0. この記事でわかること
本記事では、ステート・ストリート(STT)について以下の情報を提供します:
- なぜ注目されているのか: デジタル資産プラットフォームの立ち上げとトークン化投資の拡大、2025年上半期に210本のETF立ち上げ支援、プライベート市場へのアクセス提供
- 事業内容と成長戦略: 世界最大級のカストディアン銀行として51.7兆ドルのカストディ資産を管理、SPDR ETFブランドで運用資産4.7兆ドル、機関投資家向けサービスで圧倒的シェア
- 競合との差別化: SPDR S&P 500 ETF(SPY)等のETF運営、デジタル資産プラットフォーム、プライベート市場戦略提携(Apollo、Bridgewater、Carlyle Group等)
- 財務・配当の実績: 2024年通年EPS 8.21ドル(前年比47%増)、50年以上連続配当、2024年四半期配当10%増、総ペイアウト比率約80%目標
- リスク要因: 手数料圧縮加速(2024年に3%の逆風)、競争激化(Aladdinプラットフォームのシェア拡大)、コスト増加圧力(2025年費用増加3~4%)、金利動向への高感応度
日本人投資家向けに、ステート・ストリートの事業内容から投資リスクまでを詳しく解説します。
1. なぜステート・ストリート(STT)が注目されているのか
(1) 成長戦略の3つのポイント
ステート・ストリートは2025年以降、以下の3つの成長戦略を推進しています。
①デジタル資産プラットフォームの立ち上げとトークン化投資の拡大
同社の調査によると、シニアエグゼクティブの約60%が来年デジタル資産配分を増やす計画で、平均エクスポージャーは3年以内に倍増する見込みです。2030年までに大多数が投資の10~24%がトークン化されると予想されており、同社はこのトレンドを先取りしてデジタル資産プラットフォームを立ち上げました。
②Apex Fintech Solutionsとのパートナーシップによるウェルス・アドバイザー向けサービス
Apex Fintech Solutionsとのパートナーシップにより、ウェルス・アドバイザー向けグローバル・デジタル・カストディソリューションを提供しています。ウェルスサービスとオルタナティブ投資管理の新商品開発を推進し、個人投資家へのリーチを拡大しています。
③ApolloやBridgewaterとの戦略的パートナーシップ
ApolloやBridgewaterとの戦略的パートナーシップにより、プライベートクレジットや流動性オルタナティブの提供能力を拡張しています。Carlyle Groupとも個人投資家向けハイブリッド公開・非公開投資商品の開発を協議中で、プライベート市場への投資機会を拡大しています。
(2) 注目テーマ(ETF爆発的成長・ブロックチェーンAI量子コンピューティング投資・プライベート市場アクセス提供)
投資家が注目している主なテーマは以下の通りです。
ETF爆発的成長
2025年上半期に210本のETFローンチを支援しました。これは2024年通年の80%に相当する規模です。グローバルETF流入額は9000億ドル(前年同期比25%増)と爆発的に成長しており、同社の資産運用部門であるState Street Global Advisorsの収益拡大に寄与しています。
世界最大のETFであるSPDR S&P 500 Trust ETF(SPY)を運用しており、ETF市場の成長により手数料収入が増加しています。
ブロックチェーン・AI・量子コンピューティングへの投資
ブロックチェーン、AI、量子コンピューティングへの投資により、資産運用のデジタル化を加速させています。これにより、運用効率の向上と顧客サービスの高度化を図っています。
プライベート市場へのアクセス提供
確定拠出年金投資家向けに「State Street Target Retirement IndexPlus」を提供し、公開・非公開市場の両方にアクセス可能にしています。従来、機関投資家に限定されていたプライベート市場への投資機会を、個人投資家にも提供することで、新たな収益源を開拓しています。
(3) 投資家の関心・懸念点
関心点
- 2025年Q3のEPSが前年比23%増の2.78ドルに達し、7四半期連続でポジティブなオペレーティングレバレッジを達成
- 3兆ドルの未インストールマンデートがあり、その半分が2025年に完了予定で将来の収益源として期待
- 2025年のフィー収入成長率は8.5~9%を見込み、費用増加は約4.5%に抑える計画
- アナリストコンセンサスは「オーバーウェイト」で目標株価は95~162ドルのレンジ
懸念点
- Q3 2025で予想を上回る決算を発表したにもかかわらず株価は3.85%下落、広範な市場トレンドまたは将来成長への懸念が影響
- Aladdinプラットフォーム(BlackRockの資産運用プラットフォーム)が債券と株式運用の両方でシェア拡大、競争ポジションへの懸念
- 資産運用業界全体の手数料圧力により、価格圧縮が2024年に3%の逆風となった
2. ステート・ストリートの事業内容・成長戦略
(1) 主力事業(Global Services・Global Advisors・Global Markets)
ステート・ストリートは、3つの主要事業部門で多角的な金融サービスを展開しています。
①Global Services(グローバル・サービス)
カストディ(証券保管)・ファンド管理サービスが中核です。機関投資家向けに証券の保管・決済・記録管理を行い、2025年Q3時点で51.7兆ドルのカストディ・管理資産(AUC/A)を保有しています。
年金基金、保険会社、投資信託、ヘッジファンドなどの機関投資家が顧客で、証券の保管・管理に加えて、ファンド管理、証券レンディング、外国為替サービスなどを提供しています。
②Global Advisors(グローバル・アドバイザーズ)
資産運用部門で、State Street Global Advisorsとして知られています。約4.7兆ドルの運用資産(AUM)を保有し、世界最大級の資産運用会社の一つです。
SPDR(スパイダー)ブランドのETFを運用しており、特にSPDR S&P 500 Trust ETF(SPY)は世界最大のETFとして、資産規模・取引高ともに圧倒的です。インデックスファンド、ETF、アクティブ運用ファンドなど、幅広い投資商品を提供しています。
③Global Markets(グローバル・マーケッツ)
トレーディング・リサーチサービスを提供しています。機関投資家向けに、株式・債券・通貨・デリバティブの取引執行、市場調査、投資戦略アドバイスを行っています。
(2) セクター・業種の説明(金融セクター・資本市場サービス)
ステート・ストリートは、金融セクター(Financials)の資本市場(Capital Markets)業種に分類されます。
カストディアン銀行は、機関投資家向けに証券の保管・管理を行う専門金融機関です。証券の現物保管だけでなく、決済・記録管理・コーポレートアクション対応・証券レンディング・外国為替取引など、包括的なサービスを提供しています。
金融インフラとして、グローバルな証券市場の円滑な運営を支える重要な役割を担っています。市場ボラティリティが高まると取引高が増加し、手数料収入が増える傾向があります。
(3) ビジネスモデルの特徴(カストディアン銀行・ETF運営・機関投資家向けサービス)
ステート・ストリートの最大の特徴は、カストディアン銀行とETF運営の両方で世界トップクラスのシェアを持つことです。
カストディアン銀行のビジネスモデル
カストディ資産51.7兆ドル(2025年Q3時点)という圧倒的な規模により、安定的な手数料収入を得ています。顧客資産の増加に伴い、カストディ手数料・ファンド管理手数料・証券レンディング手数料が増加するため、市場の成長とともに収益が拡大します。
ETF運営のビジネスモデル
SPDR S&P 500 Trust ETF(SPY)は、1993年に上場された世界初のETFの一つで、時価総額・取引高ともに世界最大です。ETF市場の爆発的成長により、運用報酬収入が増加しています。
2025年上半期に210本のETFローンチを支援し、グローバルETF流入額は9000億ドル(前年同期比25%増)と急成長しています。
金利感応度の高いビジネスモデル
銀行部門を保有しているため、金利上昇局面では純金利収入が増加します。2022-2023年のFRB利上げ局面では、預金と貸出の利ざやが拡大し、収益が大幅に増加しました。
一方、金利低下局面では純金利収入が減少するため、金利動向への感応度が高いビジネスモデルです。
3. 競合との差別化
(1) 主要競合企業(BNY Mellon、JPMorgan Chase、Northern Trust等)
カストディアン銀行・資産管理業界における主要競合企業は以下の通りです。
①BNY Mellon(バンク・オブ・ニューヨーク・メロン)
世界最大のカストディアン銀行です。カストディ資産は約47兆ドル(2024年時点)で、ステート・ストリートと並ぶ業界2強の一角を占めています。資産規模ではBNY Mellonがやや大きいですが、ETF事業ではステート・ストリートが圧倒的に優位です。
②JPMorgan Chase(JPモルガン・チェース)
総合金融グループとして、投資銀行業務、商業銀行業務、資産管理、カストディサービスを総合的に展開しています。カストディ資産は約30兆ドル(2024年時点)で、総合力ではトップクラスですが、カストディ専業ではステート・ストリートに及びません。
③Northern Trust(ノーザン・トラスト)
資産管理・カストディに特化した金融機関です。カストディ資産は約15兆ドル(2024年時点)で、規模ではステート・ストリートより小さいですが、富裕層向けウェルスマネジメントで強みを持っています。
(2) 競合優位性(SPDR ETFブランド・デジタル資産プラットフォーム・プライベート市場戦略提携)
ステート・ストリートは、以下の点で競合との差別化を図っています。
①SPDR ETFブランド
SPDR S&P 500 Trust ETF(SPY)は、1993年に上場された世界初のETFの一つで、時価総額・取引高ともに世界最大です。「スパイダー」の愛称で親しまれ、ETFの代名詞として圧倒的なブランド力を持っています。
2025年上半期に210本のETFローンチを支援し、グローバルETF流入額は9000億ドル(前年同期比25%増)と爆発的に成長しています。ETF市場の成長により、運用報酬収入が増加しています。
②デジタル資産プラットフォーム
デジタル資産プラットフォームの立ち上げにより、トークン化投資の拡大に対応しています。シニアエグゼクティブの約60%が来年デジタル資産配分を増やす計画で、2030年までに投資の10~24%がトークン化される見込みです。
Apex Fintech Solutionsとのパートナーシップにより、ウェルス・アドバイザー向けグローバル・デジタル・カストディソリューションを提供し、新たな収益源を開拓しています。
③プライベート市場戦略提携
ApolloやBridgewaterとの戦略的パートナーシップにより、プライベートクレジットや流動性オルタナティブの提供能力を拡張しています。Carlyle Groupとも個人投資家向けハイブリッド公開・非公開投資商品の開発を協議中で、従来は機関投資家に限定されていたプライベート市場への投資機会を、個人投資家にも提供しています。
(3) 市場でのポジショニング(世界最大級のカストディアン銀行、運用資産4.7兆ドル、カストディ資産51.7兆ドル)
ステート・ストリートは、カストディアン銀行として世界最大級の地位を占めています。
カストディ資産
カストディ・管理資産(AUC/A)は51.7兆ドル(2025年Q3時点)で、BNY Mellonと並ぶ業界2強の一角です。機関投資家向けカストディサービスで圧倒的なシェアを持っています。
運用資産
運用資産(AUM)は約4.7兆ドル(2024年時点)で、世界最大級の資産運用会社の一つです。BlackRock(約10兆ドル)、Vanguard(約8兆ドル)に次ぐ規模で、特にETF市場では圧倒的な存在感を示しています。
市場シェア
ETF市場では、BlackRock(iShares)、Vanguard、State Street(SPDR)の3社で約80%のシェアを占めています。SPDR S&P 500 Trust ETF(SPY)は世界最大のETFで、取引高ではiSharesのIVVを大きく上回っています。
4. 財務・配当の実績
(1) 売上高・利益の推移(2024年通年EPS 8.21ドル、Q3 2025 EPS 2.78ドル前年比23%増)
2024年通年の業績
- フィー収入: 前年比7%増
- 総収入: 前年比9%増
- EPS(1株当たり利益): 8.21ドル(2023年の5.58ドルから47%増)
- 注目項目除外ベースで前年比13%増
2024年は、金利上昇局面における純金利収入の増加と、ETF市場の成長による運用報酬収入の増加により、収益が大幅に拡大しました。
2025年Q3(2024年7月-9月期)の業績
- EPS: 2.78ドル(前年比23%増)
- 7四半期連続でポジティブなオペレーティングレバレッジ: 収益成長率がコスト増加率を上回る状態が7四半期連続
- カストディ・管理資産(AUC/A): 51.7兆ドル
- 運用資産(AUM): 4.7兆ドル(記録的な水準)
Q3 2025で予想を上回る決算を発表したにもかかわらず、株価は3.85%下落しました。これは、広範な市場トレンドまたは将来成長への懸念が影響していると考えられます。
2024年の顧客資産獲得
- AUC/Aで2.3兆ドル超の新規獲得(通年)
- Q4単独で1.1兆ドル獲得
新規顧客資産の獲得により、将来の手数料収入増加が期待されます。
将来見通し
- 2025年のフィー収入成長率: 8.5~9%を見込む
- 費用増加: 約4.5%に抑える計画(当初予想の3~4%レンジの上限から上方修正)
- 未インストールマンデート: 3兆ドル(その半分が2025年に完了予定)
※2025年10月時点のデータです。最新情報はState Street Corporation公式IRページをご確認ください。 (出典: State Street Corporation Q3 2025 Earnings Report, SEC EDGAR)
(2) 配当履歴(50年以上連続配当、2024年四半期配当10%増)
ステート・ストリートは、配当成長株として魅力的な実績を有しています。
配当実績
- 連続配当年数: 50年以上
- 2024年の配当: 四半期配当を10%増配
- 配当利回り: 約3-3.5%程度(2025年10月時点、株価により変動)
50年以上連続配当の実績は、長期的な財務安定性と株主還元へのコミットメントを示しています。配当利回り3-3.5%は、金融セクターの中でも魅力的な水準です。
株主還元策
配当に加えて、自社株買いも積極的に実施しています。2024年には22億ドルの資本を株主に還元しました(配当+自社株買い)。
総ペイアウト比率約80%を目標としており、配当と自社株買いを組み合わせた株主還元を積極的に推進しています。
(3) 財務健全性(2024年に22億ドル株主還元、総ペイアウト比率80%目標)
株主還元
ステート・ストリートは2024年に22億ドルの資本を株主に還元しました。内訳は以下の通りです。
- 配当: 四半期配当を10%増配
- 自社株買い: 積極的な自社株買いを実施
総ペイアウト比率約80%を目標としており、利益の大半を株主還元に充てる方針です。
財務安定性
カストディアン銀行として、安定的な手数料収入を得ています。顧客資産の増加に伴い、カストディ手数料・ファンド管理手数料が増加するため、景気変動の影響を受けにくいビジネスモデルです。
2024年にAUC/Aで2.3兆ドル超の新規獲得により、将来の手数料収入増加が見込まれています。
規制資本比率
バーゼルIII規制に準拠した十分な資本を保有しており、FRBのストレステストにも合格しています。財務健全性が高く評価されています。
※財務データは執筆時点(2025年10月)のものです。最新情報は公式IRページをご確認ください。
5. リスク要因
(1) 事業リスク(手数料圧縮加速・競争激化・Aladdinプラットフォーム台頭・通貨取引訴訟リスク)
手数料圧縮加速
資産運用業界全体で手数料圧力が続いています。2024年には3%の逆風となる価格圧縮がありました。特に、パッシブ運用(インデックスファンド・ETF)の手数料競争が激化しており、運用報酬の低下が懸念されます。
競争激化(Aladdinプラットフォームの台頭)
BlackRockの資産運用プラットフォームであるAladdinが、債券と株式運用の両方でシェアを拡大しています。Aladdinは、リスク管理・ポートフォリオ管理・取引執行を統合したプラットフォームで、機関投資家の間で急速に普及しています。
ステート・ストリートの競争ポジションへの懸念が高まっており、技術投資による差別化が求められています。
通貨取引訴訟リスク
過去に通貨取引での不正請求で訴訟を受けた実績があります。コンプライアンス体制の強化が進んでいますが、規制当局の監視が継続しており、将来的な訴訟リスクには注意が必要です。
(2) 市場環境リスク(金利動向高感応度・コスト増加圧力3~4%・銀行セクター不安)
金利動向への高感応度
ステート・ストリートは、金利動向に対する感応度が高いビジネスモデルです。2022-2023年のFRB利上げ局面では純金利収入が大幅に増加しましたが、金利低下局面では収益が圧迫されます。
2024年後半以降、FRBが利下げに転じる可能性があり、純金利収入の減少が懸念されています。
コスト増加圧力(2025年費用増加3~4%)
2025年の費用増加が3~4%レンジの上限になる見込みです。当初予想から上方修正されており、コスト増加圧力が高まっています。
手数料収入の成長がコスト増加を上回らないと利益率が圧迫される可能性があります。2025年のフィー収入成長率8.5~9%を見込んでいますが、費用増加約4.5%とのバランスが重要です。
銀行セクター不安
2023年のシリコンバレー銀行破綻時には、銀行セクター全体に不安が広がりました。ステート・ストリートは健全な財務基盤を保っていますが、銀行セクター全体の信用不安が高まると、株価に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3) 規制・競争リスク(バーゼルIII・ストレステスト対応・規制コスト増加)
バーゼルIII・ストレステスト対応
カストディアン銀行として、バーゼルIII規制に準拠した資本維持とFRBのストレステスト対応が求められています。規制資本要件の引き上げにより、株主還元に充てられる資本が制約される可能性があります。
規制コスト増加
金融規制の強化により、コンプライアンスコストが増加しています。規制当局への報告義務、システム対応、人員配置などにより、費用が増加する傾向にあります。
特に、デジタル資産プラットフォームやトークン化投資など、新しい分野では規制が不透明であり、将来的な規制変更リスクがあります。
6. まとめ:投資判断のポイント
(1) この銘柄の強み(50年以上連続配当・SPDR ETFブランド・カストディ51.7兆ドル・デジタル資産戦略)
ステート・ストリートの主な強みは以下の4点です。
①50年以上連続配当の実績
50年以上連続配当の実績は、長期的な財務安定性と株主還元へのコミットメントを示しています。2024年には四半期配当を10%増配し、総ペイアウト比率約80%を目標としています。配当利回り3-3.5%は金融セクターの中でも魅力的な水準です。
②SPDR ETFブランドの圧倒的存在感
SPDR S&P 500 Trust ETF(SPY)は世界最大のETFで、時価総額・取引高ともに圧倒的です。2025年上半期に210本のETFローンチを支援し、グローバルETF流入額は9000億ドル(前年同期比25%増)と爆発的に成長しています。ETF市場の成長により、運用報酬収入が増加しています。
③カストディ資産51.7兆ドルの規模
カストディ・管理資産(AUC/A)51.7兆ドル(2025年Q3時点)という圧倒的な規模により、安定的な手数料収入を得ています。2024年にAUC/Aで2.3兆ドル超の新規獲得により、将来の手数料収入増加が見込まれています。
④デジタル資産戦略の先進性
デジタル資産プラットフォームの立ち上げとトークン化投資の拡大により、新たな収益源を開拓しています。Apex Fintech Solutionsとのパートナーシップにより、ウェルス・アドバイザー向けグローバル・デジタル・カストディソリューションを提供しています。
(2) リスク要因(再掲)
一方、以下のリスク要因には注意が必要です。
①手数料圧縮と競争激化
資産運用業界全体で手数料圧力が続いており、2024年には3%の逆風となる価格圧縮がありました。Aladdinプラットフォームの台頭により、競争ポジションへの懸念が高まっています。
②コスト増加圧力
2025年の費用増加が3~4%レンジの上限になる見込みです。手数料収入の成長がコスト増加を上回らないと利益率が圧迫される可能性があります。
③金利動向への高感応度
金利低下局面では純金利収入が減少するため、FRBの金融政策に大きく影響を受けます。2024年後半以降、FRBが利下げに転じる可能性があり、収益への影響が懸念されます。
(3) 向いている投資家(金融インフラ企業好み・配当成長重視・ETF市場拡大期待・長期投資家)
ステート・ストリートは、以下のような投資家に向いています。
①金融インフラ企業を好む投資家
カストディアン銀行は、グローバルな証券市場の円滑な運営を支える金融インフラです。景気変動の影響を受けにくい安定的なビジネスモデルを評価する投資家に適しています。
②配当成長を重視する投資家
50年以上連続配当の実績と2024年の四半期配当10%増配により、長期的な配当成長を期待する投資家に適しています。配当利回り3-3.5%と総ペイアウト比率約80%は魅力的です。
③ETF市場拡大に期待する投資家
2025年上半期に210本のETFローンチを支援し、グローバルETF流入額は9000億ドル(前年同期比25%増)と爆発的に成長しています。ETF市場の成長により、運用報酬収入の増加を期待する投資家に適しています。
④長期投資家
3兆ドルの未インストールマンデート(その半分が2025年に完了予定)により、将来の収益源が期待できます。2025年のフィー収入成長率8.5~9%を見込んでおり、中長期的な成長を重視する投資家に向いています。
免責事項
本記事は情報提供を目的としており、個別銘柄の推奨を行うものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。米国株投資には為替リスク、市場変動リスク、規制リスクなどが伴います。最新の財務データや市場環境を確認し、ご自身の投資目的・リスク許容度に応じた判断を行ってください。
Q: ステート・ストリートの配当利回りは?
A: 2025年10月時点で約3-3.5%程度です。50年以上連続配当の実績があり、2024年には四半期配当を10%増配しました。総ペイアウト比率約80%を目標としており、配当+自社株買いによる株主還元が魅力です。金融セクターの中でも魅力的な配当利回りを提供しています。
Q: ステート・ストリートの主な競合は?
A: BNY Mellon(カストディ最大手)、JPMorgan Chase(総合金融グループ)、Northern Trust(資産管理・カストディ)などです。ステート・ストリートはSPDR ETFブランド(SPY等)とデジタル資産プラットフォームで差別化しています。ETF市場では、BlackRock(iShares)、Vanguard、State Street(SPDR)の3社で約80%のシェアを占めています。
Q: ステート・ストリートのリスク要因は?
A: 主なリスクは以下の通りです。①手数料圧縮加速(2024年に3%の逆風)、②競争激化(Aladdinプラットフォームのシェア拡大)、③コスト増加圧力(2025年費用増加3~4%)、④金利動向への高感応度(金利低下局面では純金利収入が減少)。詳細は「5. リスク要因」セクションを参照してください。
Q: ステート・ストリートは長期投資に向いている?
A: 以下のような投資家に向いています。①金融インフラ企業の安定性を評価する投資家、②配当成長を重視する長期投資家(50年以上連続配当、2024年10%増配)、③ETF市場拡大に期待する投資家(2025年上半期に210本のETFローンチ支援)、④中長期的な成長を重視する投資家(3兆ドルの未インストールマンデート)。2025年のフィー収入成長率8.5~9%を見込んでいます。ただし、手数料圧縮と競争激化リスクには注意が必要です。
Q: デジタル資産戦略の影響は?
A: 調査対象のシニアエグゼクティブの約60%が来年デジタル資産配分を増やす計画で、平均エクスポージャーは3年以内に倍増する見込みです。2030年までに大多数が投資の10~24%がトークン化されると予想されています。Apex Fintech Solutionsとのパートナーシップにより、ウェルス・アドバイザー向けグローバル・デジタル・カストディソリューションを提供し、新たな収益源として期待されます。デジタル資産とウェルスサービスの戦略的イニシアチブが2025年以降の成長を牽引すると期待されています。