0. この記事でわかること
本記事では、ネットアップ(NTAP)について以下の情報を提供します:
- なぜ注目されているのか: エンタープライズストレージ大手として、AI・データインフラ需要の恩恵を享受。AI事業が前年比5倍成長し、オールフラッシュARR41億ドル、パブリッククラウド収益43%増と好調
- 事業内容と成長戦略: オンプレミスからクラウドへのポートフォリオ転換を加速。インテリジェントデータインフラ戦略で、ハイブリッドクラウド・データファブリックソリューションを提供。NVIDIA、Microsoft Azure、AWSとの戦略的パートナーシップで競争力を強化
- 競合との差別化: Dell、Pure Storage、HPE等と競合。ハイブリッドクラウド統合とマルチクラウド対応で差別化し、Microsoft Azure NetApp Filesで独自のポジション確立
- 財務・配当の実績: FY2025売上高65.7億ドル(前年比5%増)、配当利回り2-3%程度。株主還元に年間約3.55億ドルを充当し、配当と自社株買いを両立
- リスク要因: マクロ経済の不確実性、IT支出の慎重化、レガシービジネス縮小、クラウド移行による競争激化
1. なぜネットアップ(NTAP)が注目されているのか
(1) 成長戦略の3つのポイント
ネットアップ(NetApp Inc、ティッカーシンボル:NTAP)は、1992年創業のエンタープライズストレージ大手です。投資家から注目される理由は、以下の3つの成長戦略にあります:
1. オールフラッシュストレージ・クラウドサービスの拡大
- オールフラッシュARR: 前年比14%増の41億ドル。高速なフラッシュメモリのみで構成されたストレージシステムが企業の需要を捉える
- パブリッククラウドサービス: 前年比43%増の4.16億ドル。Microsoft Azure NetApp Files、AWS、Google Cloudとの協業でクラウドデータ管理市場を開拓
- ポートフォリオ転換: ハードウェア販売から、ソフトウェア・サブスクリプションへのビジネスモデル転換を加速
2. AIインフラストラクチャのリーダーシップ
- AI事業が前年比5倍成長: Q4 FY2025で約150件のAIインフラ・データレイク契約を締結
- リファレンスアーキテクチャ提供: NVIDIA DGX SuperPOD、Cisco FlexPod、Lenovo AIPod、Intel AIPod Miniとの協業で、エンタープライズAI基盤の標準化を推進
- データインフラ需要の取り込み: AI・データ分析ワークロードの爆発的増加に対応し、高性能ストレージソリューションを提供
3. Keystoneによる継続収益モデル拡大
- プロフェッショナルサービス収益: 前年比13%増。顧客のクラウド移行支援やコンサルティングで安定収益を確保
- 未請求契約残高: 前四半期比23%増の約4.3億ドル。将来収益が積み上がり、成長の確度が高まる
- 新規販売契約: 英国・アイルランドでTD SYNNEXとの契約を締結し、欧州市場を強化
(2) 注目テーマ(AI・ハイブリッドクラウド・データファブリック)
ネットアップが投資家から注目される理由は、AI、ハイブリッドクラウド、データファブリックという3つのトレンドキーワードに関連しています。
AI・エンタープライズAI基盤:
- 生成AI・機械学習モデルのトレーニングには、大量のデータと高速なストレージが必要。ネットアップはNVIDIA、Cisco等とのリファレンスアーキテクチャで、エンタープライズAI市場の標準を提供
- AI事業が前年比5倍成長し、Q4 FY2025で約150件のAIインフラ契約を締結。データレイク構築やAIワークロードの最適化で競争優位性を確保
ハイブリッドクラウド・マルチクラウド管理:
- 企業は、オンプレミスとパブリッククラウドを組み合わせたハイブリッドクラウド環境を採用。ネットアップは、単一のデータファブリック(統合データ管理基盤)で、複数クラウド環境を一貫管理
- Microsoft Azure NetApp Files、AWS、Google Cloudとの戦略的パートナーシップにより、マルチクラウド対応を強化
データファブリック・インテリジェントデータインフラ:
- データファブリックは、オンプレミスから複数クラウド環境まで一貫した機能を提供するアーキテクチャ。ネットアップは、データをインテリジェントかつセキュアにエンタープライズスケールで活用する基盤を提供
- 4つの市場ドライバー(フラッシュ、AI、ブロックストレージ、クラウド)でリーダーシップを維持し、ハイパースケーラーとのパートナーシップを深化
(3) 投資家の関心・懸念点
投資家の関心:
- AI需要の恩恵: AI・データ分析ワークロードの増加により、高性能ストレージ需要が拡大
- 配当利回り2-3%: 四半期ごとに配当を実施し、年間約3.55億ドルを株主還元に充当。配当と自社株買いを両立
- FY2026ガイダンス: 売上高66.3-68.8億ドル(前年比3-4%成長)を見込み、オールフラッシュ・クラウド・AI採用拡大を成長ドライバーとする
投資家の懸念:
- 売上高未達: FY2025通期で複数四半期にわたり売上高予想を下回る。欧州経済の不確実性、案件の先送り、米国公共部門の慎重姿勢が要因
- マクロ経済の逆風: IT支出の減速、インフレ懸念、経済成長の鈍化により、顧客の投資意欲が低下
- 競争激化: AIクラウドストレージ市場で、Dell、Pure Storage、HPE等との競争が激化
※2025年10月時点の情報です。最新情報はNetApp公式IRページをご確認ください。
2. ネットアップの事業内容・成長戦略
(1) 主力事業
ネットアップの主力事業は、以下の3つに分類されます:
1. オールフラッシュストレージアレイ
- 高速なフラッシュメモリのみで構成されたストレージシステム。従来のハードディスクドライブ(HDD)より高速・省電力
- オールフラッシュARRは前年比14%増の41億ドル。企業のデータ処理速度要求の高まりに対応
2. クラウドデータサービス
- Microsoft Azure NetApp Files、AWS、Google Cloudとの協業で、クラウド上でのデータ管理サービスを提供
- パブリッククラウド収益は前年比43%増の4.16億ドル。クラウド移行需要を取り込む
3. プロフェッショナルサービス(Keystone)
- 顧客のクラウド移行支援、コンサルティング、保守サービスを提供
- プロフェッショナルサービス収益は前年比13%増。継続収益モデルで安定キャッシュフローを確保
(2) セクター・業種の説明
ネットアップは、Technology Hardware, Storage & Peripherals(テクノロジーハードウェア、ストレージ&周辺機器)業種に分類されます。
業種の特徴:
- データセンター向けストレージシステム、ネットワーク機器、サーバー等を製造・販売
- クラウド移行により、ハードウェア販売からソフトウェア・サブスクリプションへのビジネスモデル転換が進行中
- AI・データ分析需要の増加により、高性能ストレージへの需要が拡大
ネットアップのポジション:
- エンタープライズストレージ市場で長年トップシェアを維持
- ハイブリッドクラウド・データファブリック戦略で、オンプレミスとクラウドの統合管理を実現
- Microsoft、NVIDIA、AWS等の大手テック企業との戦略的パートナーシップで競争力を強化
(3) ビジネスモデルの特徴
ネットアップのビジネスモデルは、従来のハードウェア販売から、ソフトウェア・サブスクリプションへ転換しています。
ハードウェア販売モデル(レガシー):
- ストレージシステムを一括販売。売上は一時的だが、継続収益は限定的
- クラウド移行により、オンプレミスハードウェアの需要が縮小
ソフトウェア・サブスクリプションモデル(新規):
- クラウドデータサービス、Keystoneサブスクリプションで継続収益を確保
- ARR(Annual Recurring Revenue、年間経常収益)が成長指標として重視される
- 顧客ロイヤルティが高く、長期契約により安定キャッシュフローを創出
FY2026の成長見通し:
- 売上高66.25-68.75億ドル(Spot事業除外で3-4%成長)
- 営業利益率28.8-29.8%(効率化により収益性向上)
- オールフラッシュ・クラウド・AI採用拡大を成長ドライバーとする
※2025年10月時点の情報です。最新情報はNetApp公式IRページをご確認ください。 (出典: NetApp Inc. 公式ウェブサイト、Investor Relations、Cloud Watch)
3. 競合との差別化
(1) 主要競合企業
ネットアップの主要競合企業は以下の通りです:
- Dell Technologies(DELL): エンタープライズストレージ市場の最大手。ハードウェアとソフトウェアの統合ソリューションを提供
- Pure Storage(PSTG): オールフラッシュストレージ専業。高性能・シンプルな管理が強み
- HPE(Hewlett Packard Enterprise、HPE): ハイブリッドクラウド・エッジコンピューティング領域で競合
- IBM Storage: レガシーエンタープライズ向けストレージ。クラウド移行で苦戦
(2) 競合優位性
ネットアップの差別化ポイントは以下の3点です:
1. ハイブリッドクラウド統合
- Microsoft Azure NetApp Filesで、Azureクラウド上でのネイティブストレージサービスを提供。競合はサードパーティ統合が中心
- AWS、Google Cloudとも戦略的パートナーシップを締結し、マルチクラウド対応を強化
2. データファブリック戦略
- オンプレミスから複数クラウド環境まで一貫したデータ管理機能を提供。単一のコントロールプレーンで、複数の環境を統合管理
- 競合(Dell、HPE等)は、個別ソリューションが多く、統合性で劣る
3. AIインフラのリファレンスアーキテクチャ
- NVIDIA DGX SuperPOD、Cisco FlexPod、Lenovo AIPod、Intel AIPod Miniとの協業で、エンタープライズAI基盤の標準を提供
- 競合と比較して、AIワークロード最適化の実績が豊富
(3) 市場でのポジショニング
エンタープライズストレージ市場でのシェア:
- ネットアップは、長年トップシェアを維持。ただし、Pure Storageの急成長により、シェアは微減傾向
- オールフラッシュ市場では、Pure Storageと競合。ハイブリッドクラウド市場では、Dell・HPEと競合
成長市場での戦略:
- AI・データインフラ市場: NVIDIA、Cisco等との協業でリファレンスアーキテクチャを提供し、エンタープライズAI市場の標準化を推進
- クラウドデータ管理市場: Microsoft Azure NetApp Files、AWS、Google Cloudとの協業で、マルチクラウド対応を強化
※2025年10月時点の情報です。最新情報はNetApp公式IRページをご確認ください。 (出典: NetApp Inc. 公式ウェブサイト、TipRanks)
4. 財務・配当の実績
(1) 売上高・利益の推移
FY2025通期業績:
- 売上高: 65.7億ドル(前年比5%増)
- オールフラッシュARR: 41億ドル(前年比14%増)
- パブリッククラウド収益: 4.16億ドル(前年比43%増)
- 営業利益率: 28%前後(効率化により改善傾向)
Q4 FY2025業績:
- 売上高: 17.3億ドル(前年比4%増)
- GAAP EPS: 1.65ドル
- non-GAAP EPS: 1.93ドル
FY2026ガイダンス:
- 売上高: 66.25-68.75億ドル(Spot事業除外で3-4%成長)
- 営業利益率: 28.8-29.8%
過去数年の業績推移(概算値):
年度 | 売上高(億ドル) | 成長率 | 営業利益率 |
---|---|---|---|
FY2023 | 約60 | - | 約25% |
FY2024 | 約63 | 約5% | 約27% |
FY2025 | 65.7 | 5% | 約28% |
FY2026(予想) | 66.3-68.8 | 3-4% | 28.8-29.8% |
※上記は過去の公開情報と最新ガイダンスに基づく概算値です。正確な数値はNetApp公式IRページの10-K、10-Qをご確認ください。 (出典: NetApp Inc. FY2025 Earnings Release、SEC EDGAR)
(2) 配当履歴
ネットアップは、四半期ごとに配当を実施しており、配当利回りは2-3%程度です(2025年10月時点)。
配当実績:
- 年間配当: 約3.55億ドルを株主還元に充当(Q4 FY2025時点)
- 配当利回り: 2-3%程度
- 配当と自社株買いのバランス: 配当と自社株買いを両立し、株主還元を強化
外国税額控除と税金(日本人投資家向け):
- 米国株配当は、米国で10%の源泉徴収がされた後、日本で20.315%が課税されます(二重課税)
- 外国税額控除を確定申告で申請すると、米国で課税された10%分の一部を日本の所得税から差し引けます
- NISA口座で保有すれば、日本での課税(20.315%)は非課税となりますが、米国での10%源泉徴収は免除されません
(3) 財務健全性
キャッシュフロー:
- FY2025通期で強力なキャッシュフロー創出力を維持
- 継続収益モデル(ARR)により、安定キャッシュフローを確保
ROE(自己資本利益率):
- 今後3年間でROE116.9%と予測(TipRanks)。高い資本効率を示す
負債比率:
- 負債水準は業界平均程度で、財務健全性に大きな懸念はなし
※2025年10月時点のデータです。最新情報はNetApp公式IRページをご確認ください。 (出典: NetApp Inc. 10-K 2025、FY2025 Earnings Release、SEC EDGAR)
5. リスク要因
(1) 事業リスク
レガシービジネス(ハードウェア)の縮小:
- クラウド移行により、オンプレミスハードウェアの需要が縮小
- ハードウェア販売から、ソフトウェア・サブスクリプションへのビジネスモデル転換が進行中だが、移行期のリスクが存在
AI市場採用の不透明性:
- エンタープライズAI技術の採用率に関する不確実性。大型AI・データインフラ案件の交渉が長期化するリスク
- AI事業が前年比5倍成長しているが、本格的な収益貢献は今後数年にわたる
技術革新への対応:
- ストレージ技術は急速に進化しており、競合(Pure Storage等)の技術革新に遅れるリスク
(2) 市場環境リスク
マクロ経済の不確実性:
- 欧州経済の不確実性、米国公共部門の慎重姿勢により、IT支出が減速
- FY2025通期で複数四半期にわたり売上高予想を下回る。景気減速時には、企業のIT投資が先送りされるリスク
IT支出の慎重化:
- インフレ懸念、経済成長の鈍化により、顧客の投資意欲が低下
- 米国公共部門では、政府機関の効率化指示により、短期的に慎重な投資姿勢
サプライチェーン・関税リスク:
- 半導体供給問題、関税影響に関する投資家の懸念
- グローバルサプライチェーンの混乱が、製品供給に影響を及ぼすリスク
(3) 規制・競争リスク
競争激化:
- AIクラウドストレージ市場で、Dell、Pure Storage、HPE等との競争が激化
- Pure Storageの急成長により、オールフラッシュ市場でのシェアが微減傾向
為替リスク(日本人投資家特有):
- 円高時には米ドル建て資産の評価額が減少。配当の円換算額も変動
- 為替手数料(円⇔米ドル)が証券会社により異なる
情報収集の難しさ:
- 財務データは英語(10-K、10-Q)であり、最新情報の入手に時間がかかる
※2025年10月時点の情報です。投資判断はご自身の責任で行ってください。 (出典: AI Invest、Simply Wall St、TipRanks)
6. まとめ:投資判断のポイント
(1) この銘柄の強み
ネットアップ(NTAP)の主な強みは以下の3点です:
- AI・データインフラ需要の恩恵: AI事業が前年比5倍成長し、Q4 FY2025で約150件のAIインフラ契約を締結。NVIDIA、Cisco等との協業でエンタープライズAI基盤の標準を提供
- ハイブリッドクラウド統合: Microsoft Azure NetApp Files、AWS、Google Cloudとの戦略的パートナーシップで、マルチクラウド対応を強化。データファブリック戦略で競合と差別化
- 配当利回り2-3%と継続収益モデル: 四半期ごとに配当を実施し、年間約3.55億ドルを株主還元に充当。ARR(年間経常収益)により安定キャッシュフローを確保
(2) リスク要因(再掲)
ネットアップの主なリスク要因は以下の3点です:
- マクロ経済の不確実性: 欧州経済の不確実性、米国公共部門の慎重姿勢により、IT支出が減速。FY2025通期で複数四半期にわたり売上高予想を下回る
- レガシービジネス縮小: クラウド移行により、オンプレミスハードウェアの需要が縮小。ビジネスモデル転換期のリスクが存在
- 競争激化: AIクラウドストレージ市場で、Dell、Pure Storage、HPE等との競争が激化。Pure Storageの急成長により、オールフラッシュ市場でのシェアが微減傾向
(3) 向いている投資家
ネットアップは以下のような投資家に適しています:
- AI・データインフラ需要を評価できる投資家: AI・データ分析ワークロードの増加により、高性能ストレージ需要が拡大すると予想。エンタープライズAI市場の成長を評価できる投資家向け
- 配当とキャピタルゲインを両狙いする投資家: 配当利回り2-3%と、株価成長の両方を期待できる。NISA成長投資枠(年間240万円まで非課税)を活用すれば、配当の日本での課税が非課税となる
- ビジネスモデル転換期のリスクを許容できる投資家: レガシービジネス(ハードウェア)の縮小とクラウド移行期のリスクを理解し、長期的な成長ストーリーを評価できる投資家
免責事項: 本記事は情報提供を目的としており、個別銘柄の推奨や投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。最新の財務データや株価情報は、NetApp公式IRページやSEC EDGARをご確認ください。
※2025年10月時点の情報です。税率や制度は改正される可能性がありますので、最新情報は国税庁や証券会社の公式サイトでご確認ください。
Q: ネットアップの配当利回りは?
A: 2-3%程度です(2025年10月時点)。ネットアップは四半期ごとに配当を実施しており、年間で約3.55億ドルを株主還元に充てています(Q4 FY2025時点)。配当と自社株買いを両立し、株主還元を強化しています。米国株配当は、米国で10%の源泉徴収がされた後、日本で20.315%が課税されます(二重課税)。外国税額控除を確定申告で申請すると、米国で課税された10%分の一部を日本の所得税から差し引けます。NISA口座で保有すれば、日本での課税(20.315%)は非課税となりますが、米国での10%源泉徴収は免除されません。
Q: ネットアップの主な競合は?
A: ネットアップの主な競合は、Dell、Pure Storage、HPE等です。オールフラッシュストレージ市場ではPure Storageと競合し、ハイブリッドクラウド領域ではDell・HPEと競合しています。ネットアップの差別化ポイントは、(1) ハイブリッドクラウド統合でMicrosoft Azure NetApp Files、AWS、Google Cloudとの戦略的パートナーシップを締結、(2) データファブリック戦略でオンプレミスから複数クラウド環境まで一貫したデータ管理機能を提供、(3) AIインフラのリファレンスアーキテクチャでNVIDIA、Cisco等との協業でエンタープライズAI基盤の標準を提供、の3点です。
Q: ネットアップのリスク要因は?
A: ネットアップの主なリスク要因は、(1) マクロ経済の不確実性で欧州経済の不確実性・米国公共部門の慎重姿勢により、IT支出が減速、(2) レガシービジネス(ハードウェア)の縮小でクラウド移行により、オンプレミスハードウェアの需要が縮小、(3) 競争激化でAIクラウドストレージ市場でDell、Pure Storage、HPE等との競争が激化、の3点です。また、AI市場採用の不透明性(大型AI案件の交渉長期化)、サプライチェーン・関税リスク(半導体供給問題)、為替リスク(円高時の評価額減少)なども挙げられます。詳細は本文のリスク要因セクションを参照してください。
Q: ネットアップは長期投資に向いている?
A: ネットアップは、AI・データインフラ需要の恩恵を受けつつ、配当も期待できるため、中長期でのインカムゲイン・キャピタルゲイン両狙いの投資家に向いています。AI事業が前年比5倍成長し、オールフラッシュARR41億ドル(前年比14%増)、パブリッククラウド収益4.16億ドル(前年比43%増)と好調です。配当利回り2-3%と、株価成長の両方を期待できます。ただし、ビジネスモデル転換期(ハードウェアからソフトウェア・サブスクリプションへ)であることを理解した上で投資判断をしてください。マクロ経済の不確実性、IT支出の慎重化、競争激化などのリスクも考慮が必要です。
Q: ネットアップのAI戦略は成功している?
A: ネットアップのAI戦略は順調に拡大しています。AI事業が前年比5倍に成長し、Q4 FY2025で約150件のAIインフラ・データレイク契約を締結しました。NVIDIA DGX SuperPOD、Cisco FlexPod、Lenovo AIPod、Intel AIPod Miniなどのリファレンスアーキテクチャを提供し、エンタープライズAI市場での存在感を高めています。インテリジェントデータインフラ戦略で、データをAI・クラウド・エンタープライズワークロードで活用するための基盤を提供し、4つの市場ドライバー(フラッシュ、AI、ブロックストレージ、クラウド)でリーダーシップを維持しています。ただし、エンタープライズAI技術の採用率に関する不確実性、大型AI・データインフラ案件の交渉長期化がリスク要因として残ります。