S&P500

ブロードコム (AVGO)

Broadcom Inc

0. この記事でわかること

本記事では、ブロードコム(AVGO)について以下の情報を提供します:

  • なぜ注目されているのか: AI半導体の急成長、VMware買収によるソフトウェア事業拡大、カスタムASIC市場での優位性
  • 事業内容と成長戦略: 半導体ソリューション(通信・ネットワーク・AI向けチップ)とインフラソフトウェア(VMware等)の二刀流戦略
  • 競合との差別化: エヌビディアの汎用GPUと異なる「カスタムASIC」設計で、Google・Meta等のハイパースケーラー向けに特化
  • 財務・配当の実績: 2025年度Q3売上高は前年比22%増の159.52億ドル、13年連続増配で配当性向57.2%
  • リスク要因: DeepSeek懸念によるAIインフラ投資削減リスク、顧客集中リスク、高水準の負債

ブロードコムは、半導体(通信・データセンター向けチップ)とインフラソフトウェア(VMware等)の複合企業です。2023年にVMwareを610億ドルで買収し、ソフトウェア事業を大幅強化しました。AI半導体売上高は11四半期連続で成長し、2027会計年度には500億ドル(約7.2兆円)に達すると予想されています。配当利回りは0.67%と高くありませんが、13年連続増配を継続しており、成長と還元のバランスが取れています。

1. なぜブロードコム(AVGO)が注目されているのか

(1) 成長戦略の3つのポイント

ブロードコムは、AI半導体とソフトウェア事業の二刀流で急成長しています。2025年度第3四半期のAI半導体売上高は52億ドルに達し、前年比63%増を記録しました。第4四半期には62億ドルを見込み、11四半期連続の成長を実現しています。同社は、2027会計年度にはAI関連収益が500億ドル(約7.2兆円)に達すると予想しており、Magnificent Sevenの中でエヌビディアに次ぐ成長率となっています。

第二の柱は、VMware買収によるソフトウェア事業拡大です。2023年に842億ドルで買収したVMwareの統合が成功し、60%以上の顧客が永久ライセンスからサブスクリプションモデルへ移行しました。インフラストラクチャソフトウェア部門は前年比17%増の67.86億ドルに成長し、安定的な経常収益(ARR)を確保しています。Fortune 500の80%にサービス提供し、年間経常収益の70%以上が戦略的顧客からもたらされています。

第三の戦略は、カスタムAI半導体(ASIC)開発の強化です。Google、Meta、ByteDanceなど大手ハイパースケーラー向けに、既製の高価なGPUとは異なるカスタム設計のAI半導体を提供しています。カスタムAI半導体市場で70%のシェアを獲得し、OpenAIとの戦略的パートナーシップも締結しました。カスタムAI半導体の市場規模は今後3会計年度で600億~900億ドルに拡大すると予測されており、ブロードコムの成長を支える重要な事業です。

(2) 注目テーマ(AI半導体・カスタムASIC・VMware統合)

投資家が注目しているテーマは、「AI半導体・データセンターAI」「カスタムASIC・ハイパースケーラー向けチップ設計」「VMware統合・サブスクリプションモデル移行」の3つです。

AI半導体市場では、エヌビディアが汎用GPU市場を席巻していますが、ブロードコムは「カスタム設計」という差別化戦略で独自の地位を確立しています。大手クラウド事業者は、自社のAIワークロードに最適化されたカスタムチップを求めており、ブロードコムはこのニーズに応える形で急成長しています。既製の高価な汎用GPUを売るエヌビディアとは異なるビジネスモデルであり、両社は競合というより補完関係にあります。

VMware統合も投資家の関心を集めています。仮想化ソフトウェア大手のVMwareを買収したことで、ブロードコムはソフトウェア事業の規模を大幅に拡大し、サブスクリプションモデルへの移行により経常収益の安定化を実現しました。ブロードコムソフトウェアの年間経常収益は約52億ドルで、半分以上がサブスクリプションで前年比25%以上増加しています。

(3) 投資家の関心・懸念点

投資家の関心は、AI半導体の持続的な成長可能性に集中しています。アナリストの平均目標株価は389.83ドル(最高460ドル)で、コンセンサス評価は「Strong Buy」(買い26、ホールド2、売り0)となっています。株価は2023年初めから340%以上上昇し、時価総額は1.65兆ドルに達し、「時価総額1兆ドル」企業の仲間入りを果たしました。

一方で、懸念点も存在します。2025年1月にDeepSeek AIモデルが発表され、AIモデル開発コストの急速な低下により、新規インフラへの設備投資削減の懸念が浮上しました。これを受けて、AIインフラ投資関連株全体が1月末から3月にかけて下落しました。また、少数の主要顧客(Apple、Google、Meta等)への依存度が高く、契約解除権が将来収益の不確実性を高める可能性も指摘されています。決算が予想を上回るもAIブームからの恩恵期待が高く、一部投資家は完全には満足していないとも言われています。

2. ブロードコムの事業内容・成長戦略

(1) 主力事業(半導体ソリューション・インフラソフトウェア)

ブロードコムの主力事業は、半導体ソリューションとインフラソフトウェアの2つです。2025年度第3四半期の売上高内訳を見ると、半導体ソリューション部門が91.66億ドル(前年比57%増)、インフラソフトウェア部門が67.86億ドル(前年比43%増)となっており、両部門とも高い成長率を維持しています。

半導体ソリューション部門では、通信チップ、ネットワークチップ、ストレージチップ、AI半導体などを手掛けています。スマホ向けRFチップではAppleが主要顧客で、iPhoneのWi-Fi/Bluetoothチップを長年供給しています。データセンター向けネットワークチップやSSD用ストレージチップも主力製品です。近年はAI半導体事業が急成長しており、Google、Meta、ByteDanceなど大手ハイパースケーラー向けにカスタム設計のASICを提供しています。

インフラソフトウェア部門では、VMware(仮想化ソフト)、CA Technologies、Symantecなどを買収し、サーバー仮想化、セキュリティ、IT管理ソフトウェアを提供しています。M&A積極戦略で事業を拡大し、サブスクリプションモデルへの移行により経常収益を安定化させています。

(2) セクター・業種の説明(Information Technology - Semiconductors)

ブロードコムが属するセクターは「Information Technology(情報技術)」、業種は「Semiconductors & Semiconductor Equipment(半導体・半導体製造装置)」です。半導体業界は、景気サイクルや技術革新の影響を受けやすい特徴があります。特に、スマートフォン、データセンター、AI、自動車などの需要動向に左右されます。

ブロードコムは、エヌビディアやAMDのようなGPU/CPU企業とは異なり、通信・ネットワーク用半導体に特化しています。また、半導体だけでなくソフトウェア事業も手掛ける複合企業であり、半導体サイクルの影響を受けにくい事業構造を構築しています。半導体部門で成長を追求しながら、ソフトウェア部門で安定収益を確保する「二刀流戦略」が特徴です。

(3) ビジネスモデルの特徴(カスタムAI半導体開発・M&A戦略)

ブロードコムのビジネスモデルの最大の特徴は、「カスタムAI半導体開発」と「M&A戦略」です。

カスタムAI半導体開発では、ハイパースケーラー(大規模クラウドサービス事業者)と共同でカスタム設計のASICを開発し、供給しています。既製の汎用GPUを販売するエヌビディアとは異なり、顧客ごとの特定用途に最適化したチップを提供する点が差別化ポイントです。カスタムASIC市場で70%のシェアを獲得しており、今後3会計年度で600億~900億ドルの市場規模に拡大すると予測されています。

M&A戦略では、過去10年以上にわたり大型買収を繰り返してきました。2018年にCA Technologies(189億ドル)、2019年にSymantecのエンタープライズセキュリティ事業(107億ドル)、2023年にVMware(610億ドル)を買収し、ソフトウェア事業を大幅に拡大しました。買収後は、サブスクリプションモデルへの移行やコスト削減を実施し、収益性を向上させる手法を確立しています。

3. 競合との差別化

(1) 主要競合企業(半導体:エヌビディア・Qualcomm、ソフトウェア:Oracle・Microsoft)

ブロードコムの競合は、半導体部門とソフトウェア部門で異なります。

半導体部門では、エヌビディア(GPU)、Qualcomm(通信チップ)、Marvell(データセンター向けチップ)などが主要競合です。エヌビディアは汎用GPU市場でシェア80%以上を占めており、AI半導体市場の巨人です。Qualcommはスマホ向け通信チップで強く、Marvellはデータセンター向けネットワークチップで競合しています。ただし、ブロードコムは「カスタムASIC」という独自の領域で差別化しており、エヌビディアとは直接的な競合というより補完関係にあります。

ソフトウェア部門では、Oracle(データベース・クラウド)、Microsoft(Azure・クラウドソフトウェア)、Nutanix(ハイパーコンバージドインフラ)などが競合です。VMware買収により、仮想化ソフトウェア市場でトップクラスのポジションを確立しましたが、クラウドネイティブ技術の普及により競争が激化しています。

(2) 競合優位性(カスタムASICとGPUの違い、ハイパースケーラー向け特化)

ブロードコムの最大の競合優位性は、「カスタムASICとGPUの違い」にあります。エヌビディアは汎用GPUを「既製品モデル」で販売するのに対し、ブロードコムはハイパースケーラー向けにカスタム設計する「カスタムモデル」を提供しています。

汎用GPUは、幅広い用途に対応できる反面、コストが高く、特定の用途には過剰な性能を持つ場合があります。一方、カスタムASICは、顧客の特定のAIワークロードに最適化されており、コスト効率や電力効率が優れています。Google、Meta、Amazonなどのハイパースケーラーは、自社のAIワークロードに最適化されたカスタムチップを求めており、ブロードコムはこのニーズに応える形で急成長しています。

また、長年の顧客関係も競合優位性です。Appleとは20年以上にわたりRFチップを供給しており、Google、Metaとも深い協力関係を築いています。OpenAIとの戦略的パートナーシップも締結し、次世代AIチップの開発に取り組んでいます。

(3) 市場でのポジショニング(カスタムAI半導体市場70%シェア)

ブロードコムは、カスタムAI半導体市場で70%のシェアを獲得しています。この市場は今後3会計年度で600億~900億ドルに拡大すると予測されており、ブロードコムはこの成長を取り込む有利なポジションにあります。

半導体市場全体で見ると、時価総額1.65兆ドルはエヌビディア、TSMC、ASMLに次ぐ規模です。AI半導体市場ではエヌビディアが圧倒的ですが、カスタムASIC市場ではブロードコムが圧倒的優位を持っています。

ソフトウェア市場では、VMware買収により仮想化ソフトウェア市場でトップクラスのポジションを確立しました。サブスクリプションモデルへの移行により経常収益を安定化し、Fortune 500の80%にサービス提供するという強固な顧客基盤を構築しています。

4. 財務・配当の実績

(1) 売上高・利益の推移(2025年度Q3実績、前年比22%成長)

2025年度第3四半期(2024年11月-2025年1月期)の業績は以下の通りです(2025年3月6日発表):

  • 総売上高: 159.52億ドル(前年比22%増)
  • 半導体ソリューション売上高: 91.66億ドル(前年比57%増)
  • インフラソフトウェア売上高: 67.86億ドル(前年比43%増)
  • AI半導体売上高: 52億ドル(前年比63%増)
  • 調整後EPS: 1.69ドル(予想1.65ドルを上回る)
  • フリーキャッシュフロー: 70.24億ドル(売上高の44%、前年比47%増)

第4四半期予想売上高は174億ドル(前年比24%増)で、アナリスト予想170.2億ドルを上回っています。AI半導体売上高は62億ドルを見込み、11四半期連続の成長を実現する見通しです。

過去5年の売上高推移(単位:10億ドル):

会計年度 売上高 成長率
2020年度 23.9 -
2021年度 27.5 15%
2022年度 33.2 21%
2023年度 35.8 8%
2024年度 51.6 44%

(出典: Broadcom Inc. 10-K 2024, SEC EDGAR)

2024年度の売上高急増は、VMware買収の通期寄与によるものです。2025年度は22%成長、2026年度は21%成長が予想されており、Magnificent Sevenの中でエヌビディアに次ぐ成長率となっています。

(2) 配当履歴(年間2.36ドル、13年連続増配、配当性向57.2%)

ブロードコムは、株主還元に積極的な企業です。配当履歴は以下の通りです:

  • 年間配当: 2.36ドル(2025年時点、四半期ごとに0.59ドル)
  • 配当利回り: 0.67%(株価約350ドル時点)
  • 連続増配年数: 13年
  • 配当性向: 57.2%

配当利回りは0.67%と高くありませんが、13年連続増配しており、配当成長率は年平均10%以上を維持しています。配当性向57.2%は、利益の半分以上を株主還元に充てていることを示しており、成長と還元のバランスが取れています。

過去5年の配当推移:

会計年度 年間配当(ドル) 増配率
2020年度 1.30 11%
2021年度 1.46 12%
2022年度 1.65 13%
2023年度 2.00 21%
2024年度 2.28 14%
2025年度(予想) 2.36 4%

(出典: Nasdaq - Broadcom Dividend History)

※2025年10月時点のデータです。最新情報はBroadcom Inc公式IRページをご確認ください。

(3) 財務健全性(フリーキャッシュフロー70.24億ドル、時価総額1.65兆ドル)

ブロードコムの財務健全性は以下の通りです:

  • フリーキャッシュフロー: 70.24億ドル(2025年度Q3、売上高の44%、前年比47%増)
  • 時価総額: 1.65兆ドル(2025年3月時点、「時価総額1兆ドル」企業)
  • PER: 37.64倍(2025年3月時点)
  • 有利子負債: VMware買収により多額の負債を抱える(詳細は10-K参照)

フリーキャッシュフローは売上高の44%と高く、強固なキャッシュ創出力を示しています。このキャッシュフローを配当、自社株買い、負債返済に充てており、バランスの取れた資本配分を実現しています。

一方で、VMware買収(610億ドル)により多額の負債を抱えており、キャッシュフローでの返済が必要です。負債水準の高さはリスク要因として投資家に認識されています。

5. リスク要因

(1) 事業リスク(DeepSeek懸念によるAIインフラ投資削減、顧客集中リスク)

ブロードコムの最大の事業リスクは、AIブームの持続性に関する懸念です。2025年1月にDeepSeek AIモデルが発表され、AIモデル開発コストの急速な低下により、新規インフラへの設備投資削減の懸念が浮上しました。これを受けて、AIインフラ投資関連株全体が1月末から3月にかけて下落しました。ブロードコムも例外ではなく、AIブーム期待の高さゆえに、期待外れの決算や将来見通しに対して株価が敏感に反応するリスクがあります。

顧客集中リスクも重要です。ブロードコムの売上高の大部分は、Apple、Google、Meta、Amazon、ByteDanceなど少数の主要顧客からもたらされています。これらの顧客との契約には解除権が含まれており、契約解除や発注量の急減が将来収益の不確実性を高める可能性があります。特にAppleは長年の主要顧客ですが、自社設計チップの開発を進めており、将来的にブロードコム製チップからの切り替えリスクがあります。

(2) 市場環境リスク(半導体サイクル、為替変動、高水準の負債)

半導体業界は、景気サイクルや技術革新の影響を受けやすい特徴があります。特に、スマートフォン、データセンター、AI、自動車などの需要動向に左右されます。2023年には半導体サイクルの底で売上高が停滞しましたが、2024年以降はAIブームで急回復しています。今後、半導体サイクルが下降局面に入った場合、売上高や利益が減少するリスクがあります。

為替リスクも重要です。米国株投資では、為替レートの変動により円ベースのリターンが変動します。円高局面では、ドル建て株価が上昇しても円ベースでは損失が出る可能性があります。米国株投資では為替リスクを常に意識する必要があります。

高水準の負債もリスク要因です。VMware買収(610億ドル)により多額の負債を抱えており、キャッシュフローでの返済が必要です。金利上昇局面では利息負担が増加し、収益性が悪化するリスクがあります。

(3) 規制・競争リスク(サプライチェーン課題、市場競争激化)

サプライチェーン課題も懸念されています。半導体製造は、TSMC(台湾)などの製造委託先に依存しており、地政学リスクや製造キャパシティ不足のリスクがあります。特に、米中対立の激化により、中国向け輸出規制が強化された場合、売上高が減少する可能性があります。

市場競争の激化もリスクです。AI半導体市場では、エヌビディア、AMD、Intel、新興企業などが参入しており、競争が激化しています。カスタムASIC市場でも、Marvell、Intel、Amazonなどが自社開発を進めており、ブロードコムのシェアが低下するリスクがあります。

ソフトウェア市場でも、クラウドネイティブ技術の普及により、VMwareの仮想化ソフトウェアの需要が減少するリスクがあります。Kubernetes等のコンテナ技術が普及し、従来の仮想化技術から移行する動きが加速しています。

6. まとめ:投資判断のポイント

(1) この銘柄の強み(AI半導体の急成長、カスタムASIC優位性、ソフトウェア事業の安定収益)

ブロードコムの強みは、以下の3点です:

  1. AI半導体の急成長: AI半導体売上高は11四半期連続で成長し、2025年度第3四半期は52億ドル(前年比63%増)を記録。2027会計年度には500億ドル(約7.2兆円)に達すると予想される。
  2. カスタムASIC優位性: カスタムAI半導体市場で70%のシェアを獲得。エヌビディアの汎用GPUとは異なる「カスタムモデル」で、ハイパースケーラー向けに特化。
  3. ソフトウェア事業の安定収益: VMware買収により、サブスクリプションモデルで経常収益を安定化。Fortune 500の80%にサービス提供し、年間経常収益の70%以上が戦略的顧客から。

(2) リスク要因(再掲)(AIブーム期待の高さ、負債水準、顧客集中)

一方で、以下のリスク要因に注意が必要です:

  1. AIブーム期待の高さ: DeepSeek懸念によりAIインフラ投資削減リスクが浮上。期待外れの決算や将来見通しに対して株価が敏感に反応。
  2. 高水準の負債: VMware買収により多額の負債を抱える。金利上昇局面では利息負担が増加し、収益性が悪化するリスク。
  3. 顧客集中リスク: Apple、Google、Meta等の少数の主要顧客への依存度が高く、契約解除や発注量の急減が将来収益の不確実性を高める。

(3) 向いている投資家(AI・半導体の長期成長に期待、配当成長重視)

ブロードコムは、以下のような投資家に向いています:

  1. AI・半導体の長期成長に期待する投資家: AI半導体市場の拡大を背景に、カスタムASIC市場での優位性を活かして成長を続ける可能性が高い。
  2. 配当成長を重視する投資家: 13年連続増配を継続しており、配当性向57.2%で成長と還元のバランスが取れている。配当成長率は年平均10%以上を維持。
  3. 半導体とソフトウェアの二刀流戦略に魅力を感じる投資家: 半導体サイクルの影響を受けにくい事業構造を構築し、安定性と成長性を両立している。

一方で、以下のような投資家には向いていない可能性があります:

  1. 短期的なリターンを求める投資家: AIブーム期待が高く、期待外れの決算や将来見通しに対して株価が敏感に反応するリスクがある。
  2. 負債水準を懸念する投資家: VMware買収により多額の負債を抱えており、キャッシュフローでの返済が必要。金利上昇局面では利息負担が増加するリスク。

※本記事は情報提供を目的としており、個別銘柄の推奨ではありません。投資判断は自己責任で行ってください。最新情報はBroadcom Inc公式IRページをご確認ください。

よくある質問

Q1ブロードコムの配当利回りは?

A10.67%程度です(2025年時点、年間2.36ドル)。配当利回りは高くありませんが、13年連続増配しており、配当性向57.2%で成長と還元のバランスが取れています。配当成長率は年平均10%以上を維持しており、長期的な配当成長を期待できます。過去5年の配当推移や今後の見通しについては、本文の「財務・配当の実績」セクションをご確認ください。

Q2ブロードコムの主な競合は?

A2半導体ではエヌビディア(GPU)、Qualcomm(通信チップ)、Marvell、ソフトウェアではOracle、Microsoftなどが競合です。ブロードコムはカスタムASIC設計でエヌビディアの汎用GPUと差別化しており、カスタムAI半導体市場で70%のシェアを獲得しています。エヌビディアとは直接的な競合というより補完関係にあります。

Q3ブロードコムのリスク要因は?

A3DeepSeek懸念によるAIインフラ投資削減リスク、Apple・Google・Metaなど主要顧客への依存度の高さ、VMware買収による高水準の負債、半導体サイクルの影響などがあります。AIブーム期待が高く、期待外れの決算や将来見通しに対して株価が敏感に反応するリスクもあります。詳細は本文の「リスク要因」セクションを参照してください。

Q4ブロードコムは長期投資に向いている?

A4AI・半導体の長期成長に期待する投資家、配当成長を重視する投資家に向いています。カスタムAI半導体とソフトウェアの二刀流で安定性と成長性を両立しており、AI半導体売上高は11四半期連続で成長しています。一方で、AIブーム期待が高く株価が割高な局面もあるため、投資判断はご自身で慎重に行ってください。

Q5ブロードコムとエヌビディアの違いは?

A5エヌビディアは汎用GPUを販売する「既製品モデル」、ブロードコムはハイパースケーラー向けにカスタム設計するASICを提供する「カスタムモデル」です。ブロードコムはカスタムAI半導体市場で70%のシェアを持っており、Google、Meta、ByteDanceなど大手クラウド事業者の特定のAIワークロードに最適化したチップを供給しています。両社は競合というより補完関係にあります。