0. この記事でわかること
本記事では、S&Pグローバル(SPGI)について以下の情報を提供します:
- なぜ注目されているのか: S&P500指数を運営する金融データ・格付けの世界的リーディングカンパニー。IHS Markit買収(2022年)による事業拡大、AI搭載製品開発の加速、プライベートクレジット市場での成長が投資家の注目を集めています。
- 事業内容と成長戦略: 格付け(S&P Global Ratings)、指数(S&P Dow Jones Indices)、マーケットインテリジェンス、コモディティデータ(Platts)の4本柱で展開。サブスクリプションモデルの高収益体質(営業利益率50%超)と金融インフラとしてのブランド力が競合優位性です。
- 競合との差別化: Moody's、Fitch、MSCIと比較し、S&P500ブランド、IHS Markit統合シナジー、AI製品開発、ESGプラットフォームで優位性を確保。
- 財務・配当の実績: 2024年売上142億ドル(14%増)、純利益39億ドル(47%増)。50年連続増配の配当貴族として、配当成長率の高さが魅力(配当利回り約0.7-1.0%)。
- リスク要因: 格付け事業の利益相反批判、2025年ガイダンス下方修正(売上成長4-6%に引き下げ)、Mobility部門スピンオフの不確実性、債券発行市場の変動。
※米国株投資の税制(外国税額控除、NISA制度)についても解説します。投資判断はご自身の責任で行ってください。
1. なぜS&Pグローバル(SPGI)が注目されているのか
(1) 成長戦略の3つのポイント
S&Pグローバルは以下の3つの成長戦略で投資家の注目を集めています:
- IHS Markit統合の完全なシナジー実現と技術・データ統合の加速: 2022年に440億ドルで買収したIHS Markitとの統合により、クロスセル戦略を強化。Market Intelligence部門は7%の成長を達成しています。コモディティデータ(Platts)、自動車データ(Mobility)、金融データを統合し、顧客への提供価値を拡大しています。
- AI搭載製品開発の加速により競合他社を上回る革新を推進: AI技術を活用した金融データ分析ツールを開発し、顧客の意思決定を支援。Market Intelligence部門では、AIによる信用リスク分析、ESGデータ統合、市場予測モデルの提供により、競合他社を上回る製品革新を実現しています。
- プライベート市場への注力により、CLO・ABS・プロジェクトファイナンス格付けの需要増加で前年比11%成長: 従来の企業債・国債格付けに加え、CLO(ローン担保証券)、ABS(資産担保証券)、プロジェクトファイナンス(インフラ投資)の格付け需要が拡大。プライベートクレジット市場の成長を取り込み、格付け部門は前年比31%増収(2024年)を記録しました。
(2) 注目テーマ(AI搭載製品開発・ESGサステナビリティデータ・プライベートクレジット市場拡大)
投資家が注目する3つのテーマは、AI(人工知能)搭載製品開発、ESG・サステナビリティデータ(Sustainable1プラットフォーム)、プライベートクレジット市場の拡大です。
AI搭載製品開発: 金融データ分析にAI技術を統合し、信用リスク評価、市場予測、ESG評価の自動化を推進。顧客の業務効率を大幅に向上させ、サブスクリプション収入の拡大に寄与しています。
ESG・サステナビリティデータ: Sustainable1プラットフォームを通じて、企業のESG(環境・社会・ガバナンス)評価データを提供。ESG投資の拡大に伴い、機関投資家からの需要が急増しています。
プライベートクレジット市場の拡大: 銀行融資の縮小を背景に、プライベートクレジット(非上場企業向け貸付)市場が成長。S&Pはこの分野の格付けに注力し、前年比11%の成長を実現しました。
(3) 投資家の関心・懸念点
関心点: 50年連続増配の配当貴族としての安定性、営業利益率50%超の超高収益体質、S&P500ブランドの圧倒的認知度、IHS Markit統合シナジーによる事業拡大、AI・ESG分野での先行投資。
懸念点: 2025年ガイダンスの下方修正(売上成長を4-6%に引き下げ、調整後EPS $16.75-17.25に低下)、クレジット発行市場と株式市場の逆風、Mobility部門のスピンオフ(12-18ヶ月以内に独立)による事業再編の不確実性、グローバル貿易・関税の不確実性による債券市場への影響。
アナリストの見通し: アナリスト17名の平均目標株価は$620.25で、現在価格$486.1から27.6%の上昇余地があります(最高予想$661、最低$540)。格付けは「強い買い」を維持しています。売上成長率は年6.4%と控えめですが、EPS成長率は年11%と予測され、長期的な成長ポテンシャルを保持しています。
2. S&Pグローバルの事業内容・成長戦略
(1) 主力事業(格付け・指数・マーケットインテリジェンス・コモディティデータ)
S&Pグローバルは4つの主要事業体で構成されています:
- S&P Global Ratings(格付け事業): 企業・政府・金融商品の信用格付けを提供。AAA~Dまでのランクで債務返済能力を評価し、投資家の意思決定を支援します。2024年は31%増収を記録し、格付け部門が全社収益を牽引しました。格付け市場ではMoody'sと2強体制を形成しています。
- S&P Dow Jones Indices(指数事業): S&P500、ダウ平均株価などの株価指数を算出・運営。指数に連動するETF・インデックスファンドからライセンス収入を得るビジネスモデルです。インデックス投資の普及に伴い、安定的な収益源となっています。
- S&P Global Market Intelligence(マーケットインテリジェンス): 金融データ、企業分析、リスク評価ツールをサブスクリプション形式で提供。IHS Markit買収により、コモディティデータ、自動車データ、ESGデータを統合し、提供価値を拡大。2024年は7%成長を達成しました。
- S&P Global Platts(プラッツ/コモディティデータ): 石油、天然ガス、金属、農産物などのコモディティ価格データを提供。プラッツ価格は国際商品市場の価格指標として広く利用されています。
(2) セクター・業種の説明(金融セクター・資本市場サービス)
S&Pグローバルは**金融セクター(Financials)の資本市場サービス(Capital Markets)**に分類されます。証券取引や融資を行う金融機関ではなく、金融市場に不可欠なデータ・評価・指数を提供する「金融インフラ企業」です。
金融インフラ企業は、景気変動の影響を受けにくいディフェンシブ性と、サブスクリプション収益による安定性が特徴です。ただし、格付け事業は債券発行市場の動向に連動するため、景気後退時には収益が減少する可能性があります。
(3) ビジネスモデルの特徴(サブスクリプション・ブランド力・金融インフラ)
S&Pグローバルのビジネスモデルには以下の特徴があります:
- サブスクリプションモデル: Market Intelligence、Plattsはサブスクリプション形式で、安定的な収益を確保。顧客の継続利用率が高く、収益の予測可能性が高い点が強みです。
- S&P500ブランド: 世界中の投資家が参照するS&P500指数を運営しており、圧倒的なブランド認知度を保有。指数ライセンス収入は、インデックス投資の拡大により継続的に成長しています。
- 金融インフラ: 格付け、指数、データ提供は金融市場の意思決定に不可欠な「インフラ」であり、高い参入障壁が存在します。競合の少ない寡占市場で、営業利益率50%超の超高収益を実現しています。
- 発行体報酬モデル: 格付け事業は、格付けを受ける企業(発行体)が報酬を支払う仕組みです。これにより、安定した収益を得られますが、利益相反の批判もあります(詳細はリスク要因で解説)。
3. 競合との差別化
(1) 主要競合企業(Moody's Corporation、Fitch Ratings、MSCI等)
S&Pグローバルの主要競合は以下の3社です:
- Moody's Corporation: 格付け市場でS&Pと2強を形成。格付け事業に加え、リスク分析ツール(Moody's Analytics)も提供。営業利益率はS&Pと同水準の約50%です。
- Fitch Ratings: 格付け市場で3位。欧州・アジア市場に強みを持ちますが、市場シェアはS&P・Moody'sに劣ります。
- MSCI: 株価指数・ESGデータの分野で競合。MSCI指数はグローバル投資家に広く利用されており、ESG評価でも高いシェアを持ちます。ただし、S&P500ブランドには及びません。
(2) 競合優位性(S&P500ブランド・IHS Markit統合シナジー・AI製品開発・ESGプラットフォーム)
S&Pグローバルが競合に対して優位性を持つ4つのポイント:
- S&P500ブランド: 世界中の投資家が参照するS&P500指数を運営しており、圧倒的な認知度を保有。指数ライセンス収入は、インデックス投資の拡大により継続的に成長しています。Moody'sやMSCIと比較し、ブランド力で優位性があります。
- IHS Markit統合シナジー: 2022年の買収により、コモディティデータ、自動車データ、金融データを統合。クロスセル戦略により、Market Intelligence部門は7%成長を達成しました。Moody'sにはないコモディティ・自動車データが差別化要因です。
- AI搭載製品開発: AI技術を活用した信用リスク分析、ESG評価、市場予測ツールを開発し、競合他社を上回る製品革新を実現。顧客の業務効率を大幅に向上させ、サブスクリプション収入の拡大に寄与しています。
- ESGプラットフォーム(Sustainable1): ESG評価データを統合したSustainable1プラットフォームを提供。ESG投資の拡大に伴い、機関投資家からの需要が急増しています。MSCIと競合しますが、S&Pは格付け・指数データとの統合により差別化を図っています。
(3) 市場でのポジショニング(格付け・指数の世界的リーダー、営業利益率50%超)
S&Pグローバルは格付け・指数市場で世界的リーダーの地位を確立しています。格付け市場ではMoody'sと2強を形成し、世界シェアの約40%を占めます。指数市場ではS&P500ブランドにより、圧倒的な認知度を保有しています。
営業利益率50%超の超高収益体質は、金融インフラとしての高い参入障壁と、サブスクリプション・ライセンス収入による収益安定性を反映しています。Moody'sと同水準の収益性を維持しており、金融データ業界でトップクラスの収益力を誇ります。
4. 財務・配当の実績
(1) 売上高・利益の推移(2024年売上142億ドル14%増、純利益39億ドル47%増)
S&Pグローバルの財務実績は以下の通りです:
年度 | 売上(億ドル) | 前年比 | 純利益(億ドル) | 前年比 | 希薄化EPS(ドル) |
---|---|---|---|---|---|
2024年 | 142 | +14% | 39 | +47% | 12.35 |
2025年予想(中間値) | 148 | +4.2% | - | - | 17.00 |
※2025年ガイダンス: 売上成長4-6%(当初予想5.0-7.0%から下方修正)、調整後EPS $16.75-17.25(中間値$17.00)、調整後営業利益率48.5-49.5%
2024年のハイライト:
- 売上142億ドル(14%増): 格付け部門が31%増収で全社を牽引
- 純利益39億ドル(47%増): 取引収益80%増が寄与
- 調整後フリーキャッシュフローの85%以上を株主還元(配当+自社株買い)
- 2024年に20億ドルの自社株買いを実施
事業セグメント別収益(2024年):
- 格付け: 31%増収(プライベート市場格付けが牽引)
- 指数: 安定的な成長(インデックス投資の拡大)
- Market Intelligence: 7%成長(IHS Markit統合シナジー)
- Platts: コモディティ市場の変動に連動
出典: S&P Global Inc (SPGI) Q3 2024 Earnings Call Highlights, Yahoo Finance, 2024年11月発表
(2) 配当履歴(50年連続増配の配当貴族、配当利回り約0.7-1.0%)
S&Pグローバルは50年連続増配の配当貴族であり、長期的な配当成長が魅力です:
- 配当利回り: 約0.7-1.0%(株価$486想定、2025年10月時点)。配当利回りは低めですが、配当成長率が高いことが特徴です。
- 連続増配年数: 50年(配当貴族の条件は25年以上連続増配)
- 配当成長率: 年率10%前後の増配を継続(過去5年平均)
- 配当性向: 約30-40%で、成長投資と株主還元のバランスを重視
配当の特徴:
- 配当成長重視: 利回りは低いが、長期保有により配当額が増加
- 財務安定性: 営業利益率50%超の高収益により、安定した配当支払いが可能
- 株主還元方針: 調整後フリーキャッシュフローの85%以上を配当+自社株買いで還元
※米国株の配当には米国で10%の源泉徴収税が課され、日本でさらに20.315%課税されます(二重課税)。確定申告により外国税額控除を受けられますが、NISA口座では米国10%分の控除は受けられません。
(3) 財務健全性(調整後営業利益率48.5-49.5%、フリーCFの85%超を株主還元)
調整後営業利益率: 48.5-49.5%(2025年ガイダンス)で、金融データ業界でトップクラスの収益性を誇ります。サブスクリプション・ライセンス収入の高いマージンと、金融インフラとしての参入障壁が高収益を支えています。
フリーキャッシュフロー: 調整後フリーキャッシュフローの85%以上を株主還元(配当+自社株買い)する方針です。2024年には20億ドルの自社株買いを実施し、株主価値の向上を図っています。
財務安定性: 負債比率は適正水準で、格付けはAA(S&P自己格付け)を維持。IHS Markit買収による負債増加はありましたが、強固なキャッシュフロー創出力により、財務健全性は保たれています。
※2025年10月時点のデータです。最新情報はS&P Global Inc公式IRページ(https://investor.spglobal.com/)をご確認ください。
5. リスク要因
(1) 事業リスク(格付け事業の利益相反批判・債券発行市場変動・Mobilityスピンオフ不確実性)
格付け事業の利益相反批判: 格付けを受ける企業(発行体)が報酬を支払う「発行体報酬モデル」は、利益相反の批判があります。発行体に有利な格付けを行うインセンティブが働く可能性があり、2008年の金融危機では過大評価された証券化商品が批判されました。SEC・EU当局は格付け機関への監視を強化しており、規制リスクがあります。
債券発行市場の変動: 格付け事業は債券発行市場の動向に連動するため、景気後退や金利上昇により債券発行が減少すると、収益が減少します。2025年ガイダンスの下方修正は、クレジット発行市場の逆風を反映しています。
Mobilityスピンオフの不確実性: IHS Markit買収で取得したMobility部門(自動車データ)を、12-18ヶ月以内に独立した上場企業としてスピンオフする計画です。事業再編に伴う不確実性があり、スピンオフ後の事業価値評価が課題となります。
(2) 市場環境リスク(2025年ガイダンス下方修正・クレジット発行逆風・グローバル貿易関税不確実性)
2025年ガイダンス下方修正: 2025年の売上成長予測を4-6%に引き下げ(当初予想5.0-7.0%)、調整後EPS予想も$16.75-17.25に低下しました。クレジット発行市場と株式市場の逆風が要因です。Q3 2024は16%増収・21%調整EPS成長を達成しましたが、将来需要の先取り懸念があり、株価は一時下落しました。
クレジット発行の逆風: 金利上昇により企業の債券発行が減少し、格付け収入が減少する可能性があります。特に投資適格債(IG債)の発行が鈍化しており、2025年の成長率は控えめな見通しです。
グローバル貿易・関税の不確実性: 米中貿易摩擦、関税政策の変更により、グローバルな債券発行市場に影響が及ぶ可能性があります。企業の資金調達意欲が減退すると、格付け収入が減少します。
(3) 規制・競争リスク(SEC・EU当局の監視強化・発行体報酬モデルへの批判)
SEC・EU当局の監視強化: 格付け機関への規制監視が強化されており、格付け手法の透明性、利益相反の排除、内部統制の強化が求められています。規制コストの増加や、業務制約によるビジネスモデルへの影響が懸念されます。
発行体報酬モデルへの批判: 発行体が報酬を支払う仕組みは、投資家保護の観点から批判があります。投資家報酬モデル(投資家が格付けの対価を支払う)への転換圧力があり、ビジネスモデルの変更を余儀なくされる可能性があります。
為替リスク: 日本人投資家にとっては、ドル建て資産であるため為替変動リスクがあります。円高局面では円換算の配当額・株価が目減りします。
6. まとめ:投資判断のポイント
(1) この銘柄の強み(S&P500ブランド・50年連続増配・超高収益体質・金融インフラ企業)
S&Pグローバルの3つの強み:
- S&P500ブランドと金融インフラ企業: 世界中の投資家が参照するS&P500指数を運営し、格付け・データ提供で金融市場に不可欠な「インフラ」を提供。高い参入障壁により、寡占市場でのポジションを確立しています。
- 50年連続増配の配当貴族: 配当利回りは約0.7-1.0%と低めですが、年率10%前後の増配を継続。長期保有により配当額が増加し、配当成長投資に適しています。
- 超高収益体質(営業利益率50%超): サブスクリプション・ライセンス収入による安定性と、金融インフラとしての高マージンにより、営業利益率50%超を実現。調整後フリーキャッシュフローの85%超を株主還元しています。
(2) リスク要因(再掲)
2つの主要リスク:
- 格付け事業の利益相反と規制リスク: 発行体報酬モデルへの批判、SEC・EU当局の監視強化、債券発行市場の変動による収益影響。2025年ガイダンス下方修正は、クレジット発行市場の逆風を反映しています。
- 事業再編の不確実性: Mobility部門のスピンオフ(12-18ヶ月以内)に伴う事業価値評価の変動、グローバル貿易・関税の不確実性、為替リスク(円高による円換算リターンの目減り)。
(3) 向いている投資家(配当成長重視・金融インフラ企業好み・長期投資家)
S&Pグローバルは以下のような投資家に向いています:
- 配当成長を重視する長期投資家: 配当利回りは低めですが、50年連続増配で年率10%前後の増配を継続。長期保有により配当額が増加し、配当成長投資に適しています。
- 金融インフラ企業の安定性を評価する投資家: 格付け・指数・データ提供は金融市場に不可欠なインフラであり、景気変動の影響を受けにくいディフェンシブ性があります。営業利益率50%超の高収益体質が魅力です。
- ブランド力のある企業に投資したい投資家: S&P500ブランドの圧倒的認知度と、金融インフラとしての参入障壁により、長期的な競争優位性を期待できます。AI・ESG分野での先行投資により、次世代の成長機会を取り込んでいます。
免責事項: 本記事は情報提供を目的としており、個別銘柄の売買推奨ではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。最新の財務データ・税制は公式IRページや国税庁の情報をご確認ください。
Q: S&Pグローバルの配当利回りは?
A: 2025年10月時点で約0.7-1.0%程度です。配当利回りは低めですが、50年連続増配の配当貴族であり、年率10%前後の増配を継続しています。配当成長率が高いため、長期保有により配当額が増加する点が魅力です。配当よりも株価上昇(キャピタルゲイン)を重視する投資家に適しています。
Q: S&Pグローバルの主な競合は?
A: Moody's Corporation(格付け2位、市場シェア約40%)、Fitch Ratings(格付け3位)、MSCI(指数・ESGデータ)などです。S&PはS&P500ブランドとIHS Markit統合シナジーで差別化しており、格付け市場ではMoody'sと2強を形成しています。営業利益率50%超は業界トップクラスです。
Q: S&Pグローバルのリスク要因は?
A: 格付け事業の利益相反批判(発行体報酬モデル)、2025年ガイダンス下方修正(売上成長4-6%に引き下げ、調整後EPS $16.75-17.25)、Mobility部門スピンオフの不確実性(12-18ヶ月以内に独立)、債券発行市場の変動が主なリスクです。SEC・EU当局の規制監視強化により、業務制約が強まる可能性もあります。詳細は本文の「5. リスク要因」を参照してください。
Q: S&Pグローバルは長期投資に向いている?
A: 配当成長を重視する長期投資家、金融インフラ企業の安定性を評価する投資家、ブランド力のある企業に投資したい投資家に向いています。50年連続増配と営業利益率50%超の超高収益体質が魅力です。ただし、債券発行市場の変動リスクには注意が必要です。配当利回りは低めですが、配当成長率が高いため、長期的な資産形成に適しています。投資判断はご自身の責任で行ってください。
Q: IHS Markit買収の影響は?
A: 2022年に440億ドルでIHS Markitを買収し、コモディティデータ(Platts)、自動車データ(Mobility)、金融データを統合しました。統合シナジーとクロスセル戦略により、Market Intelligence部門は7%成長を達成しています。ただし、Mobility部門は12-18ヶ月以内にスピンオフ予定で、独立した上場企業として分離される計画です。買収により事業規模が拡大しましたが、スピンオフ後の事業価値評価が注目されます。