S&P500

ムーディーズ (MCO)

Moodys Corporation

0. この記事でわかること

本記事では、ムーディーズ(MCO)について以下の情報を提供します:

  • なぜ注目されているのか: 格付け会社2強の一角として、プライベートクレジット市場(Q2に75%成長)や生成AI投資、トランジションファイナンス(脱炭素金融)に注力する高収益ビジネスモデル
  • 事業内容と成長戦略: 格付けサービス(ムーディーズ・インベスターズ・サービス)とデータ分析(ムーディーズ・アナリティクス)の2事業部門で、年間2.5億~3億ドルのコスト削減と成長投資を両立
  • 競合との差別化: S&P Global(SPGI)と並ぶ格付け市場の寡占構造(約8割)、4.5億超の企業データベースとクラウドSaaSソリューションで差別化
  • 財務・配当の実績: 2024年売上70.9億ドル(20%増)、調整後EPS成長32%、2025年は営業利益率約50%(200bp拡大)を見込み、13億ドル以上の自社株買いと配当継続を計画
  • リスク要因: 世界的な債券発行減少(2025年ガイダンス中1桁成長に下方修正)、高金利環境によるスプレッド拡大、米国債格下げ(Aaa→Aa1)による信用リスク、利益相反懸念(発行体有料型モデル)

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1. なぜムーディーズ(MCO)が注目されているのか

(1) 成長戦略の3つのポイント

ムーディーズは格付け会社として世界的に知られていますが、単なる格付け事業にとどまらず、以下の3つの成長戦略を推進しています。

① プライベートクレジット市場への注力

2024年Q2にプライベートクレジット市場で約75%の成長を記録しました。プライベートクレジットとは、銀行融資や公募債券以外の私募形式の貸付市場を指します。ムーディーズは格付けサービス、リスク評価ツール、分析ソリューションを提供することで、この成長市場を捉える好位置にあります。

② 生成AI投資とトランジションファイナンスへの注力

生成AI技術への投資を強化し、デジタル変革のニーズに対応しています。また、トランジションファイナンス(脱炭素金融)分野では、気候影響分析の専門性を活かしたサービスを展開しています。これらは企業や投資家のリスク認識の高まりに応えるものです。

③ 年間2.5億~3億ドルのコスト削減プログラム

ムーディーズは運営費を低~中1桁台成長に抑制しつつ、成長投資を推進するコスト削減プログラムを実施しています。高収益モデルを維持しながら、新規事業への投資余力を生み出す戦略です。

(2) 注目テーマ(プライベートクレジット・生成AI・脱炭素金融)

投資家が注目するキーワードとして、以下の3つが挙げられます。

  • プライベートクレジット・発展途上資本市場: 銀行融資や公募債券以外の私募形式の貸付市場が拡大しており、ムーディーズは格付け・リスク評価ツールで市場拡大を捉えています。
  • 生成AI・デジタル変革・リスク認識の高まり: 企業のデジタル変革とリスク管理ニーズが高まる中、ムーディーズは生成AI技術を活用したソリューションを提供しています。
  • トランジションファイナンス(脱炭素金融)・気候影響分析: 気候変動対策が投資判断の重要要素となる中、ムーディーズは気候影響分析サービスを強化しています。

(3) 投資家の関心・懸念点

投資家の関心は高収益ビジネスモデルにあります。2024年通年で調整後EPS成長率32%を達成し、2025年は営業利益率約50%(200bp拡大)を見込んでいます。一方で、懸念点も存在します。

世界的な債券発行減少が最大の懸念です。格付け事業の収益は債券発行量に直接依存するため、高金利環境下で企業のレバレッジ低下やスプレッド拡大により債券発行が減少すると、格付け収益が圧迫されます。実際、2025年の売上成長見込みを高1桁から中1桁に下方修正し、調整後EPS見込みを13.25~14ドルに引き下げました(従来14~14.25ドル)。

また、2025年5月にムーディーズ自身が米国長期発行体格付けを最高位「Aaa」から「Aa1」に引き下げたことも話題になりました。投資家は関税問題から米国債務問題に懸念をシフトし、30年米国債利回りが5%に到達したことで、株先物とドルが共に下落する局面もありました。

アナリスト評価では、平均目標株価546ドル(9.1%上昇余地)とポジティブな評価が多く見られます。TipRanksやInvesting.comなどでは、Q4決算の利益率好調とエンドツーエンドプラットフォームへの再構築シフトが評価されています。

2. ムーディーズの事業内容・成長戦略

(1) 主力事業(格付け・分析・データサービス)

ムーディーズは2007年に2つの事業部門に分割されました。

① ムーディーズ・インベスターズ・サービス(MIS)

格付け機関として、国債、地方債、社債、ファンド、金融機関、仕組み金融の格付けサービスを提供しています。格付けとは、債券発行体の債務返済能力を評価するランク付けで、投資家にとって重要な判断材料となります。ムーディーズはS&P Globalと並ぶ格付け市場の2強として、約8割の市場シェアを占めています。

② ムーディーズ・アナリティクス(MA)

2007年設立の事業部門で、経済調査、信用分析、リスク管理、ソフトウェア、コンサルティングサービスを提供しています。MA部門の中でも、Decision Solutions(銀行・保険・KYC向けクラウドSaaS事業)はARR成長率12%を達成し、年間経常収益14億ドルに到達しました(2024年Q4)。

③ 4つの価値創造領域

ムーディーズは4つの価値創造領域を掲げています。

  • 格付け
  • 調査・洞察
  • データ・情報(4.5億超の企業データベース)
  • 決定ソリューション(銀行・保険・KYC向けクラウドSaaS事業3つ)

これらの領域で総合的なリスク分析ソリューションを提供し、「不確実性の中で意味を明らかにし、個人・組織が繁栄できるようにする」というミッションを掲げています。

(2) セクター・業種の説明(金融・資本市場)

ムーディーズは金融セクター(Financials)の資本市場業種(Capital Markets)に属しています。資本市場業種には、証券会社、投資銀行、資産運用会社、格付け会社などが含まれます。

格付け会社の特徴は、債券発行市場の動向に収益が左右されることです。金利が低い時期には企業や政府が積極的に債券を発行するため、格付け需要が高まります。一方、金利が上昇すると債券発行が減少し、格付け収益も減少します。

ムーディーズは1970年代以降「発行体(イシュア)有料型」収益モデルを採用しています。これは、格付けを受ける企業・政府が手数料を支払う仕組みです。この仕組みには利益相反リスク(格付けを依頼する側が手数料を支払うため、格付けが甘くなる懸念)が存在しますが、ムーディーズは第三者機関としての信頼性を維持するために、厳格な格付け基準を設けています。

(3) ビジネスモデルの特徴(発行体有料型・高収益モデル)

ムーディーズのビジネスモデルの最大の特徴は、高収益性です。2025年には調整後営業利益率約50%(200bp拡大)を見込んでおり、これは金融サービス業界でも極めて高い水準です。

高収益率の背景には、以下の要因があります。

  • 寡占市場: 格付け市場はムーディーズとS&P Globalで約8割を占める寡占構造であり、価格競争が起きにくい。
  • 高い参入障壁: 格付け機関として信頼を得るには長年の実績とブランドが必要であり、新規参入が極めて困難。
  • 低い限界費用: 一度格付けシステムを構築すれば、追加の格付けサービスに必要なコストは比較的低い。
  • 発行体有料型: 投資家ではなく発行体が手数料を支払うため、収益の安定性が高い。

また、長期売上成長アルゴリズムとして6~9%を掲げています。内訳は以下の通りです。

  • 経済拡大: 2~3%
  • 価値提案: 3~4%
  • 発展途上資本市場: 1~2%

このアルゴリズムに基づき、ムーディーズは2025年に高1桁売上成長を見込んでいます。ただし、2025年は債券発行減少により中1桁成長に下方修正されました。

3. 競合との差別化

(1) 主要競合企業(S&P Global・Fitch Ratings)

ムーディーズの主要競合企業は以下の3社です。

① S&P Global(SPGI)

ムーディーズと並ぶ格付け市場の2強の一角です。S&P Global Ratingsは格付け事業を展開し、ムーディーズと合わせて市場の約8割を占めています。S&P GlobalはS&P500指数の算出や金融データサービス(S&P Capital IQ)でも知られており、ムーディーズよりも幅広い金融データサービスを展開しています。

② Fitch Ratings

格付け会社大手3社の一角ですが、市場シェアはムーディーズとS&Pに比べて小さいです。ただし、特定の地域や債券種類(仕組み金融など)では一定の存在感があります。

③ 日本の格付け会社(格付投資情報センター・日本格付研究所)

日本国内では格付投資情報センター(R&I)と日本格付研究所(JCR)が主要な格付け機関です。ただし、国際的な債券市場ではムーディーズやS&Pの格付けが重視されるため、グローバル市場での競合関係は限定的です。

(2) 競合優位性(プライベートクレジット・データ基盤)

ムーディーズの競合優位性は、以下の3点に集約されます。

① プライベートクレジット市場での優位性

2024年Q2にプライベートクレジット市場で約75%の成長を記録しました。プライベートクレジット市場は、銀行融資や公募債券以外の私募形式の貸付市場で、近年急速に拡大しています。ムーディーズは格付けサービス、リスク評価ツール、分析ソリューションを提供することで、この市場での優位性を確立しています。

② 4.5億超の企業データベース

ムーディーズは4.5億超の企業データベースを保有しており、これは格付け事業とデータ分析事業の両方で活用されています。データ基盤の充実により、競合他社に対する情報優位性を持っています。

③ クラウドSaaSソリューション(Decision Solutions)

銀行・保険・KYC向けクラウドSaaS事業(Decision Solutions)では、ARR成長率12%を達成しました。これは、格付け事業に依存しない収益源を構築することで、景気サイクルの影響を緩和する狙いがあります。

(3) 市場でのポジショニング(格付け2強の一角)

ムーディーズとS&P Globalで格付け市場の約8割を占める寡占構造となっています。この寡占構造は、以下の理由で維持されています。

  • 長年の実績とブランド: 投資家や規制当局から信頼を得るには、長年の実績とブランドが不可欠。
  • 規制による参入障壁: 格付け機関として認定されるには、SEC(米国証券取引委員会)の承認が必要(NRSRO: Nationally Recognized Statistical Rating Organization)。
  • ネットワーク効果: 多くの投資家がムーディーズの格付けを参照するため、発行体もムーディーズの格付けを取得するインセンティブが高い。

ただし、寡占構造にはリスクもあります。2008年のリーマンショック時には、格付け会社がサブプライムローン関連証券に高い格付けを付与したことが批判され、ドッド=フランク法による規制強化が実施されました。利益相反リスク(発行体有料型モデル)は今後も規制当局の監視対象となる可能性があります。

4. 財務・配当の実績

(1) 売上高・利益の推移(2024年売上70.9億ドル・20%増)

ムーディーズの財務実績は以下の通りです(2024年通年)。

項目 2023年 2024年 成長率
売上高 59.2億ドル 70.9億ドル +20%
調整後EPS - - +32%
Q4売上 - 16.7億ドル +13%
Q4調整後EPS 2.18ドル 2.62ドル +20%

※出典: Moody's Corporation IR発表(2024年決算)、SEC EDGAR

2024年Q4の調整後EPSは2.62ドルとなり、市場予想の2.60ドルを上回りました。また、Q3 2024では売上23%増、調整後EPS 32%増を記録し、同社史上最高のQ3売上を達成しました。

事業部門別の実績

  • MIS(格付け事業): 2025年は中~高1桁成長、利益率62~63%を見込む。
  • MA(アナリティクス事業): 2025年は高1桁成長、ARR高1桁~低2桁成長を見込む。Q4経常収益は10%成長、Decision SolutionsはARR成長率12%を達成。

2025年の見通しは以下の通りです。

  • 売上成長: 高1桁(ただし中1桁に下方修正)
  • 調整後営業利益率: 約50%(200bp拡大)
  • 調整後EPS: 13.25~14ドル(従来14~14.25ドル)
  • フリーキャッシュフロー: 23~25億ドル

※2025年10月時点のデータです。最新情報はMoody's Corporation公式IRページをご確認ください。

(2) 配当履歴(配当継続・自社株買い13億ドル以上)

ムーディーズは株主還元を重視しており、配当継続と自社株買いを計画しています。

2025年の株主還元計画

  • 配当継続
  • 自社株買い: 13億ドル以上

配当利回りの詳細は公式IRページや証券会社の株価情報でご確認ください。ムーディーズは高収益モデルを活かし、フリーキャッシュフロー23~25億ドルを見込んでいるため、配当と自社株買いの原資は十分に確保されています。

配当の税金に関する注意

米国株の配当には、米国で10%の源泉徴収が行われ、さらに日本でも20.315%の課税が行われます(二重課税)。ただし、確定申告で外国税額控除を申請することで、二重課税の一部を軽減できます。詳細は国税庁「外国税額控除」ページをご確認ください。

NISA口座で保有する場合、日本での課税は非課税となりますが、米国での10%源泉徴収は免除されません。成長投資枠は年間240万円まで非課税で投資可能です。

(3) 財務健全性(FCF 23-25億ドル・営業利益率50%見込み)

ムーディーズの財務健全性は以下の指標で評価できます。

① フリーキャッシュフロー(FCF)

2025年にフリーキャッシュフロー23~25億ドルを見込んでいます。フリーキャッシュフローは、営業キャッシュフローから設備投資を差し引いた金額で、企業が自由に使える現金を示します。ムーディーズは高いフリーキャッシュフロー創出力を持ち、配当・自社株買い・成長投資に振り向けることができます。

② 営業利益率

2025年に調整後営業利益率約50%(200bp拡大)を見込んでいます。営業利益率50%は金融サービス業界でも極めて高い水準であり、高収益ビジネスモデルの強さを示しています。

③ 自己資本比率・有利子負債

詳細な財務指標は10-K年次報告書(SEC EDGAR)で確認できます。ムーディーズは高収益モデルであるため、財務的な健全性は高いと考えられますが、最新の財務データは公式IR資料でご確認ください。

(出典: Moody's Corporation 10-K 2024, SEC EDGAR)

5. リスク要因

(1) 事業リスク(債券発行減少・格付け収益依存)

ムーディーズの最大のリスクは、債券発行減少による格付け収益への影響です。格付け事業は債券発行量に直接依存するため、以下の要因で収益が圧迫されます。

  • 高金利環境: 金利が上昇すると企業や政府の資金調達コストが高まり、債券発行が減少する。
  • 企業のレバレッジ低下: 企業が債務削減を優先すると、新規債券発行が減少する。
  • スプレッド拡大: 信用リスクプレミアムが拡大すると、債券発行コストが上昇し、発行が減少する。

実際、2025年の売上成長見込みは高1桁から中1桁に下方修正され、調整後EPS見込みも13.25~14ドルに引き下げられました(従来14~14.25ドル)。世界的な債券発行減少が懸念されており、新規成長機会を制限する可能性があります。

(2) 市場環境リスク(高金利・スプレッド拡大・米国格下げ)

ムーディーズは景気サイクルの影響を受けやすい企業です。

① 高金利環境

2023年以降、米国FRBは政策金利を引き上げており、高金利環境が続いています。高金利は債券発行を抑制するため、格付け収益が減少します。

② スプレッド拡大

信用リスクプレミアム(スプレッド)が拡大すると、企業の資金調達コストが上昇し、債券発行が減少します。

③ 米国債格下げ(Aaa→Aa1)

2025年5月、ムーディーズは米国長期発行体格付けを最高位「Aaa」から「Aa1」に引き下げました。これは3大格付け会社(ムーディーズ、S&P、フィッチ)で最後の引き下げとなりました。投資家は関税問題から米国債務問題に懸念をシフトし、30年米国債利回りが5%に到達しました。

ただし、UBSは「投資家の驚きは既に薄れた」、JPモルガンは「予想済みで4月関税発表後より小さい市場変動」と指摘しており、市場への影響は限定的との見方もあります。

(3) 規制・競争リスク(ドッド=フランク法・利益相反懸念)

ムーディーズは規制リスクも抱えています。

① ドッド=フランク法

2010年に成立したドッド=フランク法は、2008年のリーマンショックを受けて格付け会社への規制を強化しました。格付け会社がサブプライムローン関連証券に高い格付けを付与したことが批判され、格付け基準の透明性向上や利益相反の排除が求められるようになりました。

② 利益相反懸念(発行体有料型モデル)

ムーディーズは「発行体有料型」モデルを採用しており、格付けを受ける企業・政府が手数料を支払います。このモデルには、格付けが甘くなる懸念(利益相反リスク)が存在します。ムーディーズは第三者機関としての信頼性を維持するために厳格な格付け基準を設けていますが、規制当局の監視は今後も続く可能性があります。

③ 競争リスク

格付け市場は寡占構造ですが、新興市場では地域の格付け機関が台頭する可能性があります。また、データ分析事業ではブルームバーグやRefinitivなどの金融データ企業と競合しています。

6. まとめ:投資判断のポイント

(1) この銘柄の強み(寡占市場・高収益率・ARR成長12%)

ムーディーズの強みは以下の3点です。

① 寡占市場での優位性

ムーディーズとS&P Globalで格付け市場の約8割を占める寡占構造であり、価格競争が起きにくく、高い参入障壁があります。

② 高収益率ビジネスモデル

2025年に調整後営業利益率約50%(200bp拡大)を見込んでおり、金融サービス業界でも極めて高い水準です。フリーキャッシュフロー23~25億ドルを創出し、配当・自社株買い・成長投資に振り向けることができます。

③ データ分析事業の成長(ARR成長率12%)

Decision Solutions(銀行・保険・KYC向けクラウドSaaS事業)はARR成長率12%を達成し、格付け事業に依存しない収益源を構築しています。プライベートクレジット市場(Q2に75%成長)や生成AI投資、トランジションファイナンス(脱炭素金融)への注力も成長ドライバーとなっています。

(2) リスク要因(再掲)

ムーディーズのリスク要因は以下の2点です。

① 債券発行減少による格付け収益への影響

世界的な債券発行減少により、2025年の売上成長見込みは高1桁から中1桁に下方修正されました。高金利環境、企業のレバレッジ低下、スプレッド拡大が債券発行を抑制しています。

② 規制リスク(ドッド=フランク法・利益相反懸念)

ドッド=フランク法による規制強化や、発行体有料型モデルの利益相反懸念は今後も規制当局の監視対象となる可能性があります。

(3) 向いている投資家(高収益ビジネス志向・景気サイクル理解)

ムーディーズは以下のような投資家に向いています。

① 高収益ビジネスモデルを重視する投資家

営業利益率50%、フリーキャッシュフロー23~25億ドルを創出する高収益モデルに注目する投資家に適しています。

② 景気サイクルを理解した長期投資家

ムーディーズは債券発行量に依存する景気敏感株です。景気拡大期には債券発行が増加し、格付け収益が伸びます。一方、景気後退期には債券発行が減少し、格付け収益が圧迫されます。景気サイクルを理解し、長期的な成長を期待できる投資家に向いています。

③ 金融サービスセクターに注目する投資家

金融サービスセクター(Financials)の資本市場業種(Capital Markets)に関心がある投資家に適しています。格付け会社の寡占構造、規制リスク、景気敏感性を理解した上で投資判断を行うことが重要です。

免責事項

本記事は情報提供を目的としており、個別銘柄の推奨や投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。財務データは最新決算(10-K、10-Q、IR発表)でご確認ください。税率・NISA制度は改正の可能性があるため、最新情報は国税庁・金融庁の公式サイトでご確認ください。為替レート変動により円換算の配当・株価が大きく変動するリスクがあります。

Q: ムーディーズの配当利回りは?

A: ムーディーズは2025年も配当継続を計画しており、13億ドル以上の自社株買いと配当を実施予定です。配当利回りの詳細は公式IRページや証券会社の株価情報でご確認ください。米国株の配当には米国で10%の源泉徴収が行われ、さらに日本でも20.315%の課税が行われます(二重課税)。確定申告で外国税額控除を申請することで、二重課税の一部を軽減できます。

Q: ムーディーズの主な競合は?

A: S&P Global(SPGI)、Fitch Ratingsが主要競合です。ムーディーズとS&P Globalで格付け市場の約8割を占める寡占構造となっています。S&P GlobalはS&P500指数算出や金融データサービス(S&P Capital IQ)でも知られており、ムーディーズよりも幅広い金融データサービスを展開しています。競合との差別化ポイントは、プライベートクレジット市場での優位性(Q2に75%成長)、4.5億超の企業データベース、クラウドSaaSソリューション(ARR成長率12%)です。

Q: ムーディーズのリスク要因は?

A: 主なリスク要因は、債券発行減少による格付け収益への影響、高金利環境、米国債格下げ(Aaa→Aa1)、利益相反リスク(発行体有料型モデル)、ドッド=フランク法による規制強化です。2025年のガイダンスは中1桁成長に下方修正されました。世界的な債券発行減少が最大の懸念で、格付け事業の収益に直接影響し新規成長機会を制限する可能性があります。詳細は本文の「5. リスク要因」セクションを参照してください。

Q: ムーディーズは長期投資に向いている?

A: 高収益ビジネスモデル(営業利益率50%見込み)、プライベートクレジット市場の成長(Q2に75%成長)、データ分析事業の拡大(ARR成長率12%)が強みです。ただし債券発行量に依存する景気敏感性があるため、景気サイクルを理解した投資家に向いています。景気拡大期には債券発行が増加し、格付け収益が伸びます。一方、景気後退期には債券発行が減少し、格付け収益が圧迫されます。長期的な成長を期待できる投資家、金融サービスセクターに注目する投資家に適しています。投資判断はご自身でご検討ください。

Q: ムーディーズとS&P Globalの違いは?

A: 両社とも格付け2強ですが、ムーディーズはプライベートクレジット市場(Q2に75%成長)と気候影響分析(トランジションファイナンス)に注力しています。一方、S&P GlobalはS&P500指数算出や金融データサービス(S&P Capital IQ)で幅広い金融データサービスを展開しています。事業構成と成長領域で差別化を図っており、ムーディーズはデータ分析事業(Decision Solutions)でARR成長率12%を達成し、格付け事業に依存しない収益源を構築しています。

よくある質問

Q1ムーディーズの配当利回りは?

A1ムーディーズは2025年も配当継続を計画しており、13億ドル以上の自社株買いと配当を実施予定です。配当利回りの詳細は公式IRページや証券会社の株価情報でご確認ください。米国株の配当には米国で10%の源泉徴収が行われ、さらに日本でも20.315%の課税が行われます(二重課税)。確定申告で外国税額控除を申請することで、二重課税の一部を軽減できます。

Q2ムーディーズの主な競合は?

A2S&P Global(SPGI)、Fitch Ratingsが主要競合です。ムーディーズとS&P Globalで格付け市場の約8割を占める寡占構造となっています。S&P GlobalはS&P500指数算出や金融データサービス(S&P Capital IQ)でも知られており、ムーディーズよりも幅広い金融データサービスを展開しています。競合との差別化ポイントは、プライベートクレジット市場での優位性(Q2に75%成長)、4.5億超の企業データベース、クラウドSaaSソリューション(ARR成長率12%)です。

Q3ムーディーズのリスク要因は?

A3主なリスク要因は、債券発行減少による格付け収益への影響、高金利環境、米国債格下げ(Aaa→Aa1)、利益相反リスク(発行体有料型モデル)、ドッド=フランク法による規制強化です。2025年のガイダンスは中1桁成長に下方修正されました。世界的な債券発行減少が最大の懸念で、格付け事業の収益に直接影響し新規成長機会を制限する可能性があります。詳細は本文の「5. リスク要因」セクションを参照してください。

Q4ムーディーズは長期投資に向いている?

A4高収益ビジネスモデル(営業利益率50%見込み)、プライベートクレジット市場の成長(Q2に75%成長)、データ分析事業の拡大(ARR成長率12%)が強みです。ただし債券発行量に依存する景気敏感性があるため、景気サイクルを理解した投資家に向いています。景気拡大期には債券発行が増加し、格付け収益が伸びます。一方、景気後退期には債券発行が減少し、格付け収益が圧迫されます。長期的な成長を期待できる投資家、金融サービスセクターに注目する投資家に適しています。投資判断はご自身でご検討ください。

Q5ムーディーズとS&P Globalの違いは?

A5両社とも格付け2強ですが、ムーディーズはプライベートクレジット市場(Q2に75%成長)と気候影響分析(トランジションファイナンス)に注力しています。一方、S&P GlobalはS&P500指数算出や金融データサービス(S&P Capital IQ)で幅広い金融データサービスを展開しています。事業構成と成長領域で差別化を図っており、ムーディーズはデータ分析事業(Decision Solutions)でARR成長率12%を達成し、格付け事業に依存しない収益源を構築しています。