatハイブリッドクラウド: OpenShift、Red Hat Enterprise Linux(RHEL)などのエンタープライズ向けオープンソースソリューション。ミッドティーン成長率(年率15%前後)を維持
  • watsonx生成AIプラットフォーム: AIエージェント、アシスタント、コンサルティングサービス。累計75億ドル超のAI案件を獲得
  • 自動化・セキュリティソフトウェア: IT運用自動化(AIOps)、サイバーセキュリティソリューション

② コンサルティング(約35%)

  • ビジネス変革コンサルティング: デジタルトランスフォーメーション(DX)支援、プロセス最適化
  • 技術コンサルティング: クラウド移行、AIシステム導入支援
  • アプリケーション運用: エンタープライズアプリケーション管理・保守

※ Q2 2025ではコンサルティング収益は横ばいで、顧客の意思決定遅延が影響しています。

③ インフラ(約25%)

  • メインフレーム: 金融機関・政府機関向けの基幹システム。過去10年でMIPS数(処理能力)が3倍に成長
  • ハイブリッドインフラ: サーバー、ストレージ、ネットワーク機器

※ 2021年にITインフラサービス事業をKyndrylとしてスピンオフし、高利益率のソフトウェア事業に集中する戦略を採用しました。

(2) セクター・業種の説明(IT・ITサービス)

IBMはInformation Technology(情報技術)セクターIT Services(ITサービス)業種に分類されます。

  • セクター特性: ソフトウェア、クラウド、AI、セキュリティなど、デジタル化・自動化の需要が長期的に拡大しているセクター。景気敏感度は中程度で、企業のIT投資は景気後退時に抑制される傾向があります
  • 業種特性: ITコンサルティング、システム統合、クラウドサービス、エンタープライズソフトウェアを提供。競合にはAccenture(コンサル)、Microsoft(Azure)、Amazon(AWS)、Google(GCP)などがいます

(3) ビジネスモデルの特徴(Red Hat買収・Kyndrylスピンオフ)

Red Hat買収(2019年、340億ドル)

IBMは2019年にオープンソースソフトウェア企業Red Hatを340億ドルで買収し、ハイブリッドクラウド戦略の中核に据えました。Red Hatの売上・利益貢献度は以下です:

  • Red Hatハイブリッドクラウド事業はミッドティーン成長率を維持
  • ソフトウェア事業が売上の45%に接近(2025年見通し)
  • 粗利益率は58.8%(Q2 2025、前年比200bps改善)

Kyndrylスピンオフ(2021年)

2021年にITインフラサービス事業をKyndrylとして分離独立させ、IBMは高利益率のソフトウェア・AIビジネスに集中する戦略を採用しました。この事業再編により、ソフトウェアミックスが改善し、ROE(自己資本利益率)は27.5%(3年後予測)に達すると見込まれています。

日本IBM・パートナーエコシステム

日本IBM・山口明夫社長は、パートナーエコシステムに10億ドル投資し、オープンソースAIモデル「Granite」の提供、メインフレームのMIPS数が過去10年で3倍成長など、日本市場での展開を加速しています。

3. 競合との差別化

(1) 主要競合企業(Microsoft・Amazon・Google・Accenture等)

IBMの主要競合企業は以下です:

クラウド分野:

  • Microsoft(Azure): パブリッククラウド市場シェア第2位。Office 365・Teams・Dynamics 365とのエコシステム統合が強み
  • Amazon(AWS): パブリッククラウド市場シェア第1位(約32%)。スタートアップから大企業まで幅広い顧客基盤
  • Google(Google Cloud): データ分析・機械学習に強み。BigQuery・TensorFlowなどの先進技術

コンサルティング分野:

  • Accenture: 世界最大級のITコンサルティング企業。DX支援、業務プロセス最適化に強み

エンタープライズソフトウェア:

  • Oracle: データベース・ERPソフトウェアで競合
  • SAP: 基幹業務システム(ERP)で競合

(2) 競合優位性(ハイブリッドクラウド・Red Hat・110年の歴史)

IBMの競合優位性は以下の3点です:

① Red Hatを活用したハイブリッドクラウド戦略

AWS・Azure・GCPは主にパブリッククラウド(インターネット経由のクラウドサービス)を提供しますが、IBMはハイブリッドクラウド(オンプレミス + パブリッククラウド)に特化しています。規制の厳しい金融機関・政府機関・医療機関などは、機密データをオンプレミスに保管しながらクラウドの柔軟性を活用したいニーズがあり、Red HatのOpenShiftがこの領域で強みを発揮します。

② 110年超の歴史とエンタープライズ顧客基盤

IBMは1911年創業の老舗IT企業で、Fortune 500企業の大半が顧客です。長年の信頼関係、メインフレーム・基幹系システムの保守・運用ノウハウ、コンプライアンス対応力が差別化要因です。Warren Buffettも2011-2018年にIBM株を保有していました(その後売却)。

③ 量子コンピューティング・生成AIへの先行投資

  • 量子コンピューティング: AMDとの協業で2026年の量子優位性達成を目指し、関連契約は10億ドルに接近
  • 生成AI: watsonx生成AIプラットフォームで累計75億ドル超のAI案件を獲得。Anthropicとの戦略提携でClaudeを統合し、エンタープライズ向けAI導入を加速

(3) 市場でのポジショニング(IT業界レジェンド・エンタープライズ特化)

IBMはIT業界のレジェンド企業として、以下のポジショニングを確立しています:

  • エンタープライズ特化: 大企業・金融機関・政府機関向けのミッションクリティカルシステムに強み。スタートアップ・中小企業向けはAWS・Azureに比べて弱い
  • ハイブリッドクラウドのリーダー: Red Hatを活用し、オンプレミス + パブリッククラウドの統合で競合優位性を発揮
  • 安定配当志向: 配当貴族銘柄として、高配当(4-5%)と安定配当を重視する投資家に支持されています

一方で、売上成長率はAWS・Azure・GCPに比べて低く(2025年予想5%)、成長株志向の投資家には不向きです。

4. 財務・配当の実績

(1) 売上高・利益の推移(Q2 2025は売上170億ドル)

以下はIBMの最近の業績推移です(2025年10月時点):

Q2 2025業績(2025年4-6月期):

  • 売上高: 170億ドル(前年比7.7-8%増)
  • 粗利益率: 58.8%(前年比200bps改善)
  • 生成AI案件: 累計75億ドル超(前四半期比20億ドル増)

2025年通期ガイダンス:

  • 売上成長率: 最低5%
  • フリーキャッシュフロー: 135億ドル
  • EPS予想: 10.34ドル(前年比13.3%増、ゴールドマン・サックス予測)

過去の傾向(2011-2024年):

  • 売上は2011年のピーク以降減少傾向にあり、Q3 2024の売上150億ドルはアナリスト予想152億ドルに届きませんでした
  • レガシー事業(メインフレーム、従来型ITサービス)の縮小が成長を相殺しています

アナリスト予測(今後3年間):

  • 年率12.4%の利益成長
  • 年率4.8%の売上成長
  • ROE(自己資本利益率)27.5%到達

※ 財務データは変動する可能性があります。最新情報はIBM公式IRページ(https://www.ibm.com/investor)または10-K・10-Qレポート(SEC EDGAR)でご確認ください。

(2) 配当履歴(配当貴族・配当利回り4-5%)

IBMは配当貴族銘柄(25年以上連続増配)として、高配当と安定性が魅力です:

  • 配当利回り: 約4-5%前後(株価により変動、2025年10月時点)
  • 配当性向: 適正範囲内(フリーキャッシュフロー135億ドルが配当原資)
  • 連続増配年数: 25年以上(配当貴族の条件を満たす)

米国株配当の税金(日本人投資家向け):

米国株の配当には二重課税(米国10% + 日本20.315%)が適用されますが、外国税額控除で米国分の一部を取り戻せます。また、NISA口座で保有すれば日本の税金(20.315%)が非課税になります(米国の10%源泉徴収は回避不可)。

詳細は国税庁「外国税額控除」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1240.htm)、金融庁「NISA制度の概要」(https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/index.html)をご参照ください。

(3) 財務健全性(フリーキャッシュフロー135億ドル予想・粗利益率58.8%)

IBMの財務健全性は以下の通りです:

フリーキャッシュフロー(FCF):

  • 2025年予想: 135億ドル
  • FCF = 営業キャッシュフロー - 設備投資
  • 配当原資として十分な水準を確保

粗利益率:

  • Q2 2025: 58.8%(前年比200bps改善)
  • ソフトウェアミックス改善により利益率が向上

負債水準:

  • Red Hat買収(340億ドル)により高い負債水準が課題
  • 投資家の一部はキャッシュフロー懸念を指摘(22名のアナリストのコンセンサスレーティングは「Moderate Buy」)

自己資本比率:

  • 詳細は最新10-Kレポート(SEC EDGAR)でご確認ください

※ 2025年10月時点のデータです。最新情報はIBM公式IRページをご確認ください。

(出典: IBM 10-K 2024, SEC EDGAR / IBM Q2 2025 Earnings)

5. リスク要因

(1) 事業リスク(コンサル部門停滞・レガシー事業衰退)

IBMの主な事業リスクは以下です:

コンサルティング部門の停滞:

Q2 2025でコンサルティング収益は横ばいでした。顧客の意思決定遅延により裁量プロジェクト(デジタルトランスフォーメーション支援など)が減速し、短期的な収益圧力となっています。景気後退時には企業のIT投資が抑制される傾向があり、コンサル部門はこの影響を受けやすい特性があります。

レガシー事業の衰退:

売上は2011年のピーク以降減少傾向にあり、過去6年間で売上・利益ともに減少しています。メインフレーム・従来型ITサービスなどのレガシー事業が縮小し、ハイブリッドクラウド・AI事業の成長を相殺しています。Kyndrylスピンオフ後も、レガシー事業の売上減少トレンドは継続しています。

売上予想未達:

Q3 2024の売上150億ドルはアナリスト予想152億ドルに届かず、インフラ収益が7%減少しました。投資家の一部は「売上成長の鈍化」を懸念しています。

(2) 市場環境リスク(AWS・Azure・GCPとの競争激化・成長性の低さ)

クラウド市場での競争激化:

AWS(Amazon)、Microsoft Azure、Google Cloudとの競争が激化しています。パブリッククラウド市場ではAWSがシェア約32%で首位、Azureが約23%で2位、IBMのシェアは限定的です。ハイブリッドクラウドに特化する戦略は差別化になりますが、市場規模ではパブリッククラウドが圧倒的に大きく、競争環境は厳しい状況です。

成長性の低さ:

IBMの2025年売上成長率予想は**最低5%**で、AWS・Azure・GCPの2桁成長に比べて低い水準です。アナリストは今後3年間で年率4.8%の売上成長を予測しており、成長株志向の投資家には不向きです。GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)等の競合による利益圧迫も懸念されています。

為替リスク:

米国株投資では為替リスクが常に存在します。円高局面(例: 1ドル=140円→130円)では、ドル建て株価が上昇しても円換算でのリターンが減少します。逆に円安局面(例: 1ドル=140円→150円)では為替差益が上乗せされます。為替手数料も考慮する必要があります(SBI証券は片道25銭、住信SBIネット銀行経由で4銭に削減可能)。

(3) 規制・競争リスク(高い負債水準・売上減少トレンド)

高い負債水準:

2019年のRed Hat買収(340億ドル)により高い負債水準を抱えています。投資家の一部はキャッシュフロー懸念を指摘しており、22名のアナリストのコンセンサスレーティングは「Moderate Buy」(やや買い)にとどまっています。金利上昇局面では借入コストが増加し、財務負担が重くなるリスクがあります。

売上減少トレンド:

過去6年間で売上・利益ともに減少傾向にあり、Q3 2024の売上はアナリスト予想に届きませんでした。レガシー事業の縮小が成長を相殺しているため、ソフトウェア・AI事業の加速が遅れると、配当原資のフリーキャッシュフロー(135億ドル予想)が減少するリスクがあります。

規制リスク:

金融機関・政府機関向けビジネスは規制の影響を受けやすく、コンプライアンス対応コストが増加する可能性があります。また、AI・量子コンピューティング分野では、将来的に規制強化(AI倫理規制、量子暗号規制など)が導入されるリスクもあります。

※ リスク要因は予測に基づくものであり、実際の結果は異なる可能性があります。投資判断は必ずご自身の責任で行ってください。

6. まとめ:投資判断のポイント

(1) この銘柄の強み(高配当・生成AI案件75億ドル超・量子C)

IBMの主な強みは以下の3点です:

① 高配当と安定性

配当貴族銘柄(25年以上連続増配)として、配当利回り4-5%の高配当と安定配当が魅力です。2025年フリーキャッシュフロー予想135億ドルが配当原資として確保されており、配当の持続性が期待できます。高配当を重視する投資家、安定したインカムゲインを求める投資家に向いています。

② 生成AI案件75億ドル超の実績

watsonx生成AIプラットフォームで累計75億ドル超のAI案件を獲得し、Q2 2025では前四半期比20億ドル増加しました。Anthropicとの戦略提携でClaudeを統合し、AIエージェント・アシスタント・コンサルティングサービスを展開しています。生成AI市場の拡大により、今後も成長が見込まれます。

③ 量子コンピューティングへの先行投資

AMDとの協業で2026年の量子優位性達成を目指し、関連契約は10億ドルに接近しています。将来的には創薬、金融モデリング、サプライチェーン最適化などの領域での実用化が期待され、長期的な競争優位性につながる可能性があります。

(2) リスク要因(再掲:コンサル横ばい・競合激化・売上未達)

一方で、以下のリスク要因に注意が必要です:

① コンサルティング部門の停滞

Q2 2025でコンサルティング収益は横ばいでした。顧客の意思決定遅延により裁量プロジェクトが減速しており、短期的な収益圧力となっています。

② クラウド市場での競争激化と売上未達

AWS・Microsoft Azure・Google Cloudとの競争が激化し、Q3 2024の売上150億ドルはアナリスト予想152億ドルに届きませんでした。売上成長率予想は最低5%で、成長性の低さが懸念されます。

(3) 向いている投資家(高配当重視・老舗IT志向・安定配当重視)

IBMは以下のような投資家に向いています:

向いている投資家:

  • 高配当を重視する投資家: 配当利回り4-5%、配当貴族銘柄の安定性を求める方
  • 老舗IT企業の安定性を好む投資家: 110年超の歴史、エンタープライズ顧客基盤、メインフレーム・基幹系システムの保守ノウハウを評価する方
  • 安定配当重視の投資家: フリーキャッシュフロー135億ドル予想により、配当の持続性が期待できる方

向いていない投資家:

  • 成長株志向の投資家: 売上成長率予想5%は、AWS・Azure・GCPの2桁成長に比べて低い水準です
  • 短期的なキャピタルゲインを狙う投資家: 株価の急騰は期待しにくく、配当を含めた長期保有が前提です

免責事項:

本記事は情報提供を目的としており、個別銘柄の推奨ではありません。投資判断は必ずご自身の責任で行ってください。財務データ・税率・制度は変更される可能性があり、最新情報はIBM公式IRページ、国税庁、金融庁等の公式サイトでご確認ください。為替リスク・市場リスク・信用リスク等により、元本割れする可能性があります。

Q: IBMの配当利回りは?

A: 約4-5%前後です(株価により変動、2025年10月時点)。IBMは配当貴族銘柄(25年以上連続増配)として、高配当と安定性が魅力です。2025年フリーキャッシュフロー予想135億ドルが配当原資として確保されており、配当の持続性が期待できます。ただし、米国株配当には米国10%・日本20.315%の二重課税が適用されます(外国税額控除・NISA口座で軽減可能)。詳細は本文「4. 財務・配当の実績」を参照してください。

Q: IBMの主な競合は?

A: クラウド分野でMicrosoft(Azure)、Amazon(AWS)、Google(GCP)、コンサル分野でAccentureが主要競合です。IBMの差別化ポイントは、Red Hatを活用したハイブリッドクラウド戦略、110年超の歴史を持つエンタープライズ顧客基盤、量子コンピューティング・生成AIへの先行投資です。ハイブリッドクラウド(オンプレミス + パブリッククラウド統合)は、規制の厳しい金融機関・政府機関・医療機関などで強みを発揮します。詳細は本文「3. 競合との差別化」を参照してください。

Q: IBMのリスク要因は?

A: 主なリスクは以下の通りです:① コンサルティング部門の停滞(Q2 2025横ばい)、② レガシー事業の衰退(過去6年間で売上・利益減少)、③ クラウド市場での競争激化(AWS・Azure・GCPとのシェア争い)、④ 売上予想未達(Q3 2024は150億ドル vs 予想152億ドル)、⑤ 高い負債水準(Red Hat買収340億ドル)。売上成長率予想は最低5%で、成長株志向の投資家には不向きです。詳細は本文「5. リスク要因」を参照してください。

Q: IBMは長期投資に向いている?

A: 高配当を重視する投資家、老舗IT企業の安定性を好む投資家、配当貴族銘柄を探している投資家に向いています。配当利回り4-5%、配当貴族銘柄(25年以上連続増配)、フリーキャッシュフロー135億ドル予想により、安定したインカムゲインが期待できます。一方、売上成長率予想5%は低く、成長株志向の投資家には不向きです。投資判断はご自身で行ってください。詳細は本文「6. まとめ:投資判断のポイント」を参照してください。

Q: IBMの生成AI戦略は?

A: watsonx生成AIプラットフォームを提供し、累計75億ドル超のAI案件を獲得しています(Q2 2025で前四半期比20億ドル増)。Anthropicとの戦略提携でClaudeソフトウェアを統合し、AIエージェント、アシスタント、コンサルティングサービスを展開しています。ゴールドマン・サックスは2025年のEPS予想を10.34ドル(前年比13.3%増)に設定し、「買い」レーティングで目標株価200ドルを提示しています。ただし、生成AI市場の競争激化により予想成長率が達成できないリスクもあります。詳細は本文「2. IBMの事業内容・成長戦略」を参照してください。

よくある質問

Q1IBMの配当利回りは?

A1約4-5%前後です(株価により変動、2025年10月時点)。IBMは配当貴族銘柄(25年以上連続増配)として、高配当と安定性が魅力です。2025年フリーキャッシュフロー予想135億ドルが配当原資として確保されており、配当の持続性が期待できます。ただし、米国株配当には米国10%・日本20.315%の二重課税が適用されます(外国税額控除・NISA口座で軽減可能)。

Q2IBMの主な競合は?

A2クラウド分野でMicrosoft(Azure)、Amazon(AWS)、Google(GCP)、コンサル分野でAccentureが主要競合です。IBMの差別化ポイントは、Red Hatを活用したハイブリッドクラウド戦略、110年超の歴史を持つエンタープライズ顧客基盤、量子コンピューティング・生成AIへの先行投資です。ハイブリッドクラウド(オンプレミス + パブリッククラウド統合)は、規制の厳しい金融機関・政府機関・医療機関などで強みを発揮します。

Q3IBMのリスク要因は?

A3主なリスクは以下の通りです:① コンサルティング部門の停滞(Q2 2025横ばい)、② レガシー事業の衰退(過去6年間で売上・利益減少)、③ クラウド市場での競争激化(AWS・Azure・GCPとのシェア争い)、④ 売上予想未達(Q3 2024は150億ドル vs 予想152億ドル)、⑤ 高い負債水準(Red Hat買収340億ドル)。売上成長率予想は最低5%で、成長株志向の投資家には不向きです。

Q4IBMは長期投資に向いている?

A4高配当を重視する投資家、老舗IT企業の安定性を好む投資家、配当貴族銘柄を探している投資家に向いています。配当利回り4-5%、配当貴族銘柄(25年以上連続増配)、フリーキャッシュフロー135億ドル予想により、安定したインカムゲインが期待できます。一方、売上成長率予想5%は低く、成長株志向の投資家には不向きです。投資判断はご自身で行ってください。

Q5IBMの生成AI戦略は?

A5watsonx生成AIプラットフォームを提供し、累計75億ドル超のAI案件を獲得しています(Q2 2025で前四半期比20億ドル増)。Anthropicとの戦略提携でClaudeソフトウェアを統合し、AIエージェント、アシスタント、コンサルティングサービスを展開しています。ゴールドマン・サックスは2025年のEPS予想を10.34ドル(前年比13.3%増)に設定し、「買い」レーティングで目標株価200ドルを提示しています。ただし、生成AI市場の競争激化により予想成長率が達成できないリスクもあります。