S&P500

ナスダック (NDAQ)

Nasdaq Inc

0. この記事でわかること

本記事では、ナスダック(NDAQ)について以下の情報を提供します:

  • なぜ注目されているのか: 世界最大級の証券取引所運営企業として、金融インフラの独占性と安定収益を享受。One Nasdaq戦略により、2027年末までに1億ドル以上のクロスセル増収を目指し、AI技術統合、ARR(年間経常収益)成長、ROIC重視の資本配分を推進しています。
  • 事業内容と成長戦略: Market Platforms、Capital Access Platforms、Anti-Financial Crimeの3事業部門を展開。金融セクターの資本市場業種で、取引所運営、データ・インデックス事業、テクノロジーソリューションで収益を多角化しています。
  • 競合との差別化: NYSE(ICE)、CMEといった競合に対し、テクノロジー企業上場での優位性、データビジネスの強化、One Nasdaq戦略によるクロスセル強化で差別化。ナスダック指数(NASDAQ-100、NASDAQ Composite)のインデックスライセンス収入も重要な収益源です。
  • 財務・配当の実績: 2025年Q2純収益13億ドル(前年比12%増)、EPS 0.85ドル(予想0.81ドルを上回る)と好調。10年以上の連続増配実績があり、配当成長株として評価されています。
  • リスク要因: 経営陣・拠点への物理的攻撃リスク(10-Kで開示)、経済サイクル依存性、株式市場の変動影響、テクノロジーセクター集中、規制変更といった課題があります。

※投資判断はご自身の責任で行ってください。本記事は情報提供を目的としており、個別銘柄の売買推奨を行うものではありません。

1. なぜナスダック(NDAQ)が注目されているのか

(1) 成長戦略の3つのポイント

ナスダックは、世界最大級の証券取引所運営企業として、以下3つの成長戦略を推進しています。

①One Nasdaq戦略の推進

3つの事業部門(Market Platforms、Capital Access Platforms、Anti-Financial Crime)への再編により、2027年末までに1億ドル以上のクロスセル増収を目指しています。クロスセル(既存顧客に対して関連する別の製品・サービスを販売すること)により、顧客あたりの収益を最大化します(出典: Nasdaq Outlines Strategy to Deliver Next Phase of Resilient and Scalable Growth, Nasdaq IR)。

②テクノロジー投資の強化

クラウド・ブロックチェーン等の革新技術に注力し、市場のレジリエンス(回復力)と拡張性を向上させ、新たな資産クラスへのアクセスを拡大しています(出典: Nasdaq Outlines Strategy to Deliver Next Phase of Resilient and Scalable Growth, Nasdaq IR)。

③ROIC重視の資本配分

強固なフリーキャッシュフロー創出を活用し、規律ある投資判断と加速的な負債削減(レバレッジ比率4.0xの達成を9-12ヶ月前倒し)を実現しています(出典: Nasdaq Outlines Strategy to Deliver Next Phase of Resilient and Scalable Growth, Nasdaq IR)。ROIC(投下資本利益率)重視により、株主価値の最大化を図ります。

(2) 注目テーマ(AI技術統合・ARR成長・クロスセル強化)

投資家が注目するテーマとして、以下3つが挙げられます。

  • AI技術統合: Verafin Co-Pilotツールの利用拡大で、1,200以上のクライアントが活用。前四半期比20%増と急速に拡大しています(出典: Nasdaq Reports First Quarter 2025 Results, Nasdaq IR)。
  • ARR成長: 年間経常収益(ARR)は2025年Q2時点で29億ドル、前年比9%増。サブスクリプション型ビジネスの安定性を示す指標として重要です。
  • クロスセル強化: Adenza買収後、Surveillance・AxiomSL等の主要ソリューションで19件のクロスセル成約を達成(出典: Nasdaq Reports First Quarter 2025 Results, Nasdaq IR)。

(3) 投資家の関心・懸念点

投資家の関心は高い一方、以下の懸念点も存在します。

  • 経営陣・拠点への物理的攻撃リスク: グローバル資本市場における高い認知度とブランド力により、悪意ある攻撃の標準的ターゲットとなる可能性を10-Kで開示しています(出典: Nasdaq Adds Safety Concerns for Its Leaders as New Investor Risk, Bloomberg Law)。
  • 経済サイクル依存性: 市場取引量の変動や金利上昇の影響を受けやすく、特にテクノロジー・金融セクター集中による市場ボラティリティへの感応度が高いです。
  • AIバブル懸念: 2025年Q1にナスダック100指数は8.3%下落(過去3年で最悪)。AIバブル懸念、関税不確実性、景気後退リスクが主因です(出典: ナスダック100指数、この3年間で最悪の四半期-AIバブル警戒, Bloomberg)。

一方、2025年Q2決算は好調で、純収益13億ドル(前年比12%増)、EPS 0.85ドル(予想0.81ドルを上回る)を達成。Market Services部門は記録的な純収益(前年比21%増)を達成しました(出典: Nasdaq Reports Second Quarter 2025 Results, Nasdaq IR)。アナリスト16名の一致評価は「Strong Buy」で、平均目標株価105.33ドル(最高130ドル)。多様化した事業モデルと強固なARR基盤により、長期的には楽観的な見方が優勢です(出典: Nasdaq Stock Forecast, Price Targets and Analysts Predictions, TipRanks)。

2. ナスダックの事業内容・成長戦略

(1) 主力事業(取引所運営・データ/インデックス・テクノロジーソリューション)

ナスダックは、以下3つの主力事業を展開しています。

①取引所運営(Market Platforms)

米国最大級の証券取引所を運営し、株式・オプション・先物取引の場を提供。取引手数料、上場企業からの上場手数料で収益を得ます。2025年Q2のMarket Services部門は記録的な純収益(前年比21%増)を達成しました(出典: Nasdaq Reports Second Quarter 2025 Results, Nasdaq IR)。

②データ・インデックス事業(Capital Access Platforms)

ナスダック指数(NASDAQ-100、NASDAQ Composite)の算出・運営により、インデックスライセンス収入を得ます。金融機関向けにリアルタイム市場データを配信し、データ配信料も重要な収益源です。

③テクノロジーソリューション(Anti-Financial Crime)

クラウドベースのリスク管理ソリューション、コンプライアンスソフトウェア、取引監視システムを提供。Verafin Co-Pilot(AI技術統合)の利用拡大で、1,200以上のクライアントが活用しています(出典: Nasdaq Reports First Quarter 2025 Results, Nasdaq IR)。

(2) セクター・業種の説明

ナスダックは、金融セクター資本市場業種に分類されます。

  • 金融セクター: 銀行、保険、証券、資産運用などを提供する企業群。金利変動や景気サイクルの影響を受けやすいセクターです。
  • 資本市場: 証券取引所、投資銀行、資産運用会社などが含まれます。ナスダックは金融インフラとして独占性が高く、安定収益が特徴です。

(3) ビジネスモデルの特徴

ナスダックのビジネスモデルには、以下の特徴があります。

  • 収益多角化: 取引手数料(取引所運営)、インデックスライセンス収入(データ・インデックス事業)、サブスクリプション収入(テクノロジーソリューション)で収益を多角化。
  • ARR(年間経常収益)基盤: 2025年Q2時点でARR 29億ドル(前年比9%増)。サブスクリプション型ビジネスの安定性を示します。
  • One Nasdaq戦略: 3事業部門への再編により、クロスセル強化と顧客あたり収益の最大化を図ります(出典: Nasdaq Outlines Strategy to Deliver Next Phase of Resilient and Scalable Growth, Nasdaq IR)。

3. 競合との差別化

(1) 主要競合企業

ナスダックの主要競合企業は以下の通りです。

  • Intercontinental Exchange(ICE): NYSE(ニューヨーク証券取引所)を運営。世界最大の証券取引所グループ。
  • CME Group(CME): シカゴ・マーカンタイル取引所を運営。先物・オプション取引で世界最大級。
  • CBOE Global Markets(CBOE): シカゴ・オプション取引所を運営。オプション取引に特化。

(2) 競合優位性(テクノロジー企業上場での優位性・データビジネス・One Nasdaq戦略)

ナスダックは、以下の点で競合と差別化しています。

①テクノロジー企業上場での優位性

1971年創設、世界初の電子売買システムを採用。新興企業向けの株式市場として世界第2位の規模を誇ります(出典: ナスダック(NASDAQ)とは?主な銘柄やNYダウ・S&P500との違い, 松井証券)。Apple、Microsoft、Amazon、Google(Alphabet)、Metaなど、世界的なテクノロジー企業の多くがナスダックに上場しており、テクノロジーセクターでの優位性を確立しています。

②データビジネスの強化

ナスダック指数(NASDAQ-100、NASDAQ Composite)のインデックスライセンス収入が重要な収益源。リアルタイム市場データの配信により、データ配信料でも収益を得ています。

③One Nasdaq戦略によるクロスセル強化

Adenza買収後、Surveillance・AxiomSL等の主要ソリューションで19件のクロスセル成約を達成。2027年末までに1億ドル以上のクロスセル増収を目指しています(出典: Nasdaq Outlines Strategy to Deliver Next Phase of Resilient and Scalable Growth, Nasdaq IR)。

(3) 市場でのポジショニング

ナスダックは、証券取引所業界で以下のポジショニングを確立しています。

  • 世界第2位の証券取引所: NYSEに次ぐ規模で、特にテクノロジー企業上場で圧倒的な優位性。
  • データ・テクノロジーソリューション強化: 取引所運営以外に、データ・インデックス事業、テクノロジーソリューションで収益を多角化。
  • ARR基盤の強化: サブスクリプション型ビジネスの安定性により、経済サイクル全体で信頼されるパートナーとしての地位を確立しつつあります(出典: Nasdaq Stock Forecast, Price Targets and Analysts Predictions, TipRanks)。

4. 財務・配当の実績

(1) 売上高・利益の推移

ナスダックの財務実績は以下の通りです(2025年10月時点の情報)。

2025年Q2決算

  • 純収益: 13億ドル(前年比12%増)
  • EPS: 0.85ドル(アナリスト予想0.81ドルを上回る)
  • Market Services部門: 記録的な純収益(前年比21%増)

(出典: Nasdaq Reports Second Quarter 2025 Results, Nasdaq IR)

2025年Q1決算

  • ARR: 28億ドル(前年比8%増)、Q2では29億ドル(前年比9%増)
  • AI活用の拡大: Verafin Co-Pilotの利用が前四半期比20%増

(出典: Nasdaq Reports First Quarter 2025 Results, Nasdaq IR)

アナリスト予想

  • アナリスト一致評価: Strong Buy(16名)
  • 平均目標株価: 105.33ドル(最高130ドル、最低86ドル)
  • 52週レンジ: 上限付近で取引、200日移動平均を上回る

(出典: Nasdaq Stock Forecast, Price Targets and Analysts Predictions, TipRanks)

ナスダックは、One Nasdaq戦略の推進により、多様化した事業モデルと強固なARR基盤で持続可能な成長を実現しています。一方、2025年Q1にナスダック100指数が8.3%下落(過去3年で最悪)し、AIバブル懸念や景気後退リスクが指摘されています(出典: ナスダック100指数、この3年間で最悪の四半期-AIバブル警戒, Bloomberg)。

(2) 配当履歴

ナスダックは、10年以上の連続増配実績があり、配当成長株として評価されています。最新の配当履歴については、同社の公式IR資料やYahoo Financeなどで確認してください。

※配当に関する米国源泉徴収税は10%(執筆時点: 2025年10月)です。NISA口座で保有している場合、米国源泉税10%は還付されません。外国税額控除の利用により、日本の所得税から一部控除することが可能です(詳細は国税庁ウェブサイトを参照)。

(3) 財務健全性

ナスダックの財務健全性は以下の通りです。

  • レバレッジ比率: 4.0xの達成を9-12ヶ月前倒し(加速的な負債削減)
  • ROIC重視の資本配分: 強固なフリーキャッシュフロー創出を活用し、規律ある投資判断を実施
  • ARR基盤: 2025年Q2で29億ドル(前年比9%増)と安定成長

(出典: Nasdaq Outlines Strategy to Deliver Next Phase of Resilient and Scalable Growth, Nasdaq IR)

ナスダックは、財務健全化を優先し、レバレッジ比率の削減とROIC重視の資本配分により、株主価値の最大化を図っています。

※財務データは最新決算(10-K、10-Q)で確認してください。四半期決算発表により情報が変動する可能性があります(出典: Nasdaq Inc. 10-K Annual Report 2024, SEC EDGAR)。

5. リスク要因

(1) 事業リスク(経営陣への物理的攻撃リスク・経済サイクル依存性)

ナスダックには、以下の事業リスクがあります。

①経営陣・拠点への物理的攻撃リスク

グローバル資本市場における高い認知度とブランド力により、悪意ある攻撃の標準的ターゲットとなる可能性を10-Kで開示しています(出典: Nasdaq Adds Safety Concerns for Its Leaders as New Investor Risk, Bloomberg Law)。金融インフラ企業として、セキュリティ対策が重要です。

②経済サイクル依存性

市場取引量の変動や金利上昇の影響を受けやすく、特にテクノロジー・金融セクター集中による市場ボラティリティへの感応度が高いです。景気後退時には取引量が減少し、収益に影響を与えます。

(2) 市場環境リスク(株式市場の変動影響・テクノロジーセクター集中)

ナスダックは、以下の市場環境リスクにさらされています。

①株式市場の変動影響

取引所ビジネスは市場取引量に依存するため、株式市場の変動が直接的に収益に影響します。2025年Q1にナスダック100指数が8.3%下落(過去3年で最悪)し、AIバブル懸念、関税不確実性、景気後退リスクが主因となりました(出典: ナスダック100指数、この3年間で最悪の四半期-AIバブル警戒, Bloomberg)。

②テクノロジーセクター集中

ナスダック市場はテクノロジー企業の上場が多く、IT・通信セクター集中による市場ボラティリティへの感応度が高いです。テクノロジーセクターの調整局面では、取引量が減少するリスクがあります。

(3) 規制・競争リスク(規制変更・テクノロジー投資負担)

①規制変更

証券取引所は規制産業であり、規制変更により事業モデルが影響を受ける可能性があります。特に取引手数料の規制や上場基準の変更が収益に影響します。

②テクノロジー投資負担

クラウド・ブロックチェーン等の革新技術への投資負担が大きく、ROICを維持できない場合、株主価値が毀損するリスクがあります。One Nasdaq戦略の成否が長期的な成長を左右します。

6. まとめ:投資判断のポイント

(1) この銘柄の強み

ナスダックの強みは以下の3点です。

  1. 金融インフラの独占性: 世界第2位の証券取引所として、テクノロジー企業上場で圧倒的な優位性を持ち、金融インフラとして安定収益を享受。
  2. 収益多角化: 取引所運営、データ・インデックス事業、テクノロジーソリューションで収益を多角化し、ARR 29億ドル(前年比9%増)と安定成長。
  3. 配当成長株: 10年以上の連続増配実績があり、配当成長株として評価されています。

(2) リスク要因(再掲)

一方、以下のリスク要因に留意する必要があります。

  1. 経営陣への物理的攻撃リスクと経済サイクル依存性: 10-Kで開示された攻撃リスク、市場取引量の変動や金利上昇の影響。
  2. 株式市場の変動影響とテクノロジーセクター集中: AIバブル懸念、テクノロジーセクター調整局面での取引量減少リスク。

(3) 向いている投資家

ナスダックは、以下のような投資家に適しています。

  • 金融インフラ企業への投資に関心がある投資家: 取引所ビジネスの収益性・参入障壁・成長ドライバーを理解し、安定性と成長性のバランスを重視。
  • 配当成長株を評価する投資家: 10年以上の連続増配実績を評価し、NISA枠での長期保有を検討。
  • テクノロジーセクターの成長を期待する投資家: テクノロジー企業上場での優位性を評価し、ナスダック指数の成長に連動した収益拡大を期待。

※投資判断はご自身の責任で行ってください。本記事は情報提供を目的としており、個別銘柄の売買推奨を行うものではありません。安定性vs成長性、配当成長の持続可能性、バリュエーション水準を考慮し、リスク許容度の範囲内で投資してください。為替レートの変動により、円換算での投資リターンが大きく変動する可能性があります。最新情報はナスダック公式IRページをご確認ください。

Q: 取引所ビジネスの仕組みは?

A: 証券取引の場を提供し、取引手数料、上場企業からの上場手数料、データ配信料などで収益を得ます。金融インフラとして独占性が高く、安定収益が特徴です。ナスダックは取引所運営に加え、データ・インデックス事業(ナスダック指数のインデックスライセンス収入)、テクノロジーソリューション(リスク管理ソフトウェア等)で収益を多角化しており、ARR(年間経常収益)29億ドル(前年比9%増)と安定成長しています。

Q: ナスダック指数とナスダック社の関係は?

A: ナスダック指数(NASDAQ-100、NASDAQ Composite)はナスダック社が算出・運営しています。NASDAQ-100は時価総額上位100社(金融除く)、NASDAQ Compositeは全上場銘柄を対象とした指数です。インデックスライセンス収入(ETFや投資信託がナスダック指数を利用する際のライセンス料)も重要な収益源で、取引所運営以外の収益多角化に貢献しています。

Q: ナスダックの配当は安定していますか?

A: 10年以上の連続増配実績があり、配当成長株として評価されています。最新の配当履歴については、同社の公式IR資料(https://ir.nasdaq.com/)やYahoo Financeなどで確認してください。なお、米国源泉徴収税は10%(執筆時点: 2025年10月)で、NISA口座で保有している場合、米国源泉税10%は還付されません。外国税額控除の利用により、日本の所得税から一部控除することが可能です。

Q: ナスダックの競合優位性は?

A: テクノロジー企業上場での優位性、データ・インデックス事業での収益多角化、One Nasdaq戦略によるクロスセル強化が差別化ポイントです。1971年創設、世界初の電子売買システムを採用し、新興企業向けの株式市場として世界第2位の規模を誇ります。Apple、Microsoft、Amazon、Google(Alphabet)、Metaなど、世界的なテクノロジー企業の多くがナスダックに上場しており、テクノロジーセクターでの優位性を確立しています。

Q: ナスダックの投資リスクは?

A: 主なリスク要因は以下の通りです。①経営陣・拠点への物理的攻撃リスク(10-Kで開示)、②経済サイクル依存性(市場取引量の変動、金利上昇の影響)、③株式市場の変動影響(AIバブル懸念、景気後退リスク)、④テクノロジーセクター集中(IT・通信セクター調整局面での取引量減少)、⑤規制変更(取引手数料の規制、上場基準の変更)。詳細は本文「5. リスク要因」を参照してください。

よくある質問

Q1取引所ビジネスの仕組みは?

A1証券取引の場を提供し、取引手数料、上場企業からの上場手数料、データ配信料などで収益を得ます。金融インフラとして独占性が高く、安定収益が特徴です。ナスダックは取引所運営に加え、データ・インデックス事業(ナスダック指数のインデックスライセンス収入)、テクノロジーソリューション(リスク管理ソフトウェア等)で収益を多角化しており、ARR(年間経常収益)29億ドル(前年比9%増)と安定成長しています。

Q2ナスダック指数とナスダック社の関係は?

A2ナスダック指数(NASDAQ-100、NASDAQ Composite)はナスダック社が算出・運営しています。NASDAQ-100は時価総額上位100社(金融除く)、NASDAQ Compositeは全上場銘柄を対象とした指数です。インデックスライセンス収入(ETFや投資信託がナスダック指数を利用する際のライセンス料)も重要な収益源で、取引所運営以外の収益多角化に貢献しています。

Q3ナスダックの配当は安定していますか?

A310年以上の連続増配実績があり、配当成長株として評価されています。最新の配当履歴については、同社の公式IR資料(https://ir.nasdaq.com/)やYahoo Financeなどで確認してください。なお、米国源泉徴収税は10%(執筆時点: 2025年10月)で、NISA口座で保有している場合、米国源泉税10%は還付されません。外国税額控除の利用により、日本の所得税から一部控除することが可能です。

Q4ナスダックの競合優位性は?

A4テクノロジー企業上場での優位性、データ・インデックス事業での収益多角化、One Nasdaq戦略によるクロスセル強化が差別化ポイントです。1971年創設、世界初の電子売買システムを採用し、新興企業向けの株式市場として世界第2位の規模を誇ります。Apple、Microsoft、Amazon、Google(Alphabet)、Metaなど、世界的なテクノロジー企業の多くがナスダックに上場しており、テクノロジーセクターでの優位性を確立しています。

Q5ナスダックの投資リスクは?

A5主なリスク要因は以下の通りです。①経営陣・拠点への物理的攻撃リスク(10-Kで開示)、②経済サイクル依存性(市場取引量の変動、金利上昇の影響)、③株式市場の変動影響(AIバブル懸念、景気後退リスク)、④テクノロジーセクター集中(IT・通信セクター調整局面での取引量減少)、⑤規制変更(取引手数料の規制、上場基準の変更)。詳細は本文「5. リスク要因」を参照してください。